2013年11月29日金曜日

きれいな男3話あらすじ&日本語訳vol.2

綺麗な男3話、後半に入ります。


一番幸せなジェッキを記念にパシャッ^^


ではさっそく~




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『お誕生日おめでとう パク・スルリちゃん』

子どもたちがお祝いの歌を歌う前で、スルリは手作りの王冠を被り、笑顔で立っていた。

#いつも思うけど、韓国版「Happy Birthday to you」の歌の拍子ってどーなってんだろーか。曲は三拍子なのに手拍子は二拍子で毎回すごく気になる。

見守る保護者の中には父親であるパク・ムンスの姿もある。
歌の終わりと同時にスルリが蝋燭を吹き消すと、部屋の向こうの方にそっとユラが顔を覗かせた。


ユラ「(呟く)スルリ…。すごく大きくなったわね」

じっと見つめているユラの背後で声がした。

声「久しぶりね」
ユラ「!」

驚いて振り返ると、そこに立っていたのはナ・ホンランだ。
「お元気でしたか」涙で滲んだ目で、ユラが小さく頭を下げる。

ホンラン「双方、こういう場面を作らないように約束したんじゃなかったかしら?」
ユラ「…。」
ホンラン「居るべき場所を分別できないのは相変わらずね」

ユラは微笑んだ。

ユラ「ちゃんと分別できたなら、お義母様に追い出されたりしなかったでしょうに。そうでしょう?」
ホンラン「ふふふ。人が聞けば本当だと勘違いしそうね」
ユラ「…。」
ホンラン「今度またこんなふうに出食わさないことを祈るわ」
ユラ「努力してみます」

ホンランがユラの隣を通りすぎようとすると、ユラがもう一度声を掛けた。

ユラ「スルリの父親さえ牽制すればそれでいいとお思いですか?」
ホンラン「…。」
ユラ「お義父様の庶子だという人、見つけたんです」
ホンラン「!」
ユラ「あぁ、お義母様はすでに報告を受けていらっしゃるでしょうね」
ホンラン「そうね。会ったついでに話そうかしら」
ユラ「…。」
ホンラン「その庶子だという男と何を企んで徒党を組んでいるのか知らないけれど、しっかり準備することね。この不愉快な思いは…全てそのまま返してあげるから」
ユラ「…。」
ホンラン「警告しておくわ。その男とは離れたほうがいい。残されたあなたの娘、スルリの人生も考えなければね」
ユラ「…。」

言葉を失ったユラに微笑んだホンランは背を向けた。

+-+-+-+

マテはクローゼットから選んだ黒いジャケットを、白いシャツの上に羽織った。
一気に袖に腕を通し、鏡の中を見つめる。

マテ「超クールだ」

+-+-+-+

マテはジェッキと二人、秋が深まった公園を歩いていた。
少し遅れて歩くジェッキが口を開く。

ジェッキ「少し足が痛いわ」
マテ「…。」
ジェッキ「Noならそう言えばいいのに…。ずっと歩いてばかりね」
マテ「心配なんです。ジェッキさんと結婚すれば、果たして幸せでいられるんだろうか」
ジェッキ「…。」

ジェッキが立ち止まると、数歩進んだところでマテもまた立ち止まる。
マテは振り返ると、ジェッキを見つめた。

マテ「僕が言いたいのは、ジェッキさんは本当に幸せになれるんだろうか…。それが心配だってことなんです」
ジェッキ「?!何言ってるのよ、マテ。私はあなたさえいればいいの。マテが私の男だってこと、それだけで十分なのよ!」
マテ「(微笑)僕たち、このまま裁判所へ行って婚姻届を出しましょうか?」
ジェッキ「(ニコニコ)区役所へ行かなきゃいけないんじゃない?」
マテ「!」
ジェッキ「(笑)裁判所に行くのは離婚するときよ」
マテ「はははっ。ごめん。まだ結婚したことがなくって」

