※まだ空欄が残ってますが、また聞き直しますね。
+-+-+-+
ユラ「この懐中時計、本当にボトンさんの?」
ボトン「えぇ、マテオッパがくれたんです。おばさんの遺品を一つ持ってろって」
ユラ「これがマテのですって?」
ユラは愕然とした。
それはナ・ホンランが持っていたものと同じ懐中時計。
なぜそれをマテが?!
ちょうどそこへマテがやって来る。
ユラ「急ぎの用事があるのを忘れてたわ」
「また連絡する」そう言って、ユラはオフィスを出ていこうとする。
マテ「大丈夫ですか?」
ユラ「…。」
マテ「お送りしますよ」
ユラ「いいの」
マテ「?」
ユラ「いや…大丈夫よ。仕事をして」
ユラはオフィスを出たところで茫然と立ち尽くした。
ユラ「まさか…あの時計と全く同じものかしら?」
+-+-+-+
ホンランは弁護士と面談していた。
ホンラン「チェ・ジュナの持ち株ですが、いっそのこと不法贈与に結びつけて、ふいにしてしまえばどうでしょう?」
弁護士「チェ・ジュナくんは戸籍に入る手続きが進んでいるようです。そうなれば会長のご子息であるのは確かですので、手の打ちようがありません」
ホンラン「…。」
弁護士「途方も無い相続税が掛かるはずですが、お二人共すでにそれを踏まえて準備しているようです。不法贈与にはなりません」
ホンラン「誰か…もし誰か、会長にまた別の息子が現れたら、パク・ムンスとチェ・ジュナの持ち株を分け与えなければならないのでは?」
弁護士「…。」
ホンラン「あるいは会長の持ち株を分けるとか」
弁護士はしばし考え、慎重に答える。
弁護士「新たな相続者が現れ、自らの権利を主張すれば可能でしょう」
その答えに、ホンランは静かに微笑んだ。
+-+-+-+
ダビデ邸にやって来たマテは、門の前に停めてあるダビデの新車に目を留めた。
後ろのガラスに書いてある”子どもが乗っています”にマテは呆れる。
マテ「幼稚だな。こんな生き方して嬉しいか?」
門を入りかけ、ふと立ち止まると、ガラスの上の文字を剥がそうとする。
思いがけずそれは剥がしづらく、マテはイライラして車を蹴飛ばした。
と、途端に車の警報装置が働き、けたたましくサイレンが鳴る。
マテ「!!!」
+-+-+-+
中で仲睦まじくギターの練習をしていたダビデとボトンが、外から聴こえてくるサイレンの音に気づいた。
ボトン「あれ?これってチーム長の車の音じゃないですか?」
サイレンを鳴らしながら、ダビデの車は逃走するマテの姿をバッチリ撮影する。
ボトン「誰か車上荒らしに来たんじゃ?」
ダビデ「大丈夫ですよ。そのためにブラックボックスがあるんだから」
ボトン「あぁ^^」
二人はたいして気にすることもなくギターに戻る。
ボトン「次、何やります?」
ダビデ「えーと、昨日覚えたやつ」
+-+-+-+
マンションに戻るとマテの電話が鳴った。
マテ(電話)「もしもし」
「私、ナ・ホンランです」静かな声が聞こえてくる。
ホンラン「私たち、一度会うべきじゃないかしら?」
マテ「さぁ」
ホンラン「興味深い提案をしたいんだけれど」
マテ「その興味深い提案には興味がありません。この電話は受けなかったことにします。副会長の名誉もありますから」
マテは一方的に電話を切った。
ホンラン「新たな庶子が現れたというのに何をしているの?今は虎を追っている場合じゃないわよ」
+-+-+-+
「ダメよ、あなた!」キジの母親が取り乱していた。
キジ母「拘束だなんて!どうなってるのよ、一体!」
キジが様子を窺うと、父はソファにぐったりと座り込んでいた。
キジ母「ホン秘書、どうにかしなさいよ!一体どうなってるの?拘束だなんて!」
ホン秘書「検察庁長と連絡が取れないんです」
