2013年11月28日木曜日

きれいな男3話あらすじ&日本語訳vol.1

チャン・グンソク、IU主演「綺麗な男」3話です。

ユラから出された最初の課題。
「ジェッキを征服し、お金とはなにか、彼女から学べ」
果たしてマテはナ・ホンランへと続く道へ一歩踏み出せるでしょうか。






+-+-+-+

「そういうつもりか」電話に出ないボトンに、ようやく諦めたマテは、
部屋の奥のテーブルの上に何やら箱が積んであるのに気づく。
箱の一番上にはメッセージが貼り付けてあった。

マテ「?」

マテはメッセージを剥がしてみる。

ボトン(メッセージ)「オッパ!♥私が出来ることなんてあまりなくて…。掃除はめちゃくちゃ得意なんです^^♡あ、それとね、冷蔵庫の中をちょっと見て、あれこれ作って行きますね♡ 口に合うか分からないけど。オッパ♡ファイト!」

蓋を開けて思わず鼻の下を伸ばすマテ。
そこには美味しそうな卵焼きや味付けゆで卵。

マテ「おっ!いいセンスしてるな。卵焼きが好きなのも覚えてるなんて」

2段目を開けると、そこには目玉焼きと白いゆで卵。

マテ「おっ!目玉焼きもある」

さっそく箸を手に取ると、マテは3段目に現れたご飯に不満を漏らす。
ご飯の上にはグリーンピースでハートが描かれていた。

マテ「こいつふざけやがって…」

思いっきりご飯にかぶりつくと、そこへ携帯が鳴った。

マテ(電話)「(もごもご)お前何で電話に出ないんだよ!▼○#&?%☓■」
後輩の声(電話)「何言ってんだ?兄貴」
マテ「?!」

電話の画面に「トクセン」と表示されているのを、マテはやっと確認する。

マテ「つまり…何の用だ?」
トクセン「メールで場所を送るからすぐに来てよ。な?俺たち、超重要なこと決めなきゃならないから」
マテ「何のことだよ?」
トクセン「来なかったら一生恨むよ。ずっと付きまとうからな。一生だぞ!」
マテ「どこだ?」

+-+-+-+

トクセンはマテをある店舗の前へ連れて来た。
それは、トクセンがこだわっている「イケメンバー」を出すために見つけた物件だった。
ジェッキならここを手に入れるくらいタダ同然だろうと言うトクセン。
マテは話を聞くなり、呆れて帰ろうとする。

「落ち着いて考えろよ」と説得され、立ち止まったマテは、まさしく閉店セール中の店舗を振り返った。

マテ「?」

彼はある赤いPOPに目をとめる。『80%倉庫大放出』

マテ「倉庫大放出?」

彼は店の主人と交渉を始めた。
賃料を払えば1ヶ月の間店舗を又貸ししてくれると言う。

+-+-+-+

「あんた、昨日どこに泊まったのさ?」
肉を焼きながら母が切り出した。

ボトン「(ニヤニヤ)マテオッパの家♡」
母「ふーん」

何の反応も示さない母と弟に、ボトンは拍子抜けだ。

ボトン「お母さん?年頃の娘が男の家で一晩過ごしたんだよ?」
母「あぁ、分かったよ」
ボトン「何かあったんじゃないかって気にならないの?」
母「何もあるわけないじゃないか、マテなんだから」
弟「マテ兄だって目はある」
母「(弟の頭をボカン!)お前!そんな言い方しちゃ姉ちゃん気分が悪いだろ!」
ボトン「(嬉)」
母「”マテ兄にも好みがある”そう言われれば姉ちゃんだってそう気分は悪かないよ!」
ボトン「…。もっと気分悪いよ」
母「…。」
ボトン「ところでさ、これうちのカルビの味じゃないよね」
弟「うちより美味くないか?母ちゃんがテレビ通販で買ったんだ」
ボトン「えーっ?!カルビ屋がカルビ屋に注文するなんて!」
母「(照れ)いやさ、テレビつけたらあんまり美味しそうに食べてるもんだから。(弟をバチン!)この手が勝手に電話してたんだよ。はっと我に返ったら肉が届いてさ!はははっ」
ボトン「(呆れ笑い)」
母「あんたも食べてみな。美味しいよ」
ボトン「テレビ通販ってたいしたもんだね。カルビ屋の社長にカルビ売るなんてさ」

