2013年12月1日日曜日

きれいな男4話あらすじ&日本語訳vol.2

綺麗な男4話、後半に入ります。





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占いの館に戻ったエレキ仙女の前には、『心に触れる』『一挙手一投足を読み取ってこそ成功する』『人間関係の心理学』『唇の発する言葉は嘘だ』『見える心理学』…心理学の本が積み重なっている。
彼女は難しい表情で『性格心理学』の本と睨めっこをしていた。
いろいろ見てはみるものの、答えは何もみつからない。
イライラして本を放り出すと、エレキ仙女は頭を抱えた。

私だけが知っている術を欲して、雨の中、ずぶ濡れになって待っていた男。
悩みながらも、彼の姿を思い出すと、ひとりでに彼女の顔が緩んだ。

そのとき、不意にある場面が思い浮かぶ。

~~ナ・ホンラン副会長とエレキ仙女の車と隣り合わせになり、車の窓が開く

ホンラン「指先に棘が刺さったままになっているんです。たいしたことじゃないのに気に障るわ。この程度の棘、わざわざ病院で抜いてもらう程でもないし、ひとりでに抜けてくれれば助かるんだけれど…」

ナ・ホンランは視線を流し、チラリとエレキ仙女を見て微笑んだ。

エレキ仙女「…。」
ホンラン「ホン・ユラのそばにいるトッコ・マテとかいう卑しいもの、引き離さなければ」
エレキ仙女「…。」
ホンラン「”ご挨拶”は弾みますわ」
エレキ仙女「挨拶はこれくらいで十分です」
ホンラン「(エレキ仙女の運転手に電話)お送りしなさい。(エレキ仙女に)それでは」

ホンランの車が走り去った。

~~

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マテは毛布にぐるぐる巻きになって震えていた。

マテ「風邪薬でも買ってくりゃよかった」

電話を手に取るとボタンを押す。

マテ(電話)「もしもし、なぁトクセン、今だいぶ熱があって…」

しかし、クラブにいて、か弱いマテの声がよく聞こえないトクセンは…

トクセン(電話)「兄貴、このクラブ最高だよ!おいでよ」
マテ「おい、具合が悪いっつってんだよ、俺は。クラブ行ってる場合か?薬買ってきてくれよ」
トクセン「今来たばっかなんだってば!」
マテ「辛くて死にそうなん…」
トクセン「俺も落としてやるんだ、チェク社長みたいな女!」
マテ「…。」
トクセン「いやぁ、別れのプレゼントがマンションか?チェク社長最高だな!それに兄貴、具合悪かったら俺なんかじゃなくて救急車呼べよな。切るぞ!(電話が切れる)」
マテ「ぉぃ!おいっ!」

+-+-+-+

ダビデの車はすっかり暗くなった夜もボトンを乗せて走っていた。

ダビデ「ターミナルまで行けばいいんですよね?」
ボトン「はい。一日中お世話になっちゃって…。私一人で帰ればいいんですけど」
ダビデ「近くですから。あははっ」
ボトン「(溜め息)面倒な品物を持って来ちゃって、チェ代理を困らせちゃいましたね」
ダビデ「もー、何言ってるんですか!お掃除靴下は見込みあるって。口で説明するだけじゃみんなピンと来ないんですよ。プレゼン資料を作ってちゃんとやらなきゃ」

ボトンが笑うと、ダビデもホッとして笑う。

ボトン「チェ代理、これ、ホントにイケそうなんですよね?私、一生懸命手伝いますから。あっ、方法が見つかったってオッパにも早く言ってあげなきゃ」
ダビデ「…。オッパ?」

ボトンは電話を取り出した。

マテ(電話)「…もしもし」
ボトン(電話)「オッパ、その声どうしたんですか?具合悪いの?熱があるみたいな声してるけど」
マテ「わざわざ電話して確かめてんのか?切るぞっ」

