2013年12月15日日曜日

きれいな男8話あらすじ&日本語訳vol.1

チャン・グンソク、IU、イ・ジャンウ、ハン・チェヨン出演「綺麗な男」8話前半です。

キム・インジュンの蜘蛛の巣から逃れるため、マテは彼女が一番恐れる「スキャンダル」を仕掛けようと試みます。
たちまちインジュンは危機に。
そこで、彼女はマテに取引を申し出ました。
お互い収拾をつけようと…。その条件とは…?

では、さっそく~



+-+-+-+

「必ず聞いてもらなきゃいけない頼みがあるわ」

インジュンは切り出した。

インジュン(電話)「絶対にそうしてもらなきゃいけないの」
マテ(電話)「…。」
インジュン「どういう意味か分かるわね?」
マテ「頼みは…何です?」
インジュン「スキャンダル。トッコ・マテにスキャンダルの主人公になってもらうわ」
マテ「(笑)スキャンダルね。誰とスキャンダルになりましょうか?」
インジュン「ミョミ」
マテ「!」

鋭くなったマテの視線がテレビ画面の中のミョミに移った。

マテ「何だって?誰?」

TV番組でインタビューが続いていた。

インタビュアー「デビューして10年近くなるとのことですが、これまで一度もスキャンダルがありませんよね。恋愛したくなりませんか?」

インジュン「ワールドスター、ミョミよ」

+-+-+-+

飛行機を降りたミョミが空港のロビーに現れると、待ち構えていたファンたちが一斉に歓声を上げた。
次の瞬間、その様子はすぐに記事として上がり、瞬く間に膨大なアクセスを記録する。
同時に、「ミョミ 空港 入国」がリアルタイム検索ワードの1位に躍り上がった。

そして、入国時のミョミのファッションはすぐさま話題になり、同じものは一瞬で完売する。
ミョミに関わるものは全て、そのままトレンドになるのだ。

『第四の女 タイミングを知る女 ミョミ』



+-+-+-+

マテとインジュンの会話が続いていた。

マテ(電話)「そのカードを受け入れれば、あなたも俺のカードを受け取ってくれるのか?」
インジュン(電話)「トッコ・マテのカード…。それは何かしら?」
マテ「俺がミョミとスキャンダルになって、あなたをゴシップの中から引っ張りだしてやったら、あなたも俺を解放してください。あなたの蜘蛛の糸からね」
インジュン「蜘蛛の糸…。助けてあげたのに、そんなふうに言われたら寂しいわ」
マテ「…。」
インジュン「OK. 約束するわ」

電話を切ると、インジュンは携帯に保存してある音声ファイルを開いた。
マテの声が聞こえてくる。
「周りのどんな人間とも繋げたくない特別な人脈。恋人になってさしあげます」

停止ボタンを押すと、インジュンは意味深な笑みを浮かべる。

インジュン「まずは私を先に助けなさい。そして、もう一度始めるの。もっと安全にね」

+-+-+-+

ユラのカフェ。
テーブル席で待つマテに、ユラが飲み物を差し出した。
ユラが座るのも待たずに、マテが口を開く。

マテ「ミョミって人、何でキム・インジュンの頼みを聞いてるんでしょうね」
ユラ「頼み?」

ユラが笑う。

ユラ「きっと脅迫よ」
マテ「脅迫?」
ユラ「一度依頼に答えるたびに、数十億の報酬を手にするミョミよ。彼女がただキム・インジュンの頼み事のために、お掃除靴下みたいなアイテムに力を貸してくれるかしら?」
マテ「それならミョミも…?!」
ユラ「ミョミも何か弱みを握られているのかもしれないわ」
マテ「どんな弱みを握られてるんだ…?」