笑ったボトンはハッと思いついて声を上げた。「テレビ通販!!!」

母「?!」
ボトン「お母さんが注文したテレビ通販、どこ?」

+-+-+-+

さっそくボトンは相棒のマネキン脚隊を背に、通販会社へ乗り込んだ。
入口を入ったところで、さっそく警備員がボトンを捕まえる。

警備員「お嬢さん、何だ?」
ボトン「ボトンですけど」
警備員「ひと目見てだけでもボトン(普通)じゃないがね」
ボトン「私、確かにボトンですけど?」
警備員「こっちへいらっしゃい」

警備員に引っ張って行かれたボトンは、
建物外の休憩スペースへ来ていた。
向かいに座らせた警備員に飲み物を勧めると…

ボトン「美味しいでしょ^^」
警備員「えぇ。テレビ通販で商品を売るためにはね、MDを訪ねるのが一番確実な道ですよ」
ボトン「MD?」
警備員「あぁ」
ボトン「それって何ですか?」
警備員「MD。マーチャンダイジング・ディレクターだよ!」
ボトン「おぉ~」
警備員「難しい話じゃないよ。MDって人が何をするかというとね、売れる品物を見つけてくるんだ。見つけてきた商品が大ヒットすると、そのMDの人生は安泰だ。あちこちからスカウトが来るしな」
ボトン「それならMDによく思われないとね」
警備員「けどね、MDなら誰でもいいってわけじゃない」

彼は隣にある駐車場を見渡し、手前にある高級な車を指さした。
立派な車ではあるものの、それはなんとなく薄汚れている。

警備員「うまく行ってるMDってのは、ああいう車に乗っていてね、ダメなMDは…」

そう言って、向う側にあるポンコツ車を指す。

警備員「ああいう車に乗ってるんだ」
ボトン「ほぉ」
警備員「(高級車を指し)こっちの旦那は時間がなくて洗車ができないし、(ポンコツ車を指差し)あっちの旦那はだらしなさすぎて洗車しないから車が汚れてるんだ」
ボトン「(車を眺め)そういうことじゃないと思うけどな…。(汚れたポンコツを指さし)あれ、ただの泥じゃありませんよ」
警備員「何です?」
ボトン「いいんです。泥が素敵だって話」
警備員「?」
ボトン「それじゃ、洗車してご挨拶しなきゃね」

ボトンは鞄をゴソゴソ探ると、白い靴下を取り出した。
ふふんと笑うと立ち上がり、高級な方の車の前に立つと、手にはめた靴下で泥を一拭き。
すると泥が綺麗に落ちるではないかー!

ボトン「おおーー!」

そこへ警備員がやって来て彼女を止めた。

警備員「この車を磨いたって仕方ないよ!忙しくてお嬢さんに会う時間もないんだから!」
ボトン「…。」
警備員「MDに会うつもりならね…」

警備員は「そう、こっちの車だ!」と自ら白靴下を手にはめ、ポンコツ車に残った。

ボトン「おじさん、ダメです!!!」

警備員がボンネットをひと拭きすると、泥に隠れていた車体の色が現れる。
そのとき…

声「ダメだ!!!!!」
ボトン「?!」

突然の叫び声に驚いて振り返ると、そこには黒づくめの男性が口をあんぐり開けて立っていた。



男「何なさるんですか!僕の…僕の泥を!」
警備員「礼を言うどころか怒るのか?」
男「お、怒ってるんじゃなくて…僕がこの泥を…」

動揺してボトンを振り返った彼は驚いて言葉を止めた。

男「あっ!ハンドメイドの」
ボトン「(彼のウィッグ帽を見てにっこり)よくお似合いだわ」
男「^^;」
ボトン「はぁ…(車を見て)残念ですね。すごく大事にしてた泥でしょうに」