照れ笑いするマテを、ジェッキは嬉しそうに抱きしめた。

+-+-+-+

白靴下を両手にはめ、閉じたり開いたり。
ダビデはじっとそれを見つめていた。

#お似合いですよ。

「手袋かな?」「靴下?」職員たちが笑いながら通り過ぎて行く。

ダビデ「何でよりによって靴下なんだ?日用品だってたくさんあるのに。最近は掃除用品が…」

そう言いかけて、ダビデはハッと目を見開いた。

ダビデ「!」

+-+-+-+

ボトンの携帯にはウリイェップンマテオッパの画像コレクションが一杯♥



ベッドの上で寝転がって眺めていると、動いた拍子に携帯をベッドの隙間に落としてしまった。

ボトン「!」

その瞬間、着信音がウーッと鳴り始める。
「オッパからの電話なら出なきゃ」ベッドの下に潜り込んで手を伸ばすものの、なかなか手が届かない。
部屋を見渡したボトンは、マネキン足隊から外れた足が一本、そこに置いてあるのに気付き、それをベッドの下へ突っ込んだ。


#ゲラゲラ ゲラゲラ

ようやく出てきた携帯の画面には『チェ代理』
「!」ボトンは画面よりも、マネキンの履いた靴下の指先にくっついた埃に目が釘付けになった。

ボトン「ありゃ!これって!!!」

ボトンは大喜びでようやく電話に出る。

ボトン(電話)「チェ代理!」
ダビデ(電話)「ボトンさん!」
ボトン&ダビデ「(同時に)お掃除靴下!」



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マテとジェッキはブティックへ来ていた。
ソファに並んで腰掛け、カタログをめくる。

ジェッキ「どんなのが好き?」

そこには家の内装写真が並んでいる。
豪華な写真を食い入るように見つめるマテ。

ジェッキ「新婚の家を探してるって聞いて、あちこちからこうやって送ってくるの」
マテ「…。」
ジェッキ「100坪以上のものだけピックアップしたのよ」

真剣に見ていたところへジェッキが急に顔を上げたので、マテはうろたえて目を泳がせる。

ジェッキ「マテはどんなスタイルが気に入った?」
マテ「…。」
ジェッキ「こういうのも良くない?」
マテ「ゆっくり考えましょう」

そこへマテの電話が鳴る。
画面には『キム・ボトン』。マテは電話を切ると、「何でもない」とジェッキに微笑みかけた。

「とうとう結婚するのね!」そう言って女主人がやってくると、ジェッキはマテに採寸をしてもらうよう勧める。
マテが立ち上がると、女主人は感嘆の声を上げた。

女主人「スタイルいいわね!新郎じゃなかったらショーのモデルをお願いするところなのに、残念だわ」

マテが意識して軽くポーズを決めると、女主人は入ってきた誰かに声を掛けた。

女主人「来たのね!」

振り返ると、そこに入ってきたのは…ユラだ!
顔を見合わせた3人に短い沈黙が流れる。

女主人「ジェッキが結婚するんだって。聞いた?」
ユラ「…そうなんですか?(ジェッキに)おめでとう」
ジェッキ「^^」
ユラ「(マテに)招待状送ってくださいね」

マテは硬い表情で背を向けた。
女主人がユラに仕立てた服を取りに席を外すと、ユラは二人から離れた別のソファに腰を下ろす。
マテを隣に座らせると、ジェッキはすかさず彼の腕にしがみついた。

ジェッキ「どうしたの?」
ユラ「ドレス合わせに来たの?」
ジェッキ「あれこれ見てるだけよ。あぁ、あんた結婚する時ここのドレス着たのよね」
ユラ「…。」
ジェッキ「ここはどれくらいするの?かなり高いみたいだけど」
ユラ「…。」
ジェッキ「はっ!あんた知らないわよね。結婚するときの費用も嫁入り道具も、何一つ出さなかったんでしょ?」
ユラ「(笑う)随分強く出るのね」
ジェッキ「(にっこり)」
ユラ「やりすぎると劣等感に見えるわよ。天下のジェッキがね」

「じゃあゆっくり見ていって」ユラは立ち上がった。
マテにちらりと視線を移すと、「ではまた」と軽く声を掛ける。

マテ「…。」

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療養しているパク・キソクMG会長の元を医師が訪ねていた。

