2013年12月28日土曜日

きれいな男11話あらすじ&日本語訳vol.2

綺麗な男11話、後半です。




+-+-+-+

パーティー会場の入口に立っている警備員がマテを止めた。

警備員「招待状を」
マテ「カン・キジさんの招待で来たんですが」
警備員「それでも招待状を…」

奥で受付をしていたホン秘書がマテに気づき、警備員をつついて「いいんだ」と合図する。
会場へと入っていくマテの後ろ姿に、ホン秘書はニヤリと笑った。

+-+-+-+

ダビデとボトンは貸衣装屋を訪れていた。

「ジャーン!」

すでに着替えていたダビデが振り返ると、そこには水色のドレスを身につけたボトン。

ダビデ「あははっ♪ドレスコードクリア!でも、ちょっと手持ち無沙汰だ。(キョロキョロ)何か手に持つものないかな?」
ボトン「ありますよ~」

ボトンがバッグから取り出したのは…。

ボトン「ジャン!貝殻ポーチ♪」

#キャー!これ、最初に「当ブログについて」で書いた衣装♥ドラマじゃ再現されないだろうと思ってた。

ダビデ「はぁ!ボトンさん、ホントにセンス最高だな!あははっ」
ボトン「ハンドメイドのものがもう一つ♪」

ボトンはもう一度バッグを探ると、何かを取り出す。
「あら!」と手が滑り、口紅が床に落ちた。

ダビデ「あ…」
ボトン「壊れませーん♪」
ダビデ「うわぁ♪」
ボトン「(リップを唇に)綺麗?」
ダビデ「えぇ、綺麗ですよ」

ボトンは口紅をケースに収めた。

ボトン「けど、どうやって入ります?」
ダビデ「まぁ、忍び込める隙を探してみましょう」
ボトン「行きましょ^^」

+-+-+-+

ダビデとボトンがパーティーの入口にやってくると、警備員が同じように制止した。

警備員「招待状をお願いします」
ダビデ「あぁ、あの…」

ダビデが困ったように辺りを見回すと、「ダビデオッパ!」と女の子が駆け寄ってくる。

友人「(警備員に)キジの友だちですよ」
ダビデ「公演は?」
友人「そろそろ始めようかなって。入りましょ^^」

「後でね」女の子はそう言って二人から離れた。

ボトン「誰ですか?」
ダビデ「あぁ、NYで隣に住んでた子なんだ」

+-+-+-+

先ほどの女の子をドラマーに、バンドの演奏が始まった。

会場のどまんなかに置かれた真っ白なソファーで、キジとマテ、二人が演奏を眺める。
周囲には思い思いの扮装で参加した人たちが集まっていた。
後方からダビデとボトンが入ってくる。

演奏が終了し、会場から拍手が起きると、キジが立ち上がってマイクを手に取った。

キジ「さぁ、みんな注目。今日集まってくれたみんな、今から大事なイベントを始めるわ。私の彼氏の発表会」

「おぉ~」と歓声が上がる。
マテはチラリとキジを見上げた。

キジ「トッコ・マテ。私の彼氏よ」
マテ「…。」
キジ「みんなよく聞いて。(マテを見て)この人、ミョミに振られて私のところに来たわけじゃないわ。最初っから私のことが好きで、ミョミと別れたの」
マテ「…。」
キジ「今日このパーティーで証明するわ」

「さぁ」とキジはマテに呼びかけた。

キジ「ここに来て、私にキスして」
マテ「…。」

後ろで聞いていたボトンが目を丸くした。
「キス!キス!」と周囲が囃し立てる「。

キジ「聞こえた?キスしなさいよ」

キジはソファーの上に足を乗せた。

マテ「…。」
キジ「私の足に」

マテは黙ったままキジを睨んだ。



マテ「…。」
キジ「みんなを失望させる気?」
マテ「…。」
キジ「足に1回キスすれば、責任持ってSSホームショッピングを手に入れさせてあげる。私が唯一の跡継ぎだってこと、忘れないでよね」