警備員は呆れた様子でボトンに白靴下を返した。

警備員「環境汚染のせいか、人間もいかれちまってるな」

警備員が立ち去ると、男性はもう一度溜め息をつき、ボトンを見た。

男「また会いましたね」
ボトン「嬉しいのは山々なんですけど、(車を見て)こんなことやらかしちゃって…。私が止めなきゃいけなかったのに。これ、かなり長い間守ってきた泥なんでしょう?」
男「お分かりなんですね!これ、3年のビンテージ泥なんですよ」
ボトン「!」
男「この車にはこれが合うんです。国中の泥がついてるんですよ。島の泥まではつけられなかったのが残念ですけど…」
ボトン「はぁ、なんてこと。どうしようもないな、この靴下のせいでこんなことに…」
男「…。」
ボトン「(ペコリ)本当にごめんなさい。どうしたらいいのか…」
男「そんなに…申し訳ないと思ってくれるんですか?」
ボトン「言葉に出来ませんよ!ビンテージはお金で作れるものじゃないのに!」
男「…。お昼奢ってください!それで帳消しだ」
ボトン「それで…慰めになるんですか?」
男「まぁ、メニューによっては」
ボトン「あ、その…。この際、私の状況をお話しますとね、5000ウォン以上のメニューは私ちょっと…(もじもじ)」

男性は楽しそうに笑い、帽子を取る。

男「それじゃ仕方ありませんよ。5000ウォンあれば十分な店を知ってるんだけど」
ボトン「どこですか?」
男「^^」

+-+-+-+

マテは自宅で頭を抱えていた。
備え付けの棚板の端に肘をつくという、妙な体勢で…。

マテ「1ヶ月で300とは!はぁ、現金もないのに。ジェッキさんにもらったカードを使ったらメールで知らせが行くはずだし…。はぁ、どーすりゃいいんだ」

+-+-+-+

ポンコツ車で”民家のような建物”にやって来た男性とボトン。
「家族っぽい食堂ってコンセプトなんでしょ?そういうの大好き!」とボトンは大喜びで中へ入っていく。

民家の庭に設置されたいくつかのテント。
その前で、ボトンと男性は作りたてのラーメンをすすっていた。
夢中で麺をすするボトンの様子に、男性の表情にも笑みがこぼれる。

男性「美味しいでしょ?」
ボトン「ヤバいくらいですよ!」
男性「^^」
ボトン「お店だと思ったのに、ここに住んでるなんて。(家を指差し)ここの持ち主の家ですか?」
男性「いえ、全部僕の家です」
ボトン「!」
男性「テントを棲家にして、家は倉庫にしてるんです」
ボトン「凄い!」
男性「?」
ボトン「超カッコイイ!」
男性「みんな変人だって言うけど」
ボトン「ほぉ~、私、こんな暮らしがしたいなぁ」
男性「あの…、名前は?」
ボトン「ボトンです、キム・ボトン」
男性「あぁ、ボトン。いい名前ですね。(名刺を取り出し)僕はダビデって言うんです。チェ・ダビデ」

差し出した名刺をボトンが受け取る。

ボトン「へぇ~。MDねっ!」
ダビデ「ところで、さっきどうして駐車場で車を磨いてたんです?」
ボトン「チェ代理の隣に停めてあった車の持ち主がね、絶好調なMDだって言うから、車を磨いてアピールしようと思ったんですよ」
ダビデ「あぁ…、絶好調なMDか」
ボトン「だけど、警備員のおじさんがその人は忙しすぎて会えないって。それでチェ代理の車を磨けって言ったんですよ」
ダビデ「暇なMDってことでしょ?」
ボトン「(頷く)そうですよ」
ダビデ「…。で、どうしてMDにアピールする必要があるんです?」
ボトン「実はね、靴下を売らなきゃいけなくって」
ダビデ「あぁ、実家が靴下工場なんですか?」
ボトン「(首を横に)カルビ屋です」
ダビデ「じゃ、バイト?」
ボトン「まぁそんなところですね。靴下、全部売らなきゃいけないんですよ。そうしたらオッパが笑えるんですから」
ダビデ「お兄さんが?」
ボトン「いいえ。私が好きなオッパ^^」
ダビデ「…。」
ボトン「オッパが靴下を売らなきゃいけないから、手伝ってるんですよ」
ダビデ「好きなオッパがいらっしゃるんですね…。で、どれくらい売らなきゃいけないんです?」
ボトン「10万足くらいかな?」
ダビデ(吹き出す)」
ボトン「大丈夫ですか?」
ダビデ「す、すみません。あんまり驚いたもんだから」