電話を乱暴に放り出すと、マテは深く布団を被った。

ダビデ「どうしました?」
ボトン「や、薬局に行かなきゃ!」
ダビデ「薬局?」
ボトン「オッパ、すごく具合が悪いんですって。あーどうしよう!救急病院に行かなきゃダメかな」
ダビデ「…。」

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「ありがとうございます、チェ代理!」

薬局から出てくると、ボトンは車の中に声を掛けた。

ダビデ「乗ってください」
ボトン「いいえ、ここから行けますから」
ダビデ「乗ってくださいってば」
ボトン「…。」
ダビデ「親切ってのはね、5里行くって言われたら10里行くものなんです。早く乗ってください」

ボトンはにっこり笑うと、車に乗り込んだ。

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「ご飯は…食べました?」

マンションに入ったボトンを出迎えたのは、ぐるぐる布団巻きのちょんまげ姿で眉間にシワを寄せているマテだ。

マテ「水も喉を通らん」
ボトン「はぁ、この薬、食後に飲む薬なんだけど」
マテ「(咳をコンコン)お粥作れるか?」
ボトン「お、お粥?(にっこり)超美味しいの作ってあげますよ!」

ボトンはキッチンへとダッシュした。
さっそくお粥を作ると、ソファで待っているマテに一匙差し出す。

マテ「あっ、熱っ!!!」
ボトン「熱い?」
マテ「具合悪いのに熱くて死ぬぞ!」
ボトン「ごめんなさい。冷ましますね」

ボトンは匙にお粥をすくうと、ふーふーと息を吹きかけた。

マテ「唾入れたら食べないからな」
ボトン「(舌打ち)そんなに具合悪くないのね」
マテ「何だと!!!」
ボトン「(匙を差し出し)ほら、あーーーん。よしよし、上手上手。美味しいでしょ♪」
マテ「もうちょっとくれ」
ボトン「(もう一匙)あーん」
マテ「卵ないのか、卵」
ボトン「ない」
マテ「(パクリ)あ゛ー」

しばらくして…
ようやく落ち着き、ソファで横になっているマテを、ボトンはじっと見つめていた。

じーーーーっ

ボトン「あはっ、こんな名画鑑賞、他にないよ。ほーんとイイ出来。なんでそんなにイケメンなの?」

マテの顔にそっと指を伸ばそうとすると、彼が偶然顔をしかめ、思わず指を引っ込める。

ボトン「(はっ)今何時かな?(時計を見て)きゃっ、最悪!」

ボトンはバッグを手に取り、駈け出した。

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夜も更けたターミナルで、ボトンは呆然としていた。

ボトン「欲は災いを呼ぶ…か。オッパの寝顔が見てくて終電まで逃しちゃうなんて。あー、どうしよう」

途方に暮れたボトンの目に飛び込んできたのは、24時間営業のサウナの灯りだ。
彼女はホッとして歩き出した。

ひと風呂浴び、マットを敷くと、ボトンは腰を下ろして電話を取り出した。

ボトン「マテオッパから緊急電話がかかってくるかもしれないから(電話をお腹に入れて)肌身離さず!」

彼女は横になると、居心地悪そうに辺りをキョロキョロと見渡した。

ボトン「こういうところで寝られないんだけどなぁ。今日は眠れそうにないよ。神経質なんだもん」

と言いながらコテッと眠りに落ちた彼女。
そこへ、そっと一人の女性が近づいた。
辺りを確認すると右腕の時計に手を掛ける。

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「この女です!」サウナの警備員室でボトンは防犯カメラの映像を指さした。

警備員「後ろ姿しか見えないなぁ。(ボトンに)気をつけなきゃダメですよ」
ボトン「私、眠りが超浅いんですよ。プロですね、あの泥棒!」

ボトンの足に蹴躓く泥棒。
それでも気づかないボトンに慌てることもなく、泥棒は余裕で立ち去っていく。

警備員「ド素人でも盗めそうだがね」
ボトン「あはは(苦笑)私、疲れてたみたい。(イライラ)私、服も財布も全部盗まれちゃったんです!どうしましょう、おじさん!」
警備員「何かあるかもしれないから貴重品はちゃんと保管してください、そうあちこちに張り紙してあるのに。この映像はあげますから、警察に通報するといいですよ」