マテが彼女から視線を逸らした。

キジ「何?イヤなの?俗物のくせに」
マテ「!」
キジ「SSグループショッピング、手に入れたくないわけ?」

長い沈黙の末…

「ちょっと!キジ!!!」

後ろから大きな叫び声が響いた。

キジ「?」
マテ「?!」

ボトンが一直線に走ってくると、手に持った貝殻バッグで思い切りキジの顔をひっぱたく。

キジ「あっ!!!」
マテ「!!!」
ボトン「オッパから離れなさいよ!卑しい女!」

警備員たちが一斉にボトンを取り囲む。
「離して!」掴まれた手を振り払い、ボトンは唖然としているマテを振り返った。

ボトン「オッパ、私の言ったこと忘れないで!」
マテ「!」
ボトン「オッパ!あんな女にひざまずいたりしないで!オッパはあんな女より遥かに大事なんだから!!!それだけは忘れないで、オッパ」
マテ「…。」
ボトン「何故かってオッパは…オッパは…!オッパはカッコイイんだからぁーー!」

警備員たちがボトンを連れ去る。
「オッパ!」叫びながら、ボトンはマテの前から消えて行った。

何も見ていなかったダビデは、連れ去られるボトンの姿にようやく異変に気づく。

ダビデ「ボトンさん?!」

+-+-+-+

「ボトンさん!ボトンさん!」

駆けつけた警察に連行されるボトンをダビデが追いかけた。
パトカーに乗り込んだボトンに、ダビデは自分の上着を脱ぎ、掛けてやる。
ひざまずくと、彼はボトンを見つめた。

ダビデ「何も心配しないで。すぐに後を追うから」
ボトン「…。」
ダビデ「分かりましたか?!」



ボトンは何も言わずに大きく頷く。
ダビデも頷くと、警官が二人を引き離した。
心配そうに窓を覗きこむダビデを残し、パトカーは走り去った。

+-+-+-+

檻の中に入れられたボトンに、柵の外からピッタリダビデが寄り添っていた。
ボトンはそばの椅子に座っている人相の悪い男を気にしていた。

ボトン「あのおじさん怖い…」

ダビデは一口、なだめるようにボトンの口にお菓子を入れてやる。
その次は水を一口。

ダビデ「心配しないで。何とかなりますから」

「不便でしょ。家に戻って服を取ってきます」居てもたってもいられず、その場を離れようとしたダビデに、ボトンが手を伸ばした。

ボトン「ダメダメダメ。ちっとも不便じゃないです」

「行かないで」ボトンはすがるような目でダビデを見つめる。
ダビデは柵越しにボトンの手を握った。

ダビデ「風邪ひきますよ。約束します。僕が服を取って戻ってきますから」
ボトン「…。早く来てくださいね」
ダビデ「(うんうん)」

+-+-+-+

マテが警察署にやってくると、ちょうど出てきたダビデと出くわした。

マテ「ボトンは?!」
ダビデ「パーティーにボトンさんを連れて行ったこと、後悔してるところです。僕が連れて行ったんですよ、あんまり行きたがってたもんだから」
マテ「それで?」
ダビデ「社長が悪くないのは分かってますが、なぜこう腹が立つんでしょうね」
マテ「…。」
ダビデ「なぜボトンさんはいつも社長のそばで傷ついて、心を痛めて泣くことになるんでしょうか」
マテ「チェチーム長」
ダビデ「これ以上はダメです!」
マテ「!」
ダビデ「ボトンさんは僕が守ります」
マテ「…。」



何も言えないマテの前をダビデは立ち去った。

+-+-+-+

檻の前にマテがやって来る。

ボトン「オッパ…」
マテ「…。」

「オッパ、ごめんなさい」ボトンは消え入りそうな声でそう言うと、俯いた。

マテ「…。」
ボトン「私のせいでオッパ、困っちゃいましたよね」
マテ「…。」
ボトン「オッパがあの子と上手く行けば、うちの事業だってうまく行くのに。私、助けるどころかぶち壊しにしちゃって」

「いや、よくやった」マテの声は静かだった。

ボトン「よくやったなんて…。ごめんなさい」
マテ「…。」
ボトン「オッパ、私の心配はしないで!何年か刑務所で暮らせばいいんだから」
マテ「おい、嫁にも行ってない奴がそんなこと言ってる場合か!」
ボトン「…。」
マテ「それにな、ちょっと殴ったくらいで刑務所なんか入るかよ」
ボトン「ううん。私が刑務所にでも入らないと、カン・キジは気が済まないでしょ」
マテ「…。」
ボトン「オッパに危害でも与えたらどうしよう」