ボトンが咄嗟に差し出したのは例の白い靴下。
それはテーブルにこぼした汁をあっという間に吸い込んだ。

ダビデ「よく吸うなぁ…。けど、残念だ。僕は掃除用品とか洗濯用品とか、そういう日用品の担当で。靴下はファッションアイテムだから…」
ボトン「うーん、分野が違うんですね」
ダビデ「えぇ」

そこへボトンの携帯が鳴った。画面には「マテオッパ」の表示。
「はい、オッパ!」と笑顔でボトンが電話を取ると、ダビデが緊張を募らせた。

ボトン「今ですか?どこに?狎鴎亭?狎鴎亭にあるデパート?私、鳥山は出たんだけど、ソウルにはまだ…。いえいえいえ、行きますよ!すぐ行きますからね~♪」



+-+-+-+

ダビデのビンテージ車が路肩に停まった。
ブレーキに合わせるように車から振り落とされる泥…。

ボトン「本当にすみません。結局ご飯もごちそうしてもらって、車まで乗せてもらうなんて…」
ダビデ「本当にすまないならまた奢ってくれなきゃ。これで終わりにするつもり?」
ボトン「違いますって!また今度奢りますから!」
ダビデ「名刺の番号にメールしてください。もしファッション担当のMDが関心を示したら連絡しますから」
ボトン「あぁ、ありがとうございます!私、次は5…6000ウォン分奢りますから!」

ダビデは愉快そうに声を上げて笑った。

白いポルチェがビンテージ車の前に滑りこんで停まる。
運転席のマテは厳しい表情でバックミラーを睨んだ。

ボトン「あ!来た!(前を指差し)さっき言ったオッパです」
ダビデ「あぁ、例のオッパ…」
ボトン「じゃあ連絡しますね。ありがとうございます」

車を降りて駆け出すボトンを、ダビデは口惜しそうに見送った。

+-+-+-+

ボトンを乗せて走り出したマテはどことなく不機嫌だ。

マテ「お前、さっき妙な車から降りてきたよな」
ボトン「?」
マテ「男の車だったみたいだけど、誰なんだ?」
ボトン「あぁ~、あの人?ウィッグ帽と泥でご縁のある人なんですけどね、ホントにビックリしたんですよ~。なんていうか”男ボトン”って感じで」
マテ「お前ボーッとしてんじゃないぞ!」
ボトン「?」
マテ「ソウルで誰彼かまわず車に乗せてもらうんじゃない!男ってのは皆危険な獣だ」
ボトン「ふふぅ~ん、自分が一番危険なくせに」
マテ「何だって?」
ボトン「いえいえっ^^ で、私何するんですか?」

「ほら」マテは後部座席に置いてあった赤い箱を差し出した。
開けてみると、そこには腕時計が顔を出す。

マテ「下に保証書も入ってる。中古ブランドショップの前で降ろすから、行って…売って来い」
ボトン「売るって?!どうして?」
マテ「…。」
ボトン「オッパ、お金がいるんですか?」
マテ「金がないからじゃない!事業をしていれば急に金が必要になることもある。靴下を売る店の家賃を作るんだ」
ボトン「どこで売るんですか?」
マテ「在庫放出の店」
ボトン「そっか…。私ね、考えてみたんですけど、テレビ通販で売ったらどうですか?」
マテ「テレビ通販が潰れるぞ。そんなもの売ったら」
ボトン「…。」
マテ「人にも物にも貴賎がある。あんな腐った靴下は在庫放出店がピッタリだ」
ボトン「そんな…」
マテ「黙れ。中古ブランド屋は間違いなく買い叩いてくるはずだ。ここは絶対に持ち堪えないとな。600はしたから…400は貰わないと」
ボトン「(驚)時計がそんなにするなんて!」
マテ「わかったか?俺の言ってること」
ボトン「(頷く)はい。400ですよね。押し切られないで」