サウナの貸出服しか身につけていないボトンを警備員が哀れ気に見た。

警備員「誰かに来てもらわなきゃいけないねぇ」
ボトン「はぁ、どうしよう…」

「マテオッパも具合が悪いのに困ったなぁ」ボトンは携帯の連絡帳を指でたどった。

ボトン「この指め!ご主人様がダメだって言ってるでしょ!チェ代理は薬局も探してくれて、マテオッパの家まで送ってくれたのに。そんなことしちゃダメ…」

そう言いながらも、ボトンの指は吸い寄せられるように「チェ・ダビデ」の文字をプッシュ!

ボトン「(指に)はぁ、こいつホントにあり得ない…(電話に)もしもし♪」

+-+-+-+

すでに明るくなった車の中で、ダビデは笑いを噛み殺していた。
助手席には借りた服をフードまですっぽり被り、しおらしくボトンが座っている。


ダビデ「洋服屋がまだ開いてなくて。僕が持ってる中で一番小さい服を持って来たんだけど、ピッタリだな」
ボトン「ふふっ(独り言)ボーイフレンドルックをこんな形で着るとはね」
ダビデ「何て?」
ボトン「何でもないですよ、ふふっ^^;」
ダビデ「家に向かいましょうか?」
ボトン「はい。服も着替えなきゃいけないし」
ダビデ「昨日、よく考えてみたんですけど、行ったり来たりするのも大変だし、靴下の件が終わるまでは、うちの倉庫で暮らしたらどうですか?」
ボトン「?」
ダビデ「保証金免除。一月3万ウォン」
ボトン「それじゃお世話になりすぎちゃうから…。考えてみます」
ダビデ「負担に思わないで、ゆっくりよく考えてみてください。それに、後で売上予想の資料もちゃんと作りましょう。類似商品の売上と比較すればいいと思いますよ」
ボトン「じゃ、ひとまず家に帰って、後でチェ代理のお家に行きますね」
ダビデ「えぇ(ニコニコ)」

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体調の戻ったマテは、リビングでウロウロと考えを巡らせていた。
ソファに座り込むと、深い溜息をつく。
閉じた目をパッと開けると、彼は顔を上げた。



マテ「あの占い師、いっちょやってやる!」

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占い館の玄関を入ってきたマテは「順番ベルを」と声を掛けるスタッフも無視して、奥の間へ一直線に向かった。
勝手に扉を開き、中へ入ると、他の客と話しているエレキ仙女の腕を掴み、外へ連れだそうとする。

エレキ仙女「何するのよ?!」
マテ「行きましょう」

エレキ仙女の手を引いて受付ロビーまで連れて来ると、マテは周囲を見廻した。

マテ「今日は休業です」
エレキ仙女「!!!」

外へ出て車のドアを開けたところで、エレキ仙女は彼の手を振り払った。

エレキ仙女「何の真似?!」
マテ「今日一日休んだからって潰れたりしますか?」
エレキ仙女「約束なのよ!みんな切実な思いで訪ねてくるの。こんな失礼なことってないわ」
マテ「他の人の人生にはそんなに礼を尽くすのに、自分の人生には何でそう無礼なんだよ!」
エレキ仙女「!」
マテ「一日中あの部屋に閉じこもって他人の心だけ見てやるなんて…仙女様だって疲れるじゃないですか」
エレキ仙女「…。」
マテ「目をぎゅっとつぶって、今日一日ヒーリングしましょう。賭けますよ、今日一日俺と何も考えずに遊んで、それで後悔したら、もう二度と仙女様の前には現れない」
エレキ仙女「…。」