カン会長「 」
キジ母「はぁ、どうしましょう!」
カン会長「私は何に乗って行くんだ?」
ホン秘書「(もじもじ)検察から来る…乗合車に乗っていらっしゃらなければ」
カン会長「乗合車?車酔いするのに!」
乗合車というワードに、カン会長は唖然として立ち上がる。
カン会長「トッコ・マテは?」
ホン秘書は苦しげに俯いた。
キジ「…。」
陰でずっと話を聞いていたキジは、まっすぐ視線を上げる。
+-+-+-+
マテは社長室のデスクでニュースサイトを目にしていた。
『イ・ギム検事 拘束令状発布
大企業総帥の拘束捜査を異例的に断行』
カン会長が”乗合車”で連行されていく姿が写真で大きく報じられていた。
マテ「誰にも止められないな」
+-+-+-+
カン会長の取り調べにはイ・ギム自らがあたっていた。
イ・ギム「不便なことがあればご辛抱ください。公的施設ですので快適とは言えません」
カン会長「結局、一泡吹かせるおつもりだったのかね?検事さん。なぜ企業相手に売れ残り女のヒステリーをぶつけるんです?」
イ・ギム「売れ残り女のヒステリー。まともにご覧にいれましょうか?」
カン会長「…。」
イ・ギム「そうしていれば会長はとっくに刑務所にいらっしゃるはず」
カン会長「…。」
イ・ギム「私は大韓民国の検事として法を遵守しているだけです」
「不法贈与の件から始めます」イ・ギムの口調が厳しくなった。
+-+-+-+
社長室にダビデがやってくる。
ダビデ「社長、ひょっとして昨日うちの家に来たんですか?」
マテ「えっ?そりゃ寝耳に水だな」
ダビデは頷く。
ダビデ「僕も寝耳に水だとは思ったんですけど、いやね、僕の車のブラックボックスに社長とそ~っくりな男がさっと現れて逃げて行ったんですよ。子犬みたいにね」
マテ「…。」
ダビデ「(ニヤリ)社長じゃないですよねぇ~」
「っはーっはっはっ!」マテは豪快に笑ってみせる。
ダビデ「…。」
マテ「じっとここに座ってる人間を何で犬ころ扱いするんですか!」
ダビデ「そうですよねぇ。社長が何のためにわざわざあんな時間に…。車をボンと蹴ったんですよ!通報しようかな」
マテ「…。」
そこへボトンもやって来て社長室を覗く。
マテ「おい、俺じゃないって!」
ボトン「いや、キジが…。キジが今…」
マテ「?」
+-+-+-+
キジが緊急記者会見を開いていた。
キジ(会見)「私カン・キジのことを人は”バック(後ろ盾)のある女”と呼びます。私自身もまたそのバックを信じ、あまりに多くの人を苦しめました。ですが、ようやく気づいたんです。私カン・キジは、そのバックなしには何者でもないと」
ボトン会社でも、皆が会見の中継を見つめていた。
キジ(会見)「他にも気づいたことがあります。人々は全て”バック”を持っています。私カン・キジだけが持っているわけではありません。ここにいらっしゃる記者の皆さんもバックがあります」
マテ「…。」
キジ(会見)「生まれながら埋まっている表面と共に、自分自身が埋めていく裏面」
キジの言葉に、マテは人知れずフッと微笑んだ。
#このマテの表情、もう私ハッとしました。何ていい顔するんでしょうね。
キジ(会見)「私カン・キジはその裏面について考えました。そこで、本日皆様をお招きし、”裏面を埋めていく作業”を始めようと思います」
キジは改めてまっすぐカメラに視線を合わせた。
キジ(会見)「SSグループ唯一の相続者である私カン・キジは、本日、不法的に贈与された全ての相続を拒否いたします」
静かだった記者席がにわかに大きくざわめいた。
一斉にカメラのシャッターが切られる。
+-+-+-+
会見を終え、キジはホン秘書に付き添われて自宅に戻ってきた。