指を4本出し、二人は頷きあった。

+-+-+-+

車は中古ブランド時計店の前で停まった。

マテ「見えるだろ?行って来い」
ボトン「(頷く)オッパはここに居てください。じゃないとオッパの格が落ちるから」
マテ「(うんうん)」
ボトン「行って来ますね」

#ダメダメ。こういう店は高級な装いで行かないと。

車から降りて店を眺めていたマテを、通りの女性たちが皆見ながら通り過ぎて行く。

マテ「…。」

マテは女性たちの視線を意識し、何気なくポーズを取った。
そこへ、店のドアを開けて顔をのぞかせたボトンが大声で声を掛ける。

ボトン「オッパ!これ、値が落ちてるから300も難しいって!」
マテ「…!」
ボトン「これは需要がないって。300くれるっていうけど売りますか?!」

大声で叫ぶボトンが恥ずかしくて、マテは思わずサングラスを掛けた。
クスクス笑う通行人から顔を隠すように、コートの襟を立てる。

マテ「キム・ボトンの奴!」

逃げるように車に乗り込むとエンジンをかけた。

ボトン「オッパ?!」

ボトンを残し、マテの車はあっという間に走り去った。

+-+-+-+

カフェの一席でマテは考え込んでいた。



マテ「はぁ…。今までスイートすぎたかな」

立ち上がると、そこへジェッキがドタバタと駆け込んでくる。

ジェッキ「ごめん!遅くなっちゃった!」
マテ「…。」
ジェッキ「…ごめんね」

マテをもう一度座らせると、ジェッキも向かいの席に滑り込む。

ジェッキ「上棟が近くて最近本当に忙しいの!これまでの建物の中で一番大きいのよ。その建物、あなたのマンションのベランダからも見えるわ」

彼が憂鬱そうに視線をそらすと、ジェッキは彼の機嫌を取ろうと手を握る。
マテはそんな彼女の手を押し戻した。

ジェッキ「…?」
マテ「こういう言葉があるんです。心ある場所に時間があると」
ジェッキ「…。」
マテ「ジェッキさんの心は事業でいっぱいで、僕は次第に待つ時間が長くなる」
ジェッキ「…。」
マテ「(ジェッキの様子をチラリ)全て持って行ってください」
ジェッキ「?!」
マテ「家、車、全部です。(笑)これだけ貰えば黙って待つべきですよね。だけど、僕は嫌なんです。全て持って行ってください」
ジェッキ「(茫然)」



マテは立ち上がる。

ジェッキ「マテ!」

自分の呼びかけにも耳を貸さず、立ち去るマテの姿に、ジェッキの眼差しが厳しくなった。

ジェッキ(心の声)「私、本当にあの子を…手に入れたいわ」

ジャケットの袖をめくると、そこにはエレキ仙女から受け取ったピンクの時計が顔を覗かせる。
これをつけている限り、マテの心が自分から離れることはない、そう聞かされた時計だ。

ジェッキ「お金じゃダメなのかしら…」

+-+-+-+

「結婚?!」

エレキ仙女は目を丸くした。

エレキ仙女「結婚するって?」

ジェッキはその足でエレキ仙女の元を訪れていた。

ジェッキ「…はい。プロポーズしようと思うんです」
エレキ仙女「…。」
ジェッキ「たとえたったの一日でも、彼の女として生きたいんです」
エレキ仙女「早すぎるわ」
ジェッキ「この前は彼を逃すなとおっしゃったじゃありませんか!」
エレキ仙女「ちゃんと捕まえろと言ったの。急ぐなとは言っていないわ」

困って溜め息をつくジェッキの袖から覗くピンクの腕時計に、エレキ仙女の視線が動く。

エレキ仙女(心の声)「1000億の財産家がプロポーズするのに、断るようなバカがいるのかしら…?まだ売りつけるお札はたくさんあるけど」

エレキ仙女は方針を決め、口を開いた。

エレキ仙女「今プロポーズしたら金を逃すわ」
ジェッキ「え?!お、お金を…逃すって?」



エレキ仙女は自信たっぷりにコクリと頷く。

エレキ仙女「次はそいつを必ず連れて来なさい」
ジェッキ「…。」
エレキ仙女「神霊様が自らご覧になるそうよ」
ジェッキ「…はぃ」

+-+-+-+

「オッパ!」

靴下の山の前で待つマテの元へ、ボトンが駆け込んできた。

ボトン「(封筒を差し出し)328万ウォン。貯めたのは全部です」
マテ「時計売ったんじゃないのか?」
ボトン「ジャジャーン!(時計の箱を出し、マテに持たせる)これはオッパが持っててこそ輝くものでしょ?」
マテ「それじゃ、この金は?」
ボトン「…。それはオッパに車買ってあげたくて貯めてたんだけど…」
マテ「!」
ボトン「オッパはもう車持ってるから。それもめちゃくちゃいい車^^いいんです、これで家賃払って、ここで靴下売りましょうよ」
マテ「どうやって貯めたんだ?」
ボトン「バイトしたんですよ」
マテ「…。靴下が全部売れたら払ってやるから。前金投資だと思ってくれ」
ボトン「(笑う)了解」