YesもNoともいえないエレキ仙女を茶目っ気たっぷりに覗きこむと、マテは笑顔でふたたび彼女の腕を引いた。

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マテがエレキ仙女を連れて来たのは、電気に囲まれた神壇とは正反対の植物園だ。

マテ「電気にばかり触れているから、性格も気難しくなるんですよ。酸素ヒーリング、どうですか?」
エレキ仙女「…。」

マテは愛くるしい瞳で彼女を見つめる。

エレキ仙女「…空気。たいしたことないわね」
マテ「…。」



エレキ仙女はマテを残し、澄ました顔で歩き出す。
まだまだ負けはしない。マテは笑顔で後を追った。

植物園を出た二人は、公園を歩いていた。
そこにはサイクリングやジョギングを楽しむ人たちがたくさん訪れている。

楽しそうに自転車に乗ったカップリに、エレキ仙女の視線がチラリと動いた。
すかさず彼女の前に踊り出たマテは…

マテ「毎日座ってばかりだから、”筋力ファイト”はいかがです?」
エレキ仙女「酔うわ」
マテ「…。」




再びマテを残して歩き出すエレキ仙女。
まだまだ!

ベンチに座っているエレキ仙女にマテが差し出したのは綿アメだ。

マテ「甘いのはどうです?俺みたいに♪」
エレキ仙女「甘すぎるわ。砂糖の塊なんて」

冷たく言い放つと、エレキ仙女はひそかに口角を上げた。

マテ「…。」

頑張れマテ!
次にマテが彼女を連れて来たのはバスケットコート。
にっこり微笑むと、彼は無理やり彼女をゴールの下まで引っ張ってきてボールをひょいと投げ渡した。

エレキ仙女「何するのよ!」
マテ「ダンクシュートやってみて。どんなに難しいか」
エレキ仙女「(呆れるやら戸惑うやら)結構よ!面白くないわ」

マテは彼女の両肩を掴むと、背後にピッタリとくっついた。

マテ「これでも面白くないかな?」

そう言って、彼女を体ごと持ち上げる。

エレキ仙女「キャーッ!」
マテ「(グラグラ)おわっ!」
エレキ仙女「何するのよ!下ろして!」
マテ「抱っこされたままがいいんですか?早くしましょうよ!」
エレキ仙女「えいっ!」

エレキ仙女がバスケットゴールの上からボールを思い切り叩き込む。
ボールがネットをくぐり、ストンと下へ落ちた。
下へ降ろされ、マテを睨みつける彼女に、マテは笑った。

マテ「思ったより肉づきがいいんだなぁ、重い(笑)」
エレキ仙女「そうよ!どうして勝手に抱っこしたりするの?!」
マテ「あれ?イライラしたりするんだ。驚きだな」
エレキ仙女「(咳払い)」
マテ「あれも嫌、これも嫌。でも、気づいてます?帰ろうとは一度も言ってない」
エレキ仙女「…。」
マテ「俺と一緒にいるの、そう悪くもなさそうだな」
エレキ仙女「合わせてあげたからって、甘えないことね」
マテ「…。」
エレキ仙女「もう帰りましょう」

そこへ電話が鳴った。
「もう、素直にならなきゃ」そう言いながらマテが電話をとる。「もしもし?」

彼が電話に向かって話し始めると、エレキ仙女は火照った顔を手で扇いだ。

マテ(電話)「えぇ」

彼はエレキ仙女をチラリと見ると、彼女に電話を差し出した。

マテ「見透かしたんですね。帰って来て欲しいっていう気持ちを」
エレキ仙女「(電話を乱暴に受け取り)私よ。何事もないわよね?…何ですって?」

+-+-+-+

エレキ仙女はある屋台の前へやってくると、荒らされたその場に立っている人に話しかけた。

エレキ仙女「どうしたの?何があったの?ケガはない?」

そこにいた夫婦らしき男女は、手話でエレキ仙女に説明しようとしている。
マテは状況が飲み込めないまま、彼らの元へ近づいた。

エレキ仙女「(マテに)送ってくれてありがとう。もう帰って。人を呼んで片付ければいいわ」
マテ「待ってたらもっと大変だ。すぐ片付ければいいんですよ。ずいぶん驚かれただろうから、先に家までお送りしてください」
エレキ仙女「こっちでやるわ。助けてくれてありがとう。帰ってちょうだい」
マテ「僕がお送りするってば」