医師「NYから連絡がありました。体調が回復なさればお供いたします。手術の件は信頼いただいて大丈夫です」

ベッド脇で妻のナ・ホンラン副会長が微笑む。

ホンラン「ありがとうございます。先生」

医師が部屋を出て行くと、ホンランは夫に優しく声を掛けた。

ホンラン「一緒に行きましょうか?」
キソク「そんな苦労まですることはないよ。スルリもいるのに」
ホンラン「手術すればもっと良くなるそうだから、あまり心配なさらないで」
キソク「あぁ、そうだね」
ホンラン「…。スルリの母親なんですけど…」
キソク「?」
ホンラン「突拍子もないことを始めたようで」
キソク「突拍子もないこと?」
ホンラン「あなたの息子を探すなどと…」
キソク「?」
ホンラン「呼んで話をしてはどうでしょう。話にもならない噂話に眉をひそめたくなるわ」
キソク「うちの人間でもないんだ。何の資格があって呼びつけるんです?」
ホンラン「…。」
キソク「(目を閉じる)あぁ。患うのも仕事のうちだろうか。疲れたな…」

それ以上話を続けることも出来ず、ホンランは小さく溜息をついた。

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部屋で何か熱心に書いていたボトンはマテに電話を掛けた。

ボトン(電話)「オッパ♪ 今日は忙しかったみたいですね」
マテ(電話)「何で電話した?」
ボトン「靴下売ろうと思ってテレビ通販を調べてみたんです」
マテ「キム・ボトン。もうやめるんだ、靴下売ろうなんてこと」
ボトン「え?」
マテ「もうそんなもの売らなくていい」
ボトン「…。」
マテ「だからお前も俺の手伝いは終わりだ。これまでご苦労だったな。明日昼飯でも食おう。出て来いよ」
ボトン「?」

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翌日。
オシャレしてマテと二人で食事をしながら、ボトンは笑顔で切り出した。

ボトン「昨日は詳しく説明できなかったんだけど、オッパ」
マテ「靴下の話ならやめろ」
ボトン「え?」
マテ「…。」

マテは息をつくと顔を上げ、ボトンをまっすぐ見た。

マテ「俺、結婚する」
ボトン「あぁ~。オッパは結婚して、私は靴下を…。えっ?!結婚?!」
マテ「…。」
ボトン「…。誰と?」
マテ「このビルの持ち主」
ボトン「…。」
マテ「こんなの氷山の一角だ。この程度の物件が10はある。フランチャイズ事業もいくつかあるし。つまり、どういうことか分かるよな?」
ボトン「…。」
マテ「靴下みたいな惨めったらしい物、もう用はないってことだ」
ボトン「…。」

微笑むマテの前でボトンは絶句した。

ボトン「…。ちょっとおかしいよ、オッパ」
マテ「?」
ボトン「オッパが結婚する人がどんな人なのか、どんな性格なのか、どんな顔なのか、どういうときに可愛らしいのか…。そんなこと一言も話さないで、どうしてお金のことばかり話すの?」
マテ「…。」
ボトン「その人のこと、愛してるんですか?」

マテはそれには答えず、懐から分厚い封筒を取り出し、テーブルの上に置いた。

マテ「お前の金だ。苦労して貯めた金を差し出してくれた、その気持ちだけは覚えておくから。ありがとうな」
ボトン「…。」
マテ「愛してるかって?正直分からない。けど、それが重要か?必要な300万がなくて、お前に金を用立てさせる今よりは、一応幸せだろうな」
ボトン「…。」

言葉がないボトンの前で、マテは再び食事の手を動かした。
ボトンは頷き、笑顔を見せる。

ボトン「お話は分かりました、オッパ。オッパが幸せならそれでいいんです」
マテ「…。」
ボトン「私も幸せでした。オッパに車を買ってあげたくてバイトしながら、300万貯める間…」
マテ「…。」



愛する人のために働き、喜びを感じていたボトン。
彼女の思いに、マテは思わず動揺し、目を伏せた。

マテ「たくさん食べろ。これまで頑張ってくれたお礼に奢るんだ」
ボトン「…はい」

微笑むボトンの目に涙が滲んだ。

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部屋に帰ってくるなり、ボトンは机に突っ伏して泣いた。
とめどなく流れる涙を、白靴下は今日も見事に吸い取ってくれる。

ボトン「(号泣)オッパ、タキシードきたらめちゃくちゃ素敵だろうな…!蝶ネクタイは似合わないけど…。」

泣きながらも鏡を覗き、自分のパンダ目に嫌気が差してまた泣く。

ボトン「(白靴下をつかみ)これで拭こうかな?…あぁあ゛あぁあーーっ!」

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ジェッキはマテに似合う新婚生活を夢見て、またカタログをめくっていた。
そこへ電話が鳴る。
税務署の調査員からだ。
課税書類を発送したので、記入して提出しろと言う。
「いかほどです?」と尋ねたジェッキは驚愕した。