+-+-+-+

ピンクの時計を見つめ、じっと考えていたジェッキは、それを外し、ゴミ箱に放り込んだ。
サングラスをつけると、緊張した面持ちで立ち上がる。

+-+-+-+

『一度の準備で家族皆の足は安心』

店の中に次々とPOPを貼り、ボトンは靴下を売る準備を着々と進めていた。
そこへ乱暴に飛び込んできたのは…ガラの悪い男たちだ。
「誰の許可を取って商売してんだ!」と入ってくるなり怒鳴った男は、店の中のPOPを毟り取る。

すでに1ヶ月分の家賃を払ったと主張するボトンに、持ち主はここにいるのに誰に払ったんだ、家賃を払えと男は声を荒げる。

…。

店の前に戻ってきたマテは愕然とした。

「ごめんなさい、オッパ」

地面にばら撒かれた靴下。
その真中に座り込んだボトンが「どうしようもなくて…」と鼻をすする。

マテ「お前が謝ることなんかない。俺が世間知らずだったんだ」
ボトン「靴下どうしよう…」

ボトンが地面に散らばった靴下を拾い集める。
足元の彼女を、彼は止めた。

マテ「やめろよ」
ボトン「!ダメです、オッパ。私、この靴下全部…」

彼を見上げたボトンの額にマテの視線が釘付けになる。

マテ「お前、その顔どうした?怪我したのか!」
ボトン「?私、怪我してますか?(顔を触る)どこ…?」
マテ「顔のケガにも気づかないで…行くぞ」

マテはボトンの腕を掴んだ。

+-+-+-+

白いポルシェが走り去るのを、対向車線に停めた車からユラが見送った。

ユラ「苦戦してるわね、トッコ・マテ」

+-+-+-+

薄暗いマンションでインターホンが鳴る。
マテがモニターのボタンを押すと、そこにはいつになく深刻な表情のジェッキがいた。

出されたお茶を手に取ると、ジェッキは注意深く切り出した。

ジェッキ「マテ」
マテ「今日は…とても辛い日です」
ジェッキ「…。」
マテ「この世がどれほど険しいか…。僕たちの話は今度にしましょう」

マテを見つめ、ジェッキは穏やかに微笑んだ。

ジェッキ「私一人で十分よ」
マテ「…。」
ジェッキ「マテがどんなことを経験したのかは分からないけれど、世間はね、今日よりもっと険しくてて、熾烈で…私たちを惨めにさせることもあるわ」
マテ「…。」
ジェッキ「私はそういう時間を全部経験してきた。これからだって経験するでしょうね。でもね、それは私だけにしましょう。マテはそんな目に遭わないで」

マテが視線を上げた。



ジェッキ「ただ私のそばにいて。私が盾になってあげる」
マテ「…。」
ジェッキ「見せるものがあるの」

ジェッキはカップをテーブルに置くと立ち上がった。
リビングの奥へ進み、カーテンを開くと、その向こうに夜景が現れた。

ジェッキ「私のビルよ。(指を指し)あそこに見える灯りの消えた新しいビル。あのビルのために近頃本当に忙しかったわ」
マテ「…。」
ジェッキ「待たせてごめん」
マテ「…。」
ジェッキ「何がしたい?何でもやるといいわ。…私のそばで」
マテ「…。」
ジェッキ「何がやりたくない?何もしないで頂戴。…私のそばで休んで」
マテ「!」

ジェッキが窓のビルを眺めて微笑む。
すると、マテの目の前でビルの全面に「♡」のマークが灯った。

マテ「!」
ジェッキ「私たち、結婚しましょう」
マテ「…。」
ジェッキ「一生何不自由なく贅沢させてあげる」
マテ「…。」

+-+-+-+

「ジェッキがプロポーズを?」

ユラが電話口でそう言った。

ユラ(電話)「ジェッキと結婚することが”征服”だと思ってるの?お金とはどういうものか知るのが本当の征服よ」
マテ(電話)「わざわざ何処の誰かもわからない女たちを、苦労して征服だかなんだかしながら、遠回りする必要もないんでね」