夫婦に声を掛けようとするが、何やら困った様子でエレキ仙女に訴える夫婦。

マテ「あぁ、僕ですか?僕はですね、エレキ…いや、仙女様の」
エレキ仙女「(困って下を向く)」
マテ「(エレキ仙女を引っ張り寄せる)友だちですよ、友だち!あははははっ」

夫婦はようやくホッとしたように頷きあった。

マテ「(にっこりして夫婦の手を取る)行きましょう。お送りしますよ」

豪邸の前にエレキ仙女と夫婦をおろすと、マテはにこやかに頭を下げた。

マテ「僕はこれで失礼します。おやすみなさい」
エレキ仙女「…。」

マテが車に戻ろうとすると、おばさんが慌ててエレキ仙女の肩をパシパシと叩いた。

マテ「?」

「お礼にご飯を食べていってもらいなさい」??と言っている様子の女性に、エレキ仙女は困って首を横に振った。

マテ「おっ?ご飯食べて行けっておっしゃってるみたいだけど?」

女性が「そうそう!」と訴える。

エレキ仙女「いいの」
夫婦「!」
マテ「あぁ、お腹すいた。あぁあ゛ー、お腹すいたー!」
エレキ仙女「あんた全く!」

「あぁ゛ー」とお腹を抱えるマテを、夫婦はいそいそと案内した。

エレキ仙女「…。」
マテの声「寒いから早く入りましょうよ~~♪」

+-+-+-+

女性…エレキ仙女の母親は、マテの食べる様子に不安げだ。

女性(手話)「口にあうかどうか」
エレキ仙女(手話)「気にしないで」
マテ「(エレキ仙女)「美味しいって言ってあげてくださいよ。テンジャンチゲ、ホントに美味しい」
エレキ仙女「…。」
マテ「だけど、あの屋台、誰にやられたんですか?取締りかな?」
エレキ仙女「さぁね。(両親に手話で)もう屋台はやめてって言ってるに。どうしてまた出て行って酷い目に遭うの?私が稼いでくるお金、全部どうなさるつもり?心配でたまらないわ」
父(手話)「ずっとやって来た仕事なんだ。何もしないでいても手持ち無沙汰だし。お金を稼ぐためにやってるんじゃないんだよ。通りかかるお爺さんお婆さんにタダで差し上げてるんだ。うちのトッポッキは美味しいって、みんな喜んでくれるよ」
エレキ仙女(手話)「知らない!ケガしたらどうするの?」
母(手話)「お友だちが気まずい思いをするじゃないか。話は後にしよう」
マテ「???」

「ほら食べなさい」と両親は揃ってマテに食事を勧めた。

父(手話)「男前だね。彼氏かい?」
エレキ仙女(手話)「ただの知り合い。親しいわけじゃないわ」
マテ「(エレキ仙女に)もう、間で通訳してくれなきゃ。何て言ったんです?」
エレキ仙女「顔がいいだけであからさまな男だって。さっさと食べて帰れって言ってるわ」
マテ「本人の考えを聞いてるんじゃない。(両親を指差し)こうして笑っていらっしゃるのに、そんなはずないでしょ。ふふん♪」
エレキ仙女「さっさと食べなさい。帰るわよ」
マテ「全く!胃もたれするでしょ。久しぶりに家庭料理を食べるのに」