ジェッキ「何ですって!!!」



「今プロポーズしたら金を失うわ」エレキ仙女の忠告が彼女の頭を駆け巡る。

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マテが運転する車の助手席で、ジェッキは浮かない顔をしていた。

マテ「何かあったんですか?」
ジェッキ「何でもないのよ。仕事がちょっとこじれちゃって」
マテ「ところで、僕も行かなきゃダメかな?俺、占いみたいなのは嫌いなんだけど」
ジェッキ「バカにしちゃ駄目よ。エレキ仙女はそっち方面ではトップなの。芸能人や財閥を1ヶ月は待たせる人よ」
マテ「…。」
ジェッキ「構えないで、挨拶して出てくればいいわ。ね?」

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奥の部屋に通されると、マテの目の前で女が一人、静かに視線を上げた。
エレキ仙女だ。

マテ(心の声)「こんな青臭いのが仙女だって?駈け出しに何が見えるってんだ?」
エレキ仙女(心の声)「こいつめ。これだからチェク社長がのめり込むんだわ」

マテがそっぽを向くと、エレキ仙女の声が飛んだ。

エレキ仙女「なんたることか!無礼者め。扉を閉めてどうする?」
マテ「?」
エレキ仙女「後ろに美人がついていらっしゃるのが見えぬか?」

ジェッキとマテは一斉に後ろを振り返る。

二人「???」
エレキ仙女「もうよい。こちらに座りなさい(横をチラリ)お母様はもう座っておいでだわ」
ジェッキ「はっ!!!」
マテ「…。」

マテは扉をバタンと閉めた。

二人が並んで近づいてくる。
ジェッキが靴を脱ごうとすると、エレキ仙女が制した。

エレキ仙女「席を外してくれぬか?」
ジェッキ「私ですか?」

エレキ仙女が目で頷く。

ジェッキ「あはっ(苦笑)…はい」

ジェッキはマテの手を握り「しっかりね」と目で訴えて部屋を後にした。
一人残されたマテは気乗りしない表情でエレキ仙女の前に屈んだ。

マテ「あの…。俺、元々こういうのは信じないんです。結婚相手の頼みでついて来たんです」
エレキ仙女「気になっていたわ。こんな星廻りを携えて生まれた男がどんな顔をしてるのか」
マテ「…。」

マテは頬杖をつき、目を閉じてみせる。

マテ「こんな顔ですよ。気が済んだでしょ?それじゃ(立ち上がる)」
エレキ仙女「結婚相手だと言ったわね」
マテ「?」
エレキ仙女「結婚相手ね…。(笑)この世がこんなにたやすいとでも?」



マテ「この世がこんなにたやすくていいのかって?たやすけりゃ、あんたみたいな人間はみんな商売上がったりでしょう」

マテはエレキ仙女に背を向けた。

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「マテに会っていかがでした?」

エレキ仙女と二人になると、ジェッキは不安げに切り出した。

エレキ仙女「チェク社長の心を揺さぶるだけの顔ね」
ジェッキ「(満足)」
エレキ仙女「卓越した星廻りとあの顔。金を失うと言われても手放せないチェク社長の気持ちがわかったわ」
ジェッキ「はぁっ!そんなことおっしゃらないでください。そうじゃなくても心中煮えたぎっているのに」
エレキ仙女「大金が…出て行ったようね」
ジェッキ「はっ!もうご存知だったんですか?」
エレキ仙女「(澄ました顔)」
ジェッキ「私、どうすれば?建物の付加税が100億にもなったんです。私、バカだったわ!あんな大きなビルを買って売ろうとするなんて…」
エレキ仙女「これは始まりに過ぎない。なのにもう短気を起こすのかしら?」
ジェッキ「何ですって!」
エレキ仙女「…。」
ジェッキ「100億が…始まりにすぎないって?」
エレキ仙女「何を心配しているの。言ったでしょう?あの男はあなたを女王にすると」
ジェッキ「それなのにどうしてお金を失うんですか!」
エレキ仙女「満たすためには、まず空けなければ。あの男と結婚すれば、チェク社長は韓国一の不動産財閥になるわ」
ジェッキ「(安堵)」
エレキ仙女「けれど」
ジェッキ「!」
エレキ仙女「その前に、これまでの財産は全て失うことになるわね」
ジェッキ「…どういうことですか?全て失うって?」
エレキ仙女「将来数兆ウォンを手にする人が、たかが1000億失うくらい何が惜しいものか」
ジェッキ「…。」
エレキ仙女「どうしたの?金を失うのが怖くて、そんな男を諦めるつもり?」
ジェッキ「…。」
エレキ仙女「やはり…。チェク社長は金より愛するものはないようね」
ジェッキ「諦めるなんて、仙女様。私がマテのことどれほど愛してるか、よくご存知のくせに」