マテが首を傾げると、ユラが慎重に続けた。

ユラ「ミョミの噂、聞いたことがあるはずだけど?」
マテ「?」
ユラ「ミョミは…レズビアンよ」
マテ「!!!」

そこへマテの携帯にメールが入った。

キム・インジュン(メール)「清潭洞にあるノブレスの衣装室へ」

マテ「衣装室?」

ユラが彼に無言で微笑む。
マテも今後の期待に笑みを見せた。

+-+-+-+

ミョミの追っかけファンたちが思い思いのボードやプレゼントを手に、彼女の登場を待っている。
その端っこに…ボトンとダビデも並んでいた。

ダビデ「お掃除靴下をプレゼントしたい人ってミョミだったんですか?」
ボトン「うん。私、ミョミのスケジュール調べるために(声を潜め)ファンクラブまで入ったんです」
ダビデ「おーっ」
ボトン「(笑)お掃除靴下をすんごく気に入ってるみたいだし、これくらいはしないと道理に合わないから」
ダビデ「^^;」

女性ばかりのファンの行列の隅っこで、ダビデは居心地悪そうに小さくなった。

そこへ、一台のワンボックスが到着し、ファンたちが一斉に駆け出す。
ミョミが降りてくると、彼女は一瞬の内にファンたちに取り囲まれた。
ボトンも負けじとお掃除靴下の袋を差し出す。

ボトン「お掃除靴下です!」
ミョミ「!」

その単語にミョミが反応し、立ち止まった。

ミョミ「…。」
ボトン「お好きなようだったので持って来ました」

笑顔で彼女から袋を受け取ると、ミョミはあっという間に建物の中へ消えて行った。

ボトン「いい人みたい」
ダビデ「そうですね。早く行きましょうよ。工場3つも回らなきゃいけないんですから」
ボトン「行きましょ」

+-+-+-+

衣装部屋に入るなり、ミョミはボトンに手渡された紙袋を床に放り投げた。

ミョミ「捨てて」
マネージャー「どうしたのよ」
ミョミ「…。」

そこへ電話が鳴ると、ミョミはマネージャーに「先に入ってて」と断り、部屋の隅で電話を取る。

ミョミ(電話)「うん。私も会いたい。また連絡するから」

電話を切った途端、もう一度鳴り始めた。
画面の「キム・インジュン」の名前を、ミョミは浮かない表情で見つめる。

ミョミ(電話)「はい。…受賞式の衣装合わせに来てるんです」
インジュン(電話)「あら、おめでとう~。記事で見たわ。優秀女優賞が有望だって」

「けど、あなた…」とインジュンの目が鋭くなった。

インジュン「ノミネート記事よりレズビアン疑惑の記事のほうが多いわね」
ミョミ「…。」
インジュン「この辺で一度スキャンダル出したらどう?」
ミョミ「…。」
インジュン「男と付き合わないから噂が消えないのよ。後でちょうどいい男を一人送るから、とりあえず会ってみて」
ミョミ「そういうの嫌いなんです。嘘のつけない性格だって、ご存知じゃないですか」
インジュン「呆れるわ。嘘がつけないって?」
ミョミ「…。」
インジュン「よく考えるのよ。私が口を割れば…」
ミョミ「分かりました。分かりましたから」
インジュン「(微笑)1時間以内に着くはずよ。お掃除靴下を作った会社の社長なの」