そこへホン秘書の電話が鳴る。
ホン秘書(電話)「私です。はい」
「あぁ、はい」とホン秘書は嬉しそうに微笑む。
ホン秘書(電話)「はい、そのようにお伝えします」
ホン秘書が電話を切る。
キジ「何?」
ホン秘書「夕食をご一緒なさりたいそうです。トッコ・マテさんが」
キジ「…。」
+-+-+-+
初めて会ったときと同じレストランにやってくると、キジはマテの姿に気づき、秘書をその場で待機させた。
彼女に気づくと、マテが椅子をすすめる。
キジ「…。」
彼女がおそるおそる椅子の前に立つと、マテは今度こそすんなり彼女を座らせた。
マテが正面の席につくと、キジが先に口を開いた。
キジ「二度と私に会わないっていう条件でサインしたはずだけど」
マテ「どうせ他の条件も守れませんでしたから」
キジ「…。」
少し気まずそうにキジが俯くと、マテは穏やかに微笑む。
料理が運ばれてくると、マテはキジの分を綺麗に取り分け、彼女の前に置いた。
キジ「今頃になってどうして優しくするの?」
マテ「賞賛したいんです」
キジ「?」
マテ「幼くて分別がないとばかり思っていたキジさんが、どうしてそう立派な考えに至ったのか」
キジ「マテが教えてくれたじゃない」
マテ「?」
キジ「人の裏面があーだこーだとか言ってたの、マテでしょ」
マテ「^^」
キジ「そのおかげで考えてみたの。私の裏面をどんなふうに埋めるべきか。私が受け継いだ才能をどう発揮するか。マテから学んだことを実行しただけよ」
大きく成長した同士、二人は見つめ合い、微笑んだ。
キジ「私、留学するわ」
マテ「!」
キジ「ファッションの勉強しようと思って。有能なデザイナーになるつもりよ。裏面はそうやって埋めてみるわ」
マテが嬉しそうに笑う。
マテ「有能なデザイナーになったら、僕の服も一つ作ってください」
キジ「^^」
マテ「もちろん楽な仕事じゃないでしょう。僕のルックスは普通じゃないですから^^」
「認める」キジは笑ってそう言うと、マテももう一度笑った。
マテ「それから、一つ頼みが」
キジ「?」
マテは顔の前で手を組んだ。
マテ「タメ口きくなよ。オッパはいつも気分悪いんだ^^」
キジ「^^」
マテがグラスを手に取る。
マテ「Happy New Year!」
キジ「Happy New Year!オッパ^^」
二人は最後まで笑顔でグラスを合わせた。
#はぁ、何ていいシーンなんでしょ。二人共表情が良すぎてキャプの手が止まらん。
+-+-+-+
キソクの部屋の扉を誰かがノックする。
扉が開き、ユラが顔をのぞかせると、キソクはベッドで満面の笑みを浮かべた。
ユラ「ご回復の具合が気になって、ご挨拶に伺ったんです。外でお目にかかるには寒すぎますから」
キソクが頷く。
キソク「よく来たね。感謝するよ」
ユラ「来るのが当然です」
「あの…」ユラが躊躇いながら話をきりだした。
ユラ「カフェ、ありがとうございます」
キソク「家族同士でそんな挨拶はいらないだろう?」
ユラ「私はまだ…家族でしょうか?」
キソク「スルリの母親という名前は、この世に君しかいないじゃないか」
ユラはホッとしたように微笑むと、もう一度「あの…」と続ける。
ユラ「お義父様」
キソク「?」
自分の言葉を待ち、まっすぐ見つめるキソクに、ユラは疑問をぶつけられずに微笑んだ。
ユラ「元気で戻ってきてくださって、本当に良かった」
+-+-+-+
ホンランの書斎へやって来たユラは、デスクの上に置いたままになっている懐中時計をすぐに見つけた。
それはやはり、ボトンが「マテから貰った」と言ったそれと同じものだ。
ユラ「…。」
+-+-+-+
「それで、私に何をしてほしいんです?」