微笑むエレキ仙女の前で、ジェッキはやはり動揺を隠せずにいた。

+-+-+-+

車に乗り込むとジェッキは目の前のドリンクホルダーに小さなサボテンの鉢を置いた。

ジェッキ「しばらくここに置くわね。降りる時、忘れずに持って帰るように言ってちょうだい」
マテ「何です?これ。たまに妙な安物を買うんですね」
ジェッキ(心の声)「安物だなんて…。1000万ウォンよ、この野郎…」

~~エレキ仙女はジェッキに鉢を差し出した。

エレキ仙女「これ。受け取って」
ジェッキ「(受け取り)これはサボテン。電磁波遮断って…?」
エレキ仙女「お黙り!」
ジェッキ「!」
エレキ仙女「祟りが落ちるわよ。これは厄除けのお守り。あの男と結婚に至るまでに、何度か厄除けが必要になるときがあるはず」
ジェッキ「…。」
エレキ仙女「完全に厄祓いは出来なくても、ある程度は減らしてくれるわ」

頷くジェッキに、エレキ仙女はニッコリと微笑んだ。

~~

車の中で、ジェッキは思わず溜め息を漏らした。

ジェッキ「マテ。今日は話したいことがあるの。今回プロポーズしたことをきっかけに、また100億ウォン課税されて、いろいろ考えてみたのよ」
マテ「何を言おうとしてるんです?緊張させないでください」
ジェッキ「マテに対する私の気持ちがどれほどなのか…」
マテ「?」

助手席で自分を見つめるジェッキを振り返るマテ。
そこへ、向こうから車が近づき、同時に前をバイクが横切ろうとした。
クラクションがけたたましく鳴り響く。

ジェッキ「キャーー!!!」

ジェッキは咄嗟に運転席のマテに覆いかぶさった。
その瞬間、フロントガラスが割れる。
サボテンの鉢が弧を描いて宙を舞った。

+-+-+-+


ジェッキは痛々しい姿で病院のベッドに横たわっていた。
「は…」目を開けると、枕元に座っていたマテが驚いて声を掛ける。

マテ「ジェッキさん、気がつきましたか?」
ジェッキ「…。」

マテはジェッキの手を握った。

マテ「僕です。マテですよ」
ジェッキ「あぁ、マテ…」

ジェッキは動かない体で視線だけを動かし、マテの姿を視界に捉える。

ジェッキ「マテは大丈夫なのよね?怪我してないんでしょう?」
マテ「いくら僕のことが好きだからって!あんなふうに覆いかぶさってどうするんですか!」
ジェッキ「…。」
マテ「これくらいで済んで本当に良かった。大変なことになるところだったんです」
ジェッキ「私、あの短い瞬間、本当にたくさんのことを思ったわ」
マテ「…。」

ジェッキの瞳から涙が零れ落ちた。



ジェッキ「私はマテのこと…自分の命よりも愛してる」
マテ「…。」
ジェッキ「だけどね、マテ。お金より愛することはできないわ」
マテ「?!」
ジェッキ「私たちもう…別れましょう」
マテ「!!!」