電話が切れると、ミョミは溜め息をついた。「またお掃除靴下…?」

+-+-+-+

大きな鏡の前に立つミョミは、背中の大きく開いた黒いドレスに身を包んでいた。
足元でスタッフたちが衣装の裾をチェックしている。

「ミョミさん、お客様ですよ」そこへ現れたスタッフがミョミに来客を告げた。

ミョミが振り返ると、ちょうど入ってきた男と目が合った。
マテだ。

マテ「…。」
ミョミ「!」



虚ろだったミョミの目に、俄に驚きの色が滲む。

ミョミ(心の声)「この人…?」
マテ(心の声)「妙だな、あの眼差し…。俺を一目見て落ちる女たちの目とそっくりだ。レズビアンのあなたが…なぜ?」

ミョミはスタッフたちに席を外させると、マテに背を向けたまま、鏡越しに口を開いた。

ミョミ「思ったより若いわね。25ってとこ?」
マテ「29です」
ミョミ「(指をパチンと鳴らし)後ろを向いて」

マテはニッコリ微笑み、言われたとおり後ろを向く。
ミョミは衣装に手を掛けた。

マテ(心の声)「やっぱりレズビアンか。男を立たせておいて服を着替えるって?」

お互い背を向けたまま、ミョミが話を続けた。

ミョミ「まだ30にもならない若い社長さんが、そこまで計略的にビジネスをして、どれだけ成功できるのかしら」
マテ「…。」

ミョミ「恥さらしだとは思わないの?」
マテ「(笑み)」
ミョミ「財閥二世とも一度だってスキャンダルになったことないのよ」
マテ「財閥二世より僕のほうがマシではないですか?」

元の服に着替え終わったミョミが振り返り、マテの背中を見つめた。

ミョミ「どこがマシなの?」

マテも振り返り、まっすぐにミョミを見る。

マテ「顔です」

ミョミはフッと笑うと、マテに近づく。

ミョミ「私の前で顔自慢?」
マテ「…。」
ミョミ「芸能界に10年いるのよ。あんた程度の顔なら、テレビにいくらだって出てるわ」
マテ「10年テレビを見ていても、いませんでしたよ」
ミョミ「…。」

マテは自信たっぷりに微笑んだ。

マテ「僕ほどのイケメンはね」



どこまでも自信家なマテの態度に、言葉を失ったミョミは思わず声を上げた笑った。

ミョミ「初デートのプランは?」
マテ「動機のないデートだから、特に何も決めていませんが」
ミョミ「明日2時。私の家の前に来て」
マテ「…。」

マテは黙って頷くと、軽く会釈して背を向けた。

+-+-+-+

彼が出て行くのを見送ると、ちょうどミョミの電話が鳴った。
インジュンだ。

ミョミ(電話)「はい。とりあえず会うことにしました」

インジュンは一人ぼっちのダイニングでグラスにワインを注ぎ、微笑んだ。

インジュン「そう?大事なのは露出することよ。ミョミ、あなたとマテがね。素敵な絵をお願いするわ」

「じゃあ」とインジュンは電話を切ると、そのまま他の人物に電話を掛けた。

インジュン(電話)「こんにちは、キム記者。えぇ、私はまぁ元気です。最近どうなさってます?」

+-+-+-+

翌日。キム記者はミョミのマンション前の柱の陰で入口を見張っていた。
しばらく待っていると、一台の車がやって来てエントランス前に停まり、若い男が降りてくる。
それとほぼ同時に、マンションの中からミョミが出てくると、車越しに男にキーを放り投げた。

キム記者「よし!!!!」

キム記者は大喜びでカメラを構えると何度もシャッターを切った。

その男、マテはミョミと何か一言二言交わすと、自分が乗って来た車の後ろにあった別の車に、ミョミと共に乗り込んだ。

運転席に乗り込むと、バックミラーに映る人物の後ろ姿にマテは目を留める。

マテ「記者がマークしてるみたいだけど」
ミョミ「キム・インジュンのセッティングよ。バックして車を正面に回してやって。記者にサービスしてやらなきゃ」

マテは袖をまくって気合を入れると、エンジンスイッチを入れ、助手席に右手を回した。
キム記者の前を、二人の車が通り過ぎて行く。

ミョミ「もうやめなさい」
マテ「サービスしろって言ったでしょう?」
ミョミ「(目を閉じ)やめろと言ってるの」

マテはバック走行を続けたままほくそ笑んだ。

マテ(心の声)「惚れたか?みんなそうだ」
ミョミ「やめて!」

マテが急ブレーキを踏んだ。

ミョミ「!!!」

マテの右手が、保護するようにミョミの頭をしっかり押さえている。
ハッとしたように手を離すと、二人の間にぎこちない空気が流れた。

+-+-+-+

公園を歩く二人は、決まりが悪そうに無言で歩いていた。
すれ違う人みんな、揃って二人を見ていく。
そんな二人の様子を、こっそりついてきたキム記者はどんどんカメラに収めた。
遠くに見え隠れしているキム記者の姿にうんざりしながらも、ミョミはマテに提案する。