ホンランの兄、ナ・ジンソクの息子ナ・ファンギュが淡々とユラに尋ねた。
ユラ「連載小説の準備をなさっているのは知っています」
ファンギュ「…。」
ユラ「その小説に私のアイテムを使ってください」
ファンギュ「?」
ユラ「この小説のポイントは、ナ・ホンランの悪行を全世界に知らしめることです」
ファンギュ「!」
+-+-+-+
ファンギュは書斎で長い間考え込んでいた。
そして、ようやくPCの画面に向き合うと最初の一行を記す。
”企業実話 【欲望】”
+-+-+-+
仕事を終えて帰ろうとしたボトンは、立ち上がってハッと動きを止めた。
机の上に置いたままの懐中時計に目が止まったのだ。
「この時計、ボトンさんの?」ユラの只ならぬ様子が、どうしても引っ掛かった。
ボトン「どうしてあんなに驚いてたのかな?」
ボトンは時計を掴むと会社を後にした。
+-+-+-+
ボトンはマテのマンションにやってくると、懐中時計を差し出した。
ボトン「これ」
マテ「どうした?」
ボトン「私が持ってるべき物じゃないみたい」
マテ「すぐ飽きるくせに何で欲しがったんだ?」
ボトン「オッパ、この前、ホン・ユラさんが事務所に来るなりすぐ帰ったことがあったでしょう?」
マテ「…。」
ボトン「そのとき、この時計見てビックリして出て行ったんです」
マテは改めて時計を見つめた。
ボトン「もしかしたらこれ、暗号と何か関係あるんじゃないかな」
マテはじっと考えを巡らせた。
+-+-+-+
その懐中時計をマテは時計店に持ち込んだ。
店員「スイスの時計ブランドのものです。かなり高価なので一般にはあまり知られていないブランドなんですが、これはいつのデザインなのか…」
店員が懐中時計をもう一度見つめる。
マテ「写真を撮って鑑定に出せますか?何か情報を得られるんじゃないかと」
「それがいいですね」店員は早速懐中時計の撮影を始めた。
ちょうどそこへ、マテの携帯にメールが届く。
ナ・ホンラン(メール)「最近ホン・ユラがやけに静かではありません?興味深い提案には、相変わらず興味がないのかしら」
マテ「…。」
マテはその場でユラに電話を掛ける。
だが、電話は繋がらない。
+-+-+-+
マテは会社で報告を受けていた。
ダビデ「テレビ通販の企画書は全部配りました。反応はもう少し待ってみないと」
ボトン「年末だから時間が掛かりそうです。会社の行事も多いみたいで」
マテ「販売実績はいいから、まぁどこかいい反応があるでしょう」
そこへ、扉を開けて入ってきたのはホン秘書。
皆一斉に彼を振り返った。
ホン秘書「明日午前11時、SSホームショッピング理事会に参加なさるようにとのメッセージを伝えに参りました。
マテ「SSホームショッピングの理事会に、何故僕が?」
ホン秘書「代表理事資格です」
マテ「?」
ホン秘書「会長がトッコ・マテさんをSSホームショッピングの代表理事に任命なさいました^^」
一同「?!」
#何気にトクセンが黒髪になってて、誰かと思った。
+-+-+-+
社長室へ通されると、ホン秘書は穏やかに話を続けた。
ホン秘書「カン会長は刑務所に移送されました。車椅子セレモニーもお流れに」
マテ「…。」
ホン秘書「系列会社のうち、SSホームショッピングをトッコ・マテさんに一任なさいました」
マテ「どういう意味でしょうね。SSホームショッピングをくれと言ったときは、何処ぞに埋めてやるとおっしゃっていた方が」
ホン秘書「トッコ・マテさんがSSグループに希望をくださったからです」
マテ「?」
ホン秘書「会長唯一の血筋、キジお嬢様が自らの道を掴めるよう導いてくれたのがトッコ・マテさんだとお考えのようです」