マテは苛立ち、乱暴に柵を掴んだ。

ボトン「!」
マテ「お前が何でそんなこと気にするんだ!」
ボトン「…ごめんなさい」

シュンとして俯いたボトンに、マテの視線が再び和らいだ。

マテ「キム・ボトン」
ボトン「?」
マテ「お前は何も気にするな。どんな手を使ってでも、俺がここから出してやる」
ボトン「…。」

「ボトンさんは僕が守ります」ダビデの強い言葉がマテの頭を巡った。

マテはまっすぐにボトンを見つめると、柵越しに顔を寄せた。



マテ「キム・ボトン、お前は俺が守る。俺が!」

驚いて目を丸くするボトンを残し、マテはその場を離れた。

+-+-+-+

ボトンの部屋で服を袋に詰めていたダビデは、携帯電話を取り出した。

「僕です」ダビデは苦しそうに言葉を振り絞った。

ダビデ「初めてお願いしたいことがあります。絶対に聞いてもらわないと困るんです」

相手の反応を待ち、ダビデは話を続けた。

ダビデ「人を助けて下さい。えぇ、ありがとうございます。ご連絡します」

+-+-+-+

「あの子、どうするの?」ベッドで頬を冷やしているキジを、友人が心配そうに覗きこんだ。

友人1「ホントに和解しないつもり?」
キジ「頭オカシイの?和解なんて!」

「恐れ多くも私の顔に…」キジは怒りを募らせた。

キジ「牢屋で腐れば思い知るでしょ」
友人2「マテが来て跪いて頼んだら?」
友人1「そんなワケないよ!天下のキジにも靡かない男がそこらの女一人のために?ありでない!」
友人2「確かにね。ミョミでもないし」
キジ「ちょっと!」
友人2「…Sorry」

そこへホン秘書が入ってくる。

キジ「何?」
秘書「お客様がお見えです」
キジ「?」
秘書「トッコ・マテさんがお話があると」
キジ「…。」

キジは少し考えると、友人たちを外に出す。

キジ「(秘書に)入るように言って。一応聞いてみるわ」

+-+-+-+

静かになった部屋にマテが入ってきた。
キジはわざと顔をそむけ、マテの言葉を待つ。

マテ「あの子を釈放してくだされば…」
キジ「!」

「そう来なきゃ。早く跪きなさい」キジは心の中で呟き、ほくそ笑んだ。

マテ「これからも付き合って差し上げます」
キジ「何ですって!!!付き合ってやる?」
マテ「…。」
キジ「土下座して頼んだって許してもらえるかどうかってときに、付き合ってやるって?!あんたそんなにエラいわけ?」

マテはかすかに微笑む。

マテ「嫌なら仕方ないですね」

あっけなく背を向けようとしたマテに、慌ててキジが言葉を続ける。

キジ「このまま帰ったら!…あのブサイク女、一生牢屋に閉じ込めてやるわ」
マテ「…。」
キジ「それでも構わないの?」

マテは向き直る。

マテ「構いません」
キジ「!」
マテ「どうせ毎日つきまとわれて面倒に思っていた子なんです。僕にとっては好都合ですから」
キジ「…。」
マテ「僕は別の財閥令嬢を探さなければなりませんね。ミョミの後、僕が誰と付き合うのかみんな気になっているようですよ」

マテはもう一度背を向けた。

キジ「ドアを開けて出た瞬間、あんたと私は終わりで、あの子は刑務所行きよ!」
マテ「(ジロリ)」
キジ「…。」

マテが今度こそ背を向けると、キジはとうとう立ち上がった。

キジ「分かったから!釈放してあげる!釈放してあげるから、それでいいんでしょ!」

キジに背を向けたまま、マテはホッとして目を閉じた。
再び目を開けると、まっすぐ振り返る。



マテ「…。」
キジ「…。」
マテ「では今日中に釈放されるということで」

短く言い放つと、マテは部屋を出て行く。
キジは力が抜けたようにベッドに座り込んだ。

+-+-+-+

ダビデは警察署の前で悶々としていた。
キソクの側近からの報告が彼の頭のなかを渦巻いている。



側近(声)「その方のことで対処を進めましたが、すでにカン・キジ嬢と和解して釈放が決まったそうです」

最後に側近はこう付け加えた。そろそろ表舞台に出て来いと。

そこへ出てきたボトンが声を掛けた。
ダビデは笑顔で振り返る。

ダビデ「ボトンさん!警察に行った後はね、もう来ないぞって意味で白い豆腐を食べるんですよ」

「ほら」マテが差し出した豆腐に、ボトンもが笑った。

ボトン「あははっ!純豆腐なんて食べませんよ。(指で四角を描き)こんな四角い豆腐を食べるんです」
ダビデ「もぅ、食べれば一緒でしょ?早く食べて」
ボトン「誰が食べるんですかー。チーム長が食べてください」
ダビデ「そうじゃなきゃまた捕まりますよ!早く食べてくださいよ」
ボトン「それじゃ、スンドゥブチゲ作って食べましょ」
ダビデ「チゲじゃなくてね、もう来ないぞっていう意味で食べなきゃいけないんですから!」
ボトン「食べませんってば~!」