美味しそうに食べていたマテは、皿から卵焼きをつまみ上げると、ふと手の動きを止めた。

マテ「…。」

じっと卵焼きを見つめる彼の悲しげな目に、一同は不安を募らせた。

エレキ仙女「…。」
母(手話)「どうしたんだろう?」
父(手話)「美味しくないのかな?しょっぱいのかな?」

心配そうにマテを見つめるエレキ仙女。

マテ「すみません。すごく美味しくて…。涙がでるほど美味しいんだ。母さんが作ってくれたのと同じくらい…(涙をためた目を上げて)すごく美味しいです」
エレキ仙女
マテ「母さんが生きてるときに作ってくれたご飯みたいに…すごく美味しい」

そう言って、また卵焼きを頬張るマテ。
彼を見つめるエレキ仙女の視線が少しやわらかく変化した。

+-+-+-+

車が占い館の前に戻ってくると、二人は車から降りた。
彼女の前へ回り込むと、マテは笑顔で彼女を見つめた。

エレキ仙女「今日は色々と感謝すべきね」
マテ「おかげで美味しいご飯も食べられたし、こちらこそ感謝しますよ」
エレキ仙女「そろそろ終わりにしなさい。十分頑張ったわ。感動したのだって事実よ」
マテ「…。」
エレキ仙女「でも、忘れてはいないわよね?私にはあなたの心が全部見えてるってこと」
マテ「僕の心…どうなんです?」
エレキ仙女「…。あなたの瞳の中にいるホン・ユラを片付けてから来なさい」
マテ「!」
エレキ仙女「…そう神霊様がおっしゃってるわ」
マテ「俺の目の中にホン・ユラがいるって?本当に巫女なのか?」
エレキ仙女「…。」
マテ「もっと見てください」

そう言うと、マテはふいに彼女に近づき、ぐっと顔を寄せた。



エレキ仙女「!!!」

驚いて目を見開く彼女に、彼は愉しげに笑いかけた。

マテ「今、俺の瞳の中には誰がいるのか」
エレキ仙女「…。(心臓がドキン!)」

声も出ない彼女にもう一度ニッコリ笑うと、彼は彼女から離れて行った。



+-+-+-+


のんびりパターを構えると、ノックの音にムンスは顔を上げた。
母がにこやかに中へ入ってくる。

ムンス「呼んでください。僕の方から出向きますから」
ホンラン「遠いわけでもないのに、気になってる人が動けばいいのよ」
ムンス「何が気になっているんです?」
ホンラン「スルリの母親にカフェを出してやったの?」
ムンス「昼話せば母さんが聞き、夜話しても母さんが聞くってこと、また忘れてましたよ」

※『昼話せば牛が聞き、夜話せば鼠が聞いている』という諺をもじったもの。「障子に耳あり」と同じような意味です。

ホンラン「どうして?」
ムンス「品を保つくらいの費用は持つべきでしょう。スルリの母親であり、MGの嫁なんですから」
ホンラン「嫁だった、でしょう?」
ムンス「…。」
ホンラン「まだ未練があるの?」
ムンス「まさか」
ホンラン「あなたたち夫婦のことに私が口出ししたくはないけれど…」
ムンス「とっくに口出しなさったでしょう、4年前に!お陰で離婚したんです」
ホンラン「(微笑)」
ムンス「それに、夫婦だった、でしょう?今は他人です」
ホンラン「気になっているのはそれよ。他人なのに、なぜ賑やかな場所にカフェを出してやったりするのかしら」
ムンス「それだけの力があるうちにしてやりたかったんです。いつ追い出されるか分からないから」
ホンラン「…。」
ムンス「飲む約束があって出掛けなきゃならないんですよ」
ホンラン「そう。お酒はほどほどにしなさい。体に悪いわ」
ムンス「…。」

母が出て行った扉を、ムンスはじっと睨んだ。

+-+-+-+

自身の執務室へ戻ると、ホンランは秘書を呼びつける。

秘書「お呼びですか、副会長」
ホンラン「スルリの留学先を探してちょうだい」
秘書「スルリお嬢様でございますか?」
ホンラン「難しいことを言ってるかしら?」
秘書「い、いいえ。どちら方面を探しましょうか」
ホンラン「遠方よ。できるだけ遠いところを探して」
秘書「かしこまりました」