マテ「…。」
ホン秘書「ですが、ハッキリ申し上げておきますよ。トッコ・マテさんを婿として迎えるお考えは絶対にないと強調なさいました」
マテ「(笑)愛する人でなければ僕も嫌だと、ぜひお伝えください」
ホン秘書「(笑)喜ばしい情報、必ずお伝えしましょう」
「それでは理事会に参加されるということで」ホン秘書が立ち上がろうとした。
マテ「あの…」
ホン秘書「?」
マテ「カン会長の体調はどうなんです?」
ホン秘書「いいわけありませんよ。ご自身は拘束されてトッコ・マテさんがSSホームショッピングの代表になり、イ・ギム検事は検察庁長に迎えられて。一人損をなさった会長の気持ちが分かりますか?」
マテ「待った。誰が検察庁長になったって?」
+-+-+-+
イ・ギムの執務室のドアがノックされた。
「お客様です」秘書が来客を告げると、続いて入ってきたマテが手に持った花カゴを掲げて微笑んだ。
マテ「正義は必ず勝つ。そう証明なさいましたね。お祝い申し上げます、心から」
イ・ギム「私にはまだ分からないわ。正義とは何なのか」
マテ「まぁご本人には分からないかも知れないな。自ら実践するのに大忙しなんだから」
イ・ギム「…。」
マテ「検事さんが生きていきた人生、それ自体が正義ですよ」
マテの言葉に何も答えず、イ・ギムは小さく溜息をついた。
+-+-+-+
ホンランは秘書の報告を受けていた。
秘書「SSの次は我々MGだと検察内でも噂されているようです。すでに捜査方針も決まっているようですが、新都市開発情報を入手した過程から調べるようです」
ホンラン「…。」
秘書「百貨店の土地買入権が不法だと知れたら副会長の立場が危うくなります」
ホンラン「方法を考えてみなければ」
秘書を下がらせると、ホンランはデスクの一番上の引き出しを開いた。
そこにしまってあった携帯電話を取り出すと、ホンランはどこかへ電話をか掛ける。
ホンラン(電話)「お久しぶりです。情報が必要なんです。情報料はいくらでも差し上げましょう」
ホンランはさらに声を低くする。
ホンラン(電話)「イ・ギム。検事の職を剥奪しなければ」
+-+-+-+
静かな料理屋にキソクとムンスがいた。
キソクはメニューを指し、「コースを3人分」とオーダーする。
ムンス「母さんがいらっしゃるんですか?」
キソク「いや、紹介する人がいるんだ」
ムンス「…。」
そこへ入ってきたのはダビデだ。
ダビデはキソクと一緒にいるムンスをみて、驚いた表情を見せた。
キソク「おぉ、来たか」
ダビデが横に立つと、キソクは言った。
キソク「お前の兄さんだ」
ムンス「!」
ダビデ「…。」
「前に会いましたね」ムンスが辛うじて声を掛ける。
ダビデ「このような席だとは知りませんでした。また今度お目にかかります」
ダビデが背を向けようとすると、キソクが慌てる様子もなく引き止めた。
キソク「座りなさい」
戸惑うダビデに、キソクは穏やかに微笑む。
ダビデはキソクの隣の席に腰を下ろした。
キソク「(ムンスに)今回の臨時株主総会で代表の席を守ってくれた、お前の弟だ」
ムンス「!」
ダビデ「…。」
キソク「人は死ぬまで過去を振り返りながら生きるようだ。ようやくお前たちを会わせられて、父さんには大切な物がよく分かった」
ムンスとダビデの視線がまっすぐぶつかる。
ダビデ「警戒なさることはありません」
ムンス「そんなふうに見えましたか?」
ダビデ「念の為に申し上げておきますが、僕は経営など何の関心もありません」
ムンス「…。」
「でも」ダビデは父を振り返る。
ダビデ「この場にいるべき人がもう一人いるのでは?」
キソク「…。」
ムンスが不安に駆られ、父に視線を移した。