ミョミ「肩でも組みましょ。初スキャンダルの写真なんだから」
マテ「喜んで」

マテはミョミの肩を抱き、歩き出した。

マテ「肌寒いし、中に入りましょう」

二人は植物の苗が並ぶハウスの中へ入った。
彼はふと思いつくと、そこにあった樹の苗の葉を両手でこすり合わせる。
彼女を追いかけると、後ろから腰を抱きとめ、顔の前にサッと手をかざした。



ミョミ「!…何の真似?」
マテ「香り、どうです?(顔を寄せ)何?俺のほうがいい香り?」

ミョミは彼の手をサッと振り払い、咳払いをした。

ミョミ「俳優相手に演技するつもり?」
マテ「…。いや、ただやっただけなんだけど」

思わず笑うと、ミョミはまた歩き出した。

マテ「気になってることがあるんです。俺はまぁいいとして、トップスターがどうしてキム・インジュンに服従してるんです?」
ミョミ「…。「」
マテ「ひょっとして何か弱点でも?」
ミョミ「…コーヒーでも飲みましょ。今日はまだ一杯も飲んでないのよ」

+-+-+-+

カフェに入った二人の仲睦まじい姿も、着々とキム記者のカメラに収まっていた。
キム記者のカメラを意識しつつ、マテはミョミの手をとり、手相を覗く。
キム記者は顔を爛々と輝かせてシャッターを切った。



+-+-+-+

ミョミのマンションの前に車が戻ってくる。

車から降りると、マテは無言で車のキーを差し出した。
それを受け取ると、ミョミもまた黙ったまま、何か言いたげに彼を見つめた。

マテ「?」
ミョミ「…。」

一歩、二歩、ミョミは彼に近づくと、顔に手を伸ばす。
マテに緊張が走った。

マテ「…。」

彼女はかすかに微笑み、彼の襟元を直すと、その手をすっと下に滑らせ、彼のコートのポケットに手を入れた。

マテ「!」

ポケットから手を出した彼女の手には、彼の携帯が握られている。

ミョミ「しばらくは恋人なんだから、携帯番号くらい知っておくべきでしょう?私たち」

彼の携帯に自分の番号を素早く打ち込むと、ミョミはそれをまたポケットに戻した。
もう一歩近づくと、彼女はマテに囁いた。

ミョミ「私とスキャンダルになれば、あなたの人生はすっかり変わる」
マテ「…。」
ミョミ「記事が出た途端、違う世界に出会うことになるわ」
マテ「…。」
ミョミ「明日は…今日とは明らかに違っているはずよ」



ミョミはバッグからサングラスのケースを出すと、マテの手に握らせた。

マテ「?」
ミョミ「必須アイテム」

ミョミは身を翻すと、マンションの中へと戻っていった。
マテは放心したように彼女の後ろ姿を見送る。

マテ(心の声)「トッコ・マテ、お前どうした?!何ドキドキしてんだよ?レズビアン相手に。はぁ、最近おかしいぞ、ストレスが多すぎるんだ」

+-+-+-+

街の大型ビジョンを見上げた女性が、驚いて立ち上がった。
ミョミとマテのデートの様子がもう報じられたのだ。

『リアルタイム芸能ニュース ミョミ初スキャンダル!ネチズンもビックリ!』



次の瞬間、ネットには記事が溢れ、検索ワードは瞬く間にトレンドになった。
マテの姿も瞬く間にネット中を駆け巡る。
二人が立ち寄ったカフェは、たちまち同じものを注文して記念写真を撮る女性客であふれた。