+-+-+-+

白い紙の上で筆をスッと滑らせると、黒い曲線が描かれる。
ユラは墨に神経を集中させていた。

そこへ傍らに置いた電話が鳴る。

ユラ「?」

画面は『ナ・ホンラン副会長』

ユラは落ち着いて筆を置くと、応答ボタンを押した。

ユラ「私です」
ホンラン「嬉しい相手じゃないだろうから、用件だけ話すわ」
ユラ「…。」
ホンラン「スルリ、留学に出すつもりよ」
ユラ「何ですって?留学?まだ6歳の子を留学だなんて!」
ホンラン「本当に母親なの?早期教育が盛んなのに、”まだ6歳”だなんて」
ユラ「酷いわ。こんなことをしてスルリと私の母子関係が消えるとでも?あんなに幼い子を…あんまりです!」
ホンラン「もう切るわね(電話を切る)」
ユラ「お義母様!お義母様!」



+-+-+-+

ダビデの自宅の庭。
テントの前のアウトドアテーブルにランプが灯っている。
ダビデが温かい飲み物を持って来ると、ボトンは「ありがとう」とそれを受け取った。
「あっ」とボトンは、ある容器を差し出した。

ボトン「うちの店のカルビなんですけど、一度召し上がってください。なかなかの味だと思いますよ」
ダビデ「最高だって言わなきゃ。カルビ屋の娘なのに。あははっ」
ボトン「昔はホントに美味しかったんだけど、最近は…。看板替えなきゃいけないかも^^;」
ダビデ「僕がしっかり評価してあげますよ」

ダビデは差し出された容器ではなく、もう一つ、ボトンの手元にある同じ容器に手を伸ばした。
引き寄せようとすると、ボトンが慌てて掴む。

ボトン「これは!(容器を死守)うちのオッパの!」
ダビデ「あぁ…。オッパのね」
ボトン「オッパのところに行ってみようと思って。この頃お粥ばかりで弱ってるだろうから」
ダビデ「(ボソッ)具合が悪くて羨ましいな」
ボトン「ん?」
ダビデ「へ?何でもないですよ。じゃあどうしましょうか?資料は今度会った時に作ります?」
ボトン「そうしましょうか?」
ダビデ「(苦笑い)」

+-+-+-+

玄関のチャイムが鳴り、マテがインターホンの画面を覗くと、そこには俯いているユラの姿が映ってた。

マテ「おっ?ここがどうして分かったんだ?まぁ、もう驚きもしないな」

マテは解錠ボタンを押した。

マテ「…俺の居場所を突き止めたくらいじゃ」

「どうしたんです?」扉を開けながら、マテはユラの後ろ姿に声を掛けた。
ゆっくりと振り返ったユラの目は涙に濡れている。

マテ「!」
ユラ「…。」
マテ「なぜ泣いてるんです?何かあったんですか?」
ユラ「…。」
マテ「誰が泣かせたんだ?」
ユラ「…。」

ユラは何も言えず、彼に近づこうとすると、足元の力を失ってその場に崩れ落ちそうになる。

マテ「!」

よろめいた彼女を、咄嗟にマテが抱きとめた。
マテにしがみついたユラの目からさらに涙が溢れる。

カルビの容器を抱え、ルンルンでマテのマンションに駆け込んできたボトンは、廊下の角を曲がったところで驚いて立ち止まった。

そこには、あの美人の女性と抱き合っているマテオッパの姿。

ボトン「!」

ボトンは思わず廊下の陰に隠れた。



ボトン「…。」



+-+-+-+

ここでエンディングです。

奮闘するマテも楽しいけど、明るくて可愛いボトンも、ふわんと柔らかいダビデの雰囲気もいいですねぇ。愛着が湧いてきます。
マテのくるくる巻き毛を最初に写真で見たときはどうかと思ったけど、エレキ仙女とのシーンでの愛くるしい表情を見ると、バッチリ合っててこれも嬉し♪