キソク「随分せっかちな性格になったものだ」
ダビデ「…。」
+-+-+-+
古い韓屋を利用した静かな茶屋に、ホンランがいた。
彼女の正面に座っているのはマテだ。
茶を出した店員が下がると、ホンランはマテににこやかに声を掛けた。
ホンラン「お茶をどうぞ」
マテは防御をさらに固める。
マテ「どんな提案をなさるんでしょうか」
ホンラン「(笑)そうね。親しい仲でもないのだから、要件だけ話しましょう」
マテ「…。」
ホンラン「パク・ムンス代表解任の危機に瀕していたのは知っているでしょう。(笑う)スルリの母親がイライラして、トッコ・マテさんに哀訴したのではありませんか?」
マテ「今のところ興味深くはありませんね」
「ふふっ」と笑うと、ホンランは表情を少し厳しく変えた。
ホンラン「解任される他なかったパク・ムンス、一瞬の内にひっくり返す完璧なシナリオだったわ」
マテ「…。」
ホンラン「誰が守ったのかしら」
少し考えるようにマテは視線を泳がせた。
ホンラン「パク・ムンス代表、ホン・ユラの前夫を守ったのは誰かしら」
マテ「…。」
ホンラン「そろそろ興味深くなったんじゃないかしら?」
マテ「…。」
ホンラン「チェ・ジュナ」
マテ「?」
ホンラン「人はチェ・ダビデと呼ぶわ」
マテ「!」
ホンラン「その名前で生きているから」
マテ「チェチーム長…。彼がどうして?」
ホンランは静かに首を横に振る。
ホンラン「私も今になって分かった驚くべき事実よ。チェ・ジュナ…。会長の息子」
マテ「!!!」
ホンラン「MGグループの持ち株でパク・ムンス代表を守ったんです」
マテ「…。」
愕然とするマテの反応を確かめ、ホンランは落ち着いてお茶をすすった。
+-+-+-+
食事を終え、先にキソクを車に乗せると、店の前にはダビデとムンスが残った。
「では」ダビデが頭を下げる。
ムンス「車で来たんですか?」
ダビデ「えぇ」
ムンス「ゴルフはします?」
ダビデ「いえ」
ムンス「運動は何が好きですか?」
ダビデ「何もありません」
「あぁ」そう言ってムンスが俯く。
すこし落胆したムンスの表情に、ダビデは何とか言葉をひねり出した。
ダビデ「釣りは…少しやります」
ムンス「(喜)今度、一度釣りに行きましょうか。頭の痛いことは全部抜きにして」
ダビデ「…。」
ムンス「節操もないが僕は…嬉しくて」
ダビデの表情がわずかに柔らかくなる。
ムンス「一人だと思っていたのに、男前の弟に会えて気分がいいな」
ダビデ「負担に思われる必要はありません。僕は静かに生きるのに慣れているんです」
ムンスは小さく頷いた。
ムンス「今度会ったら、話しかけてもいいですか?」
ダビデは頭を下げ、ムンスの前を後にした。
+-+-+-+
ホンランの話が続いていた。
ホンラン「今日、パク・ムンスとチェ・ジュナ、会長の3人で食事をしているようだけれど、本格的に手を組んだとみるべきでしょう」
マテ「…。」
ホンラン「私と手を組んで」
マテ「!」
ホンラン「私の手を取るのが最も早く、安全に稼ぐ道よ。分からないかしら」
マテ「…。」
ホンラン「DNA検査に協力します。そして、自明の結果を突きつけるの。そうなれば間違いなく持ち株が入るでしょう」
マテ「そうなれば僕はその持ち株を手にしナ・ホンラン副会長に献上すると、そういうことですか?」
ホンラン「よく考えてみて。あなたが庶子の座を手に入れれば、ホン・ユラはあなたを捨てるわ」
マテ「…。」
ホンラン「(笑)そういう世界なんです。ホン・ユラはチェ・ジュナに感謝の涙を流すと思うでしょう?でも、チェ・ジュナは第一の人物になるんです。ホン・ユラが蹴落とすべき人間の第一位。昨日の味方は今日の敵。パク・ムンスを座を脅かすチェ・ジュナを放っておくかしら」