記事になった二人のデート写真には、次々にコメントがついた。



「ミョミの相手ってお掃除靴下の社長だってwww」
「イケメンだね。タイプだわ」
「ふぅ。雑巾社長とそんなことしてちゃダメだよ、ミョミTT 」
「花美男な雑巾社長 花社長旦那~www」
「不適切な誹謗として管理者により削除されました」
「ミョミ~、ダメだよ~」
「でもこのくらいの顔なら、芸能人たちもメンツ丸つぶれじゃない?」
「お幸せに~」
「酷いんじゃない?お掃除靴下の社長だなんてさ」
「正直、このくらいの顔で金も稼ぐんならいいんじゃない?」
その他もろもろ。

+-+-+-+

パク・キソクMG会長の元を側近が訪ねていた。

側近「体調の方は大丈夫ですか?会長。もうすぐ手術に入るそうですが」
キソク「そうだね。気分はいいよ」

「あ、そうだ」とキソクが続ける。

キソク「マテはどうしてる?」
側近「先日から始めた靴下事業は随分うまく行っているようです。輸出が増えて、中国の工場も稼働しているようで」
キソク「ふむ、大したものだ」
側近「近頃は、その…、ミョミ嬢とスキャンダルにもなっています」
キソク「?!」

キソクは少々驚いたように側近を見ると、愉快そうに声を上げて笑った。

キソク「事業の手腕も人物のスケールもそっくりだなぁ」

ひとしきり笑うと、キソクは寂しそうに溜息をついた。

キソク「来る前にマテを呼んで、顔を見れば良かった」
側近「…会長」
キソク「ひょっとしたら、このアメリカの地で黄泉の国へ行くことになるかもしれないからな」
側近「会長、なんてことをおっしゃいますか」
キソク「(笑)冗談だよ」

+-+-+-+

ボトンとダビデがオフィスの前に戻ってくると、そこには何やらカメラを抱えた記者たちが大勢集まっていた。
誰かを待っているようだ。

ボトン「何?この人たち」
ダビデ「記者みたいだけど?」
ボトン「???」
ダビデ「うちのビルで事件でもあったのか?」
ボトン「もしかしたら…」

ボトンはダビデの肩をボンと叩いた。

ダビデ「!」
ボトン「うちの新商品が流出したんじゃ?!確かに斬新な商品だから」
ダビデ「そうか!そうだよ!参ったな」
ボトン「はぁ…、どうすっかな」

そこへ、マテの黒い車がやって来て、ビルの前に停まる。
マテは運転席から降りると、ビルの前に集まっている記者たちに気づき、サングラスを掛け、襟で顔を隠した。

「おっ!トッコ・マテだ」

一人が声を上げると、記者たちが一斉に取り囲む。

ボトン&ダビデ「???」

「ミョミさんとはいつから?」記者たちの声が飛んだ。

ボトンが駆け出すと、記者たちの中へ分け入る。「どいてください!」
さっとマテをガードすると、ダビデが呆然と見ている前で、マテをビルの中へと誘導した。

一人残されたダビデは携帯でネットニュースをチェックした。
ミョミとマテのデート写真がトップに上がっている。
トレンドキーワードには「ミョミ 花社長 トッコ・マテ」が一位に挙がっていた。

ダビデ「ミョミ トッコ・マテ?」

+-+-+-+

社長室のデスクで、マテはPCの画面を覗いていた。
ガラスの仕切りの向こうで、ボトンはそんなマテの様子をじっと見つめる。

手には「TT TT」のメッセージ。※泣いてる表情
その後ろからダビデが顔を覗かせた。手元のメッセージには「あんた最高だな」

マテは机を乱暴に叩いて立ち上がると、二人の目の前でブラインドを閉めた。

+-+-+-+

メイク室のミョミの前で、メイク担当者が顔を曇らせた。

メイク「顔色が良くないわ。スキャンダル記事が出て苛立ってるんでしょ」

ミョミは何の反応も見せず、手元の雑誌を眺めている。

メイク「みんなただ面白がってるのよ。人の私生活になんでそんなに興味があるのか。はぁ、ホントに」
ミョミ「…。」
メイク「ところで、誰なの?あの男の人」
ミョミ「…。」
メイク「いやまぁ、お似合いだわ」