いつまでも続く二人のやり取りを、離れたところでマテは見守っていた。
ボトンが間違いなく釈放されたことをその目で確かめると、マテは小さく頷いてその場を後にする。

+-+-+-+

ボトン会社。

ダビデは電話の相手に声を荒げていた。

ダビデ(電話)「部長、そんなの酷いですよ!うちが売上や信用落とすようなことありましたか?どうして急にお掃除靴下を外すのか納得できません!」

隣にいるボトンが緊張してやり取りを見守った。

「部長が分からないでどうするんですか!」ダビデの訴えも虚しく、電話は一方的に切れた。

ボトン「私たち、MGホームショッピングまで外されるんですか?」
ダビデ「…えぇ」
ボトン「(怒)何のために契約書があるの?大企業なのに守らないなんて!」
ダビデ「違約金は払うからって」
ボトン「…。」

「MGはうちの社長を随分苛めるな」ダビデも苛立ちを募らせる。

ボトン「MGじゃなくて、あのおばさんよ」

+-+-+-+

「パク・ムンス代表は無罪ですぐに釈放される見込みです」

ホンランは新聞に目を通しながら秘書の報告に耳を傾けた。

ホンラン「検察の捜査はまともね」
秘書「パク・ムンス代表解任の件での理事会は延期しますか?」
ホンラン「解任するためにやったことよ。予定通り進めて」

「あぁ」とホンランは顔を上げた。

ホンラン「無罪よりもMGのイメージを失墜させる方向に進むと助かるわ」

+-+-+-+

マテはユラと顔を合わせていた。

マテ「MG百貨店からはアウトドアウェア店の撤退、MGホームショッピングからは上手く行っていたお掃除靴下の撤退」

マテは顔を上げた。

マテ「暗号が威力を発揮するときです」
ユラ「…。」
マテ「会長は元気に戻られたし、僕はもう昔のトッコ・マテじゃない」
ユラ「お父様に会いに行くってこと?」
マテ「あなたにも時間が必要では?」
ユラ「…。」
マテ「パク・ムンス代表解任の件で理事会が開かれるそうですね。僕が庶子だと明かせば時間を稼げる」
ユラ「ナ・ホンラン副会長の攻撃、一つでも防いだことがあったかしら?」
マテ「…。」
ユラ「百貨店も出て、今度はテレビ通販からも追い出され…。守備体勢が弱いのか、それとも、いまだ何の能力も計画もないのかしら?」
マテ「僕が息子だと立証するだけでも、状況は十分ひっくり返せます」
ユラ「…。」
マテ「人はたったの一手で勝つこともできる。僕よりもよく知っているはずなのに、それでも暗号を渡さない理由は何です?」
ユラ「今渡して役に立つ暗号なら、最初から渡しているわ」
マテ「…。」
ユラ「最強の守りは攻めること。まだ攻撃力が足りないわ。焦って動くのはやめましょう」
マテ「…。」