マテ「…。」
ホンラン「チェ・ジュナの運命は、あなたが直面すべき運命そのものだったということです」
マテ「それについては副会長も同じ立場ですか?」
ホンラン「私はあなたを守りましょう」
マテ「…。」
ホンラン「それが私の興味深い提案よ」
マテ「…。」
ホンラン「ホン・ユラの手を離し、私の手を取って。あなたが生き残れる道です」
「考えてみましょう」マテは混乱の中で、辛うじてそう答えた。
ホンラン「あまり時間がありません。お話した通り、チェ・ジュナの戸籍整理は直に終わります」
マテ「…。」
+-+-+-+
マテはユラのカフェを訪れていた。
マテ「俺に言うことがあるんじゃないか?」
ユラ「何のこと?」
マテ「チェ・ジュナ。チェ・ダビデと呼ばれているチェ・ジュナ」
ユラ「…。プライバシーだと言ったでしょう?」
マテ「チェ・ジュナが庶子だって事実が、俺とあなたの間で単なるプライバシーだって?」
ユラ「…。」
マテ「ナ・ホンラン副会長に会いました」
ユラ「!」
マテ「自分と手を組むのが生き残る道だと」
ユラ「その言葉に従うわけじゃないわよね?」
マテ「この話をするのは、俺が揺れてるからじゃない。俺は最初から今まで何一つ隠したりしなかった」
ユラ「ナ・ホンランに息子がいることからは全て共有して来たわ」
マテ「チェ・ジュナがあなたの夫を助けたことは?」
ユラ「…。」
ユラは何も答えず、目を伏せる。
マテ「俺はまだあんたを信じる。最初にあなたの手を取った自分を信じてるから」
ユラ「マテ、誰が誰を信じるのか、このゲームではそれが一番重要よ。ナ・ホンランの手に落ちれば、あなた一人利用されて捨てられるわ」
マテ「…。」
「面白いな」マテは思わず苦笑した。
マテ「今日は実感しましたよ。あなたとナ・ホンランは実によく似ている」
ユラ「…。」
+-+-+-+
一旦ここで区切りますね。
ムンスとダビデの関係がイマイチよくわからない…。
キソクはホンランに「君と結婚するときに捨てた息子だ」とダビデのことを話してたけど、それならムンスの方が年下になるんじゃ?ん?
原作でダビデがユラに語っている内容によると…。
「30年前、母がナ・ホンランに攻撃を受けた。チンピラがやって来て母を傷つけようとして、母は何とかアメリカへ逃げた。それを知った会長が母に口止め料をくれたが、母はそれを持ち株にしてくれと頼んだ。それから母はずっとMGの株を買い集めてきた。”遺恨”があったから。それは僕がMGの庶子だからだ」
うーん、そもそも会長がホンランと結婚するときに息子がいたという設定は、おそらく原作にはなかったと思うので、原作ダビデは単に愛人の子ですね。
あんまり深く考えるのはよそうっと^^;
もう一つ、キジについて補足を。
キジの会見内容やその後マテに話したことはほぼ原作通りですが、キジが留学に発つ前、最後にマテに言った言葉がドラマではカットされています。
キジ「あなたの裏面はすでに素敵なもので満たされているわ」
原作キジは、ボトン会社に出入りし、彼らのビジネスに首を突っ込んでいました。
ときには彼女の一言が大きなヒントになることも。
マテの日常を目にしている原作キジならではの「最後の一言」だったんだろうと思います^^
こんばんは。
返信削除いつも楽しく読ませていただいてます。
毎回、次の展開が気になるドラマです。
視聴率が良くないらしいので、グンちゃんの代表作とはならないのでしょうけど、代表作といってもいいほど、面白い内容です。
最後の最後で、変な風に終わらないことを望みます。
新年のお忙しいなか、ありがとうございます!