無言のミョミの前で、メイク担当者は誤魔化すように笑った。
そこへ、マネージャーがいかにも苛立った足音を響かせ、入ってくる。

マネ「あなたにとって私って何よ!」
ミョミ「…。」
マネ「どういうつもりよ!」
ミョミ「…。」
マネ「従兄弟ってことで収拾つけましょ。(外を指し)記者たち大騒ぎなのよ!」

「嫉妬してるの?」ミョミは雑誌から顔も上げずにそう言った。
そして、ようやく顔を上げると、鏡越しにマネージャーに微笑みかける。

ミョミ「やめなさいよ。私が愛してるのはあなただって、わかってるでしょ?」
マネ「(溜め息)冗談言ってる場合?」

そのときミョミの電話が鳴った。
インジュンからだ。
ミョミは電話の電源を切り、再び雑誌を開く。

+-+-+-+

インジュンは切れた電話を見つめ、ふっと笑った。



インジュン「そうよね。あんただってもどかしいはずよ。今日は大目に見てあげる」

そこへインジュンの携帯に電話が入る。
先日、全社員の保険キャンセルの連絡をしてきた、三栄電子の社長だ。
インジュンはその名前にニヤリと笑うと、ニコヤカに電話を取った。

インジュン「まぁ社長!」

#インジュンの自宅での場所が必ずダイニングのこの場所なのが、「主婦の定位置」を物語ってるようで何とも^^;;;

+-+-+-+

インジュンはすぐに三栄電子社長と会食を共にしていた。

社長「この間、レストランにいた男性、ミョミとスキャンダルになった人でしょう?」
インジュン「(微笑)」
社長「私、そんなことだとは知らなくて。今日は一日大騒ぎでしょうね、ミョミの恋人」
インジュン「…。」
社長「あのとき言ってくれればよかったのに」
インジュン「社長、ご存知でしょう?私は口が堅いんです。ミョミは人並みの人間じゃないんですから。偶然、あの人と付き合ってることを知ったんです。お願いだから知らないふりをしててくれって、私の手を握って頼んできたちょうどその時に、社長たちがいらしたんですよ」
社長「あぁ、そうだったのね」
インジュン「はぁ、私、困ってしまって、もう少しでミョミの恋人だって言ってしまうところでした。すごくすごく無念でもどかしかったけど、どうしようもなかったんです。いつかは誤解が解ける…そう思って待っていました」
社長「私、そんなことも知らずに…。あのね、あの時私が言ったことは…」
インジュン「まぁ!どんなお言葉です?私、綺麗さっぱり忘れましたけど?」
社長「あなたって本当にサバサバしてるわねぇ」
インジュン「^^」
社長「今日、契約書持って来てるわね?サインするわ」
インジュン「ありがとうございます、社長」

「一杯やりましょう」社長は機嫌よく器を手にとった。

+-+-+-+

ステレオのスイッチを入れると、ユラはソファへ移動した。

ユラ「ナ・ホンラン副会長がNYで出産したっていうのは…確かですか?」

調査員が頷く。

調査員「はい。当時ナ・ホンラン副会長はNYに留学中でした。しかし、その他の記録は探しだせずにいました」
ユラ「それなのに、どうして分かったんです?子どもを産んだと」
調査員「ナ・ホンランと唯一親しかったジェミという人がいるんです。ナ・ホンランが突然休学したとき、子どもを産むためにNYの病院に入院しているという噂を聞いたそうです」
ユラ「それで?」
調査員「NYの病院で記録を調べたところ、息子を産んだとのことです」
ユラ「…。息子ですか」
調査員「えぇ。それ以上の情報は入手出来ませんでした」

ユラが立ち上がる。

ユラ「NYで何があったのか、唯一生き残っている兄が知っているはずよ」

彼女は調査員を振り返った。

ユラ「ナ・ジンソクは見つかったんですか?」
調査員「家を見張っていますが、まだ姿をあらわしません。近所の人たちの話では、そこには住んでいないようだと。息子のナ・ファンギュが一人で住んでいるようです」
ユラ「息子のナ・ファンギュをマークしてください。父に会いに出かけることもあるでしょう」
調査員「はい」
ユラ「急いでくださいね」