マテはビルに灯るハートのマークを眺めた。



マテ「2000億の財産家の亭主。何でも手に入る座。あんな靴下、話にもならない物を売るために苦労するより百倍千倍マシです」
ユラ「靴下はあなたの恥部になるでしょうに。ふふっ、いいのかしら?あなたの人生で失敗を経験するたび、倉庫の靴下を思い出すことになるわ」
マテ「…。」
ユラ「失敗の象徴としてね」
マテ「…。」
ユラ「でもね、頭痛の種の靴下、それを解決すれば、あの靴下はあなたにとって成功の象徴になる」
マテ「…。」
ユラ「ここまで愚かだとはね。驚きだわ」
マテ「いいですか、ホン・ユラさん。いや、今やX義姉様とお呼びするべきか?」
ユラ「…。」
マテ「この結婚一つでジェッキの経済力と影響力、それが全てこのトッコ・マテのものになるんです。これでMGのナ・ホンラン副会長を…」
ユラ「純情なのね」
マテ「!」
ユラ「あなたとは結婚しないわ。ジェッキは…」
マテ「(笑)嫉妬なさってるんですか?招待状をお送りしますよ」

電話が切れると、ユラはニヤリと笑った。

+-+-+-+

MG本社。

パク・ムンス理事が残って書類を確認していると、母親であるナ・ホンラン副社長が様子を顔を覗かせた。

ナ・ホンラン「この前の株主会議にはどうして来なかったの?重要な席だから必ず参加しなさいと言ったのに。忘れたの?」
パク・ムンス「有名な女優が一杯やろうと言ってきましてね。タイプじゃなかったけど、一緒に飲んで楽しかったですよ」
ホンラン「ムンス」
ムンス「株主会議に参加させないように女優を送り込んでくださったのに、孝行すべきでしょ?母さんの意志なんだから」
ホンラン「(笑)誤解してるのね」
ムンス「誤解だといいですけど。あぁ、次は僕のタイプの女性を送り込んでくださいよ」

まるで何でもないように軽く話す息子に、ナ・ホンランは思わず笑った。

ホンラン「(笑)何のことだか」
ムンス「(笑)僕も母さんには関係ないことだってことで理解しましたよ」
ホンラン「…。」
ムンス「スルリの母親と離婚したことも、そうやって心を整理したんです」
ホンラン「…。そう」



+-+-+-+

部屋へ戻ったナ・ホンランは力が抜けたように席に腰掛けた。

ホンラン「あの子、思春期ね。歯向かうとは…」

+-+-+-+

ここで一旦区切ります。
うぬー、結構いい加減な箇所がチラホラ^^;また聞き直します。

ダビデの笑顔が爽やかでいいですね~。
ソフトで優しそうで、なかなかいい味だしてくれそうです。

冷たいマテがふいにチラッと素っ気なく優しさを見せると「ホワン♥」としてしまうわん

ではまたっ!





3 件のコメント:

  1. ありがとうございます(*≧∀≦*)
    朝から嬉しいです!
    夜中まで예쁜 남자 を見て、朝からユジナさんの翻訳が読めて!幸せです(*´∀`)
    ハートのビルは うふふ 可愛いかったです♪

    泥がヴィンテージ、、、だったとは
    なにをボトンが慌ててるのか、、、、
    今でも不思議です、、、(; ̄ー ̄A

    今夜の4話も楽しみです(*´∀`)

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  2. ツイでフォローさせてもらっている、あっちゃんです。
    あたしは、ユジナーさんの訳をプリントアウトして、1度読み、次は映像を見ながらまた読んで理解しています。
    ありがとうございます!

    返信削除
  3. ありがとうございます。
    love rainでは、お世話になりました。
    また、きれいな男で訳が読めて幸せです。
    時折解説があるのがいいです。
    また、ノートにしようかな。

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記事を読んでくださってありがとうごございます。
コメントの際はお名前を入れてくださると嬉しいです。