返信削除新年早々 分かってはいたものの
じぇじぇじぇの展開( ゚д゚ )
ムンスは先妻の子供ですよね?
今ひとつ 理解できてないwww
ユジナさんのまとめのところを何度も読み返し~~
今日もありますね♡
よろしくお願いします^_^
いつも読んでくださってありがとうございます。
削除そうか!ムンスが「キソクが結婚するときの連れ子」だったんですね。
今気づきました(笑)
ということは、ホンランと結婚する時、すでに二人息子がいたのに、ムンスは連れ子に、ダビデは隠し子にしたってことに。
よく分かりませんねぇ…。
こんなにも早く日本語訳を
返信削除ありがとうございます。
すごく展開の速いドラマなので
こんなこと言ってるのかな位しかわからないので
訳を読んで、確実に理解できます。
報道には、10人の女性から学ぶマテの成長ストーリーで
軽いドラマみたく評されているようですが
ここに来てマテの成長とともに
ずしりと響く台詞もあって
ますます興味を持ちました。
最後にゆじなさんの原作との比較解説も
とっても良いです。
いま韓国で流行っているキャラクターとか
わかるので。
私もひとつだけ、みつけましたよ。
マテがダビデとテントで寝袋で寝るとき
キリマンジェロのパンサーって言ってたのは
チョーヨンピルさんのコンサートテーマhello
ご大家が敢えてバンドに挑戦する進取の気鋭の
ワイルドさのこと?かなと。
間違っていたらごめんなさい。
お体を大事にして、そこそこやってくださいね。
じっくり待つのも楽しいですから。
明けましておめでとうございますm(__)m新年のお忙しい中ありがとうございますm(__)m最後まで見守りたいと思います。
返信削除いつも早々の翻訳、本当にありがとうございます!
返信削除私もずっと年齢の事が気になっていました。
(PCからじゃないと、コメントはじかれちゃうみたいなので
なかなか、こちらにコメントができませんで・・・)
でも、韓国ドラマ、冬ソナの時も
ああいう関係で、子供達が同級生って?・・って
思ったので、どうなんでしょうね~。
ムンスが先妻の子で、
ジュナの母を愛してたんなら
キソクは二度も政略結婚したのかしら・・?
明けましておめでとうございます(*^_^*)
返信削除お正月なのに、こんなに早く翻訳していただいてありがとうございますm(_ _)m
わくわくしながら読んでます(*^_^*)
複雑な絡みの所は何回か
読み返しています(^-^;
最後までハラハラドキドキが
止まりませ!(^^)!
新年おめでとうございます(*^。^*)
返信削除暮れからお正月の忙しい時期なのに、ドラマに合わせて早速に翻訳してくださり
有難うございます<(_ _)>
やはり、PCからコメントさせて頂きます(*^。^*)
ドラマが後半になってトッコマテの表情も大人の男らしくなってきましたね。
でも、出生の秘密が思いもよらない方向で・・・ どうなってしまうんでしょう?
どうしても、グンちゃん自身と重なって胸が苦しくなってきます。
でも 時折笑える部分もあるのが韓国ドラマの良い所ですよね~
ダビデの車に悪戯してみたり、 精神的に成長したキジに見せる笑顔は
素の優しいグンちゃんが見られたようでホッとしました。
これであと3話で終わるのでしょうか? もっとじっくり発展が見たいと
思ってしまいます。
Yujinaさんは原作も見てらっしゃるので、もう完結されてるのでしょうか^^
いつも、素敵でキュートなコメント部分が好きで「ほんと、ほんと!」とか
一人で相槌打ったりしています(#^.^#)
あと、3話楽しみにしています。 疲れない程度で宜しくお願い申し上げます<(_ _)>
いつもありがとうございます♪
返信削除キジの最後の一言、なんでドラマに採用されなかったんやろ…いいセリフなのに。
原作ミニ講座も毎回楽しませて頂いています。
ラストスパート、頑張って下さいね!