+-+-+-+

ボトンとトクセンが羨望の眼差しで見守る中、ダビデが外国人と流暢な英語で交渉を進めている。
お掃除靴下をアメリカで売る交渉をスムーズに成立させると、双方立ち上がり、笑顔で握手を交わした。

「明日帰国ですか?何時のフライト?」談笑しながら、ダビデは外国人客を出口へと案内する。

トクセン「ダビデ兄、英語ペラペラだ」
ボトン「♥♥♥」
トクセン「あぁ、やっぱ人はよく見ないと分かんないもんだ。見てくれだけじゃ頭の悪い田舎者って感じだろ?」
ボトン「…自分の話?」
トクセン「お前、何で一日中ピリピリしてんだよ?」
ボトン「(溜め息)知らない。どんなに走っても、マテオッパは遠ざかるばかり」
トクセン「トーゼンだろ。裸足の青春キム・ボトンが、ジェット機で飛んで行くマテ兄にどうやってついてくんだよ」

そこへダビデが戻ってきた。

ダビデ「アメリカ進出することになりましたよ。あのアメリカ爺さん、見る目があるなぁ」
ボトン「笑)チーム長、英語ペラペラなんですねぇ」
トクセン「英語学校に行ってたのか?」
ダビデ「あぁ、その…子どもの頃NYの学校に通ってて」
ボトン「!」
トクセン「What? NY? Jesus Christ! Wow,スゲーな」
ボトン「ホントですか?!私の周りにも海外派がいるなんて。はぁ、凄いわ、NYなんて」
ダビデ「…。そんなの重要じゃないよ。お腹すいた。何か食べに行きましょうよ」
トクセン「リクエスト!霜降り肉がいいな」
ボトン「(無視)トッポッキ食べに行きます?アメリカ進出も決まったことだし、パァーッと^^」
ダビデ「はははっ^^;」
トクセン「俺は抜けた。庶民の食べ物はイマイチだ」
ボトン「おっ?私も!トクセンオッパと食べるのはイマイチ^^」

「あははははっ」ダビデが豪快に笑うと、ボトンが「行きましょう」と微笑みかける。
二人は連れ立って歩き出した。

+-+-+-+

ユラのカフェに、前夫のパク・ムンスが訪れていた。
コーヒーカップを差し出すと、ユラが向かいの席に腰を下ろした。

ユラ「お義父様、無事到着されました?」
ムンス「あぁ、体調が戻り次第手術するらしいよ」
ユラ「…あなた」
ムンス「?」
ユラ「そんなはずないとは思うけど、もしお義父様の具合が悪くなったら、お義母様側の勢力はもっと強くなるわ」
ムンス「…。」
ユラ「お義父様やあなた側の人たちを皆排除しようとするでしょうね。つまりそれは…」
ムンス「僕が追い出されるってこと?」
ユラ「(溜め息)ムンスさん」
ムンス「MGグループのことを、なぜまだそう気にするんだ?」
ユラ「…。」
ムンス「下手に母さんとぶつかったりするんじゃない。君だけが怪我をするよ」
ユラ「私は怪我してもいい。どんなに傷ついたって構わないわ」
ムンス「…。」
ユラ「だけど…、だけどあなたは…スルリを守らなきゃ」
ムンス「…。」
ユラ「私は守れなくても、スルリのことは守って」
ムンス「…。」
ユラ「あなたが健在でいてこそ、スルリは幸せなの」