細かい所まで覚えていないんですが、マテのコミカルな表情は、ほぼドラマオリジナルだと思います。
きっとグンソクくんがかなりアイディアを出してるんじゃないでしょうか^^
ついでに言うと、この後半のエレキ仙女とのデートやエレキ両親登場あたりも全てドラマオリジナル。これから増えてくるんでしょうかねぇ。

ではでは、今回も最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
とうとう12月。忙しくも楽しい師走をお過ごしください。






10 件のコメント:

  1. 今回も楽しく読ませていただきました。 ペース早いですがお忙しいのに大丈夫ですか?
    あらすじもですが、最後のユジナ~さんの解説というかコメントが大好きですo(^▽^)o

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  2. ユジナさん、ラブレインの時もお世話になって今回もまた読ませて頂いてます(#^.^#)
    お粥を食べさせるシーンは何度みても笑みがこぼれます、子どもにあやしながら食べさせてるようでボトンも可愛いですよね♪
    師走でお忙しいと思いますが無理をせずになさって下さいね(^_^)

    返信削除
  3. yujinaさん、また有り難うございます。「ラブレイン」の時から
    お世話になっています。
    今回、グンちゃんのドラマとしてとても面白く楽しみに拝見して
    います。さすが俳優チャン グンソクです。
    5話以降も楽しみにしています。

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  4. こんばんは
    今週もありがとうございました!!
    ほんと ボトンとダビテのほんわかしたのが可愛くて暖かくなります!!
    時々…優しい感じが見えるマテにドキドキしています(*^^*ゞ
    また 来週も楽しみにしています♪

    返信削除
  5. ふぁんきち2013年12月1日 19:47

    こんばんわ。サランピから楽しませてもらっています。実は1話2話を韓国で見てきました。その後はネットで視聴。翻訳してくださってるとこも拝見し、ユジナさんとこに戻ってきました。チョンマルえー感じです(=^^=)もう一度見てこよう。何度も聞いていたら少しは言葉わかるでしょうか(*_*)これからも楽しみにしていますね♡♡♡

    返信削除
  6. 4話もとても面白かったです(^o^)/グンちゃんファンじゃないけど面白くて毎週楽しみにしてます~!

    返信削除
  7. 楽しく読ませていただきましたヽ(´▽`)/
    次も楽しみです、ありがとうございます

    これから寒くなります、体に気をつけて~~!
    個人的には、ボトンちゃんからも目が離せませんが、
    ダビデさんも好きです(^O^)

    返信削除
  8. ドラマのオリジナルがちょいちょい入ってるんですね ^ ^ 本人も自分のアイデアだよ~って言ってますもんね(笑)
    もう12月ですね。ほんと早い...(^o^;)
    ユジナさんもお忙しくなると思いますがお体ご自愛くださいませ~♥

    返信削除
  9. こんばんは(*^^*)
    1話2話に続き、3話4話も楽しく読ませていただきましたm(_ _)m
    字幕なしをみた後であらすじを読んで、又字幕なしを見て楽しんでます(#^_^#)
    ありがとうございますm(_ _)m
    次回がたのしみですo(^-^)oワクワク

    返信削除
  10. 4話 楽しかったです(*´ω`*)
    一生懸命なボトンちゃん がんばれぇ!
    毎回応援してます!(*^^*)

    美しいユラ
    ユラの母親としての 心の葛藤 悲しみ
    娘と引き離されてる悲しさ (*´-`)
    どんなにか はがゆく、辛いか
    マテに見せた涙に
    じーんとしました
    5話がとても 楽しみです(*´ω`*)

    返信削除

記事を読んでくださってありがとうごございます。
コメントの際はお名前を入れてくださると嬉しいです。