ジェッキは静かに目を閉じ、彼に握られた自分の手をスルリと抜いた。


+-+-+-+


長い時間、マテは物思いに耽っていた。

ジェッキとの会話が彼の頭の中をめぐる。

~~病室にて

マテ「金が…どうして命より大事なんです?」
ジェッキ「小さい頃から、私は足蹴にされてばかりの存在だったわ。家も貧乏で、顔だって不細工。勉強も出来なかった。どこへ行ってもバカにされてばかりだったわ」
マテ「…。」
ジェッキ「でも、お金を稼ぐようになって、私に対する周りの態度が変わったの。私に親切に接してくれて、私と一緒に食事をしたがって、誕生日だって祝ってくれて。マテみたいな男性が近づいてきて、綺麗だって言ってくれたわ」
マテ「一体何をおっしゃってるんですか…」
ジェッキ「私、お金なしで生きて行きたくはないの」
マテ「…。」
ジェッキ「仙女様がおっしゃったのよ。マテと結婚したら財産全て出て行くことになるって。一文無しになって初めて、また稼げるようになるんだって」
マテ「(呆れる)あの巫女の言うことを信じるんですか?そんな馬鹿げたこと!」
ジェッキ「だけどね、もしも…もしもよ。私が全財産を失って、一文無しになったら…。またお金を稼ぐまで、私を捨てないでいる自信はある?」
マテ「!」

ジェッキの言葉に、マテは咄嗟に答えが出ず、目を伏せた。
困惑するマテの表情に、ジェッキは悟ったように微笑み、大きな溜め息をついた。

~~

ひとしきり考えると、マテは静かに電話を取った。

マテ(電話)「金がどういうものなのか、分かった気がします」

「そう?」ユラの声が電話の向こうから聞こえてくる。

ユラ「どんなものだと思うの?」
マテ「金は…生き物です」
ユラ「どういう意味かしら?」
マテ「正しく育てれば、金も成長します。想像もつかないスピードで」
ユラ「…。」
マテ「そうしているうち、あまりに大きく育ちすぎれば、僕を捕って食うんです」
ユラ「…。」
マテ「ついには僕という人間は消え、金だけが残るんです」
ユラ「だから人間は忘れてしまうのね、己が何者なのか。お金が自分自身であるかのように勘違いするんだわ」
マテ「…。」
ユラ「マテ、あなたが今後大きく稼ぐことになると信じてる。だけど、そのときはジェッキのようにお金に捕って食われたりしないはずよ」
マテ「…。」
ユラ「お金がどういうものなのか、分かったんだから」
マテ「それなら次は、どうすればいいんです?」
ユラ「次の女の元へ行くのよ。そして、人間の心を操る術を学ぶの」
マテ「人間の心を操る術?」
ユラ「えぇ。ワクワクしない?」



そう言ったユラの前には、エレキ仙女が座っていた。
見つめ合い、二人は意味ありげに微笑み合う。



+-+-+-+

ここでエンディングです。
原作に忠実なので当然なんですが、流れが自然でとてもイイですねぇ~。
このまま、登場人物やストーリーは突拍子もなくても、気持ちにはちゃんとついていける状態で進んで欲しいものです。

第一の女ジェッキに続き、明らかになった第二の女。心を操る女、エレキ仙女。
こうやってマテに関わる女性たちが単独で登場するのでなく、女性同士もつながっているのが面白いです。

それから~、レストランのシーンのボトンがあまりに可愛くってビックリするほどキャプっちゃいましたよ^^
彼女、ハッとするようないい表情しますね。

ではでは、今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました!







4 件のコメント:

  1. お久しぶりです。
    スピーディーにUPしてくださり、ありがとうございます。
    脳内に蘇る物語。感謝感激です。
    m(_ _)m

    〜일이니?という語尾がすっかり気になる耳になりました。^^;

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  2. おはようございます!!
    何か…泣いちゃいました!!
    お金何て持ってないんだけど…何となくジェッキの気持ちがわかるような気がしました!!
    女の幸せはつかめない人なんですかね~?
    どうしても女目線で見てしまいました!!
    また 4話も待っています!!

    返信削除
  3. ジェッキ役の女優さんおめでたで3話までって知った時「えっ!?どんな終わり方?」って思ったんですがこうゆう事だったんですね^ ^このようにして10人の女の人から学んでいくんですね!次はエレキ仙人~どーなるんでしょうね♡今回もIUちゃんかわいかった~^ ^

    返信削除
  4. 病室でのジェキの言葉
    言葉を返せない マテ

    人生とは簡単には行かない、、、
    ねっマテ!と声をかけちゃいましたw
    ボトンちゃんの可愛いさに
    ボトンちゃん頑張れと声をかけちゃいましたw

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記事を読んでくださってありがとうごございます。
コメントの際はお名前を入れてくださると嬉しいです。