#ムンスさん好き。落ち着くわぁ

+-+-+-+

ホンラン一人の食卓に、シェフが料理を運んできた。
彼女の前にパスタの皿が置かれる。

シェフ「辛いものがお好きですので、特別にアーリオ・オリオをご用意いたしました」

ホンランが料理に頷いた。

ホンラン「美味しそうね。医者に注意されても、食べ物の好みはなかなか変わらないわ」

シェフが下がるとホンランはパスタを口に運び、味に満足して頷いた。

ホンラン「報告事項があるようね、パク・ムンス代表に」

部屋の隅で忍者並みに気配を消していた秘書が、前に進み出た。

秘書「パク・ムンス代表、会社への関心がめっきり高まったようです」
ホンラン「…。」
秘書「決済せずに戻す案件がいくつもあり、あらゆる案件を念入りに検討しているそうです。(?)」
ホンラン「(微笑)いいことね。MG代表理事がようやく襟を正して会社の仕事をするようになったなら。思う存分やらせておきましょう。思う存分飛んでこそ…墜落した時の痛みが大きいものよ」



+-+-+-+

ボトンと食事に来たダビデも、激辛料理と格闘していた。

ボトン「めちゃくちゃカッカするでしょ」
ダビデ「えぇ、僕、辛いもの大好きなんですよ。ホント美味しいな」
ボトン「私のおごりだから好きなだけ食べてください」
ダビデ「(うんうんうん)」
ボトン「…それにしても社長オッパ、スキャンダルになってるくせに一日中なにやってんだか」
ダビデ「そのことだけど、あれはただのスキャンダルじゃないって。ホントに付き合ってるって言ってたけどなぁ~」
ボトン「…。もぅ!あり得ないこと言うのね」
ダビデ「(ドキリ)」
ボトン「オッパね、この間結婚がダメになったんですよ。タキシードまで合わせたのに…」
ダビデ「?!」
ボトン「要するにね、今決まった恋人がいないから、他の女に振り回されるってこと。こりゃダメね。そろそろ私が動かなきゃ」
ダビデ「…。ボトンさんが何をどうやって?」
ボトン「私への愛が見えるんです。でも、ベジタリアンのオッパは恥ずかしがり屋だから、一線を超えられないんですよ」
ダビデ「!!!」
ボトン「それなら私から超えてあげなきゃね」
ダビデ「ダメだ!」
ボトン「えっ?」

思わず「ダメだ」と口走ったものの、ダビデは続ける言葉に窮した。

ダビデ「…。おにぎり追加していいか?」
ボトン「OK!(手を上げ)おばさん、ここおにぎり一つ!」
ダビデ「…。」

+-+-+-+

ここで一旦区切ります。

原作から一つ^^
ミョミとマテが初めて衣装部屋で会ったときのこと。
振り返ってハッとしたミョミの胸に、「ボタン」があるのがマテにはハッキリ見えています。
ボタンの内容は、ドラマでマテが心で呟いたことと同じように「俺に一目で惚れた」ということですが…。

印象的なシーンなので、CGでボタンをくっつけたりしないほうが正解です(笑)

さて、この前半だけでもいろいろ気になる点が出てきました。
いろんな人のいろんな台詞に思わせぶりなヒントが隠れています。
私は先を知っているので、想像してどうこう言えないのが残念ですが、皆さん隅々までチェックしてみてくださいね。






4 件のコメント:

  1. ありがとうございます(*´∀`)
    台詞のすみずみにヒント!!!
    おぉ♪
    ドラマの醍醐味♪
    あとから起きる出来事に 微妙に絡み合う
    あの時の台詞
    わくわくします!
    じっくり じっくり 読み返す楽しみが
    ふえました!(*´∀`)
    ありがとうございます(*´∀`)

    返信削除
  2. 大きなヒントの台詞!
    分かりました!
    と、、、おもいますww
    ある場面と繋げると!
    さらに、納得!
    あってるかは、次回をお楽しみに!ですねo(^o^)o

    返信削除
  3. 今回も楽しみにしておりました!
    リアタイ視聴時に分からなかった細かい事情が分かる気がしました!^ ^
    いつもお忙しい中ありがとうございます♡

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  4. おはようございます(*^_^*)
    隠されたヒントがきになって、じっくり読み返しました(☆。☆)複雑な人間関係ですね(^-^;
    今後の展開が楽しみですo(^-^)oワクワク

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