#ちょっとふっくらしてるとゴヌみたい。

+-+-+-+

ダビデは時計を覗くとグンと伸びをした。

ダビデ「さぁ、帰ろう」

一緒に帰ろうと誘うダビデに、ふと思いついたようにボトンが尋ねた。

ボトン「ひょっとして、周りに大企業の庶子っていません?」
ダビデ「…庶子ですか?」
ボトン「(溜め息)訊きたいことがあって。もともとそんなに強情なのかな…」

+-+-+-+

マンションに戻ってくると、マテはまだそのままになっているツリーの写真にまっすぐ向かった。

マテ「母さん、俺、今日父さんに会いに行こうと思うんだ。母さんがくれた暗号はないけど、大事なのは父さんの気持ちだろ?」

マテは決心を固めたように目に力を込めた。

+-+-+-+

マテの車が雪景色の中にそびえる豪邸の前に止まった。
降りてきたマテを出迎えたのは、キソクの側近だ。

側近「どちら様です?」
マテ「トッコ・マテと申します。パク・キソク会長にお目にかかりたいのですが」

側近の男性は余裕のある笑みを浮かべる。

側近「少々お待ちを」


+-+-+-+

ベッドで休むキソクの前に側近が進み出た。

側近「あの、会長」
キソク「?」
側近「マテ君が訪ねてきました」
キソク「…。手ぶらで来たのか?」
側近「そのようです」

キソクはあまり体調が優れないように目を閉じた。

キソク「眠いな。疲れた…」

側近はそのままキソクの前を下がった。

+-+-+-+

側近がマテの元へ戻ってくる。

側近「会長は気分がすぐれないご様子です」
マテ「…。」
側近「どなたか存じ上げませんが、今後一方的な訪問はお控えください」

「では」と頭を下げる側近に、マテは諦めきれずに食い下がった。

マテ「僕をご存じないはずはないんですが」
側近「…。」
マテ「ぜひお会いしたいんです。少しで構いません」
側近「申し訳ありません」
マテ「それなら、必ずお伝えください。”暗号を手に入れて、必ずまた会いに来ます”と」
側近「…。」

車に戻り、去っていくマテを、側近は静かに見送った。

+-+-+-+

遅くまで社長室に残っているマテにボトンが声を掛けた。

ボトン「オッパ、帰らないんですか?」
マテ「帰らなきゃな。先に帰れよ」(←この言い方が超優しいんですが
ボトン「晩ご飯は?食べたんですか?」
マテ「…。あぁ」

言葉を濁して俯くマテをボトンはじっと見つめた。

ボトン「何か買ってきてあげましょっか?」
マテ「いや、いいんだ。お前は大丈夫なのか?」(←何なの、このソフトっぷり
ボトン「どうして?」
マテ「人生の淵から牢屋にアップグレードしたからな、キム・ボトン」
ボトン「…すみません」
マテ「…。」
ボトン「また出しゃばってオッパのこと困らせちゃいました」
マテ「体は何ともないか?」
ボトン「私の財産は体力だから^^」



ニッコリ笑うと、すぐにボトンは顔を曇らせた。

ボトン「オッパ、調子がすごく悪そう…」
マテ「…。」
ボトン「暗号のせいですか?」
マテ「…。」

ボトンは重苦しく溜め息をつく。

ボトン「…。」

+-+-+-+

翌朝。

「ボトンさん、出勤しましょう~」ダビデが部屋を覗くと、そこにボトンの姿はなかった。

ダビデ「あれ?もう出掛けたのかな?」

ダビデは携帯を取り出した。

ダビデ(電話)「ボトンさん、どこですか?あぁ、遠くまで?昼食までには戻るんでしょう?えぇ、じゃああ会社で」

話しながら何気なく後ろを振り返ったダビデは、ボトンのノートPCが立ち上がったままになっているのに気づいた。

ダビデ「?」

そこには、ユラの経営するカフェのブログが表示されていた。



#ユラの写真の下に「社長は美人~」とあります。

ダビデ「!」

ダビデの心に不安がよぎった。

+-+-+-+

カフェに出勤したユラが扉を開けると、待ち構えていたボトンが彼女の前に立ちふさがった。

ユラ「?」
ボトン「3時間待ってたんですから。3分だけ時間をください」

+-+-+-+

ユラとボトンはカフェの一席で向き合っていた。

ユラ「随分待ちました?店を知っていたのなら、まず電話をして約束を…」

ユラが言い終わるのを待たずにボトンが立ち上がる。
彼女は黙ってテーブルの横に回ると、その場に跪いた。

ボトン「マテオッパの暗号をください」
ユラ「…。」
ボトン「お願いです。返してください」
ユラ「…。」

ユラはゆっくりと視線を見渡す。
他の客が自分たちに注目していた。

ユラ「(苦笑)公共の場所でこんなことしたら…」
ボトン「私、何をお手伝いしたらいいですか?ここでコーヒー売りましょうか?」
ユラ「…。」
ボトン「お掃除しましょうか?一生タダでやりますから。オッパの暗号だけは返してください」

周りの視線も気にせず、まっすぐな目で訴えるボトンを、ユラはじっと見つめた。



ボトン「…。」
ユラ「…。」

ちょうどそこへ階段を上がってきたダビデの目に、ボトンとユラの光景が飛び込んでくる。
彼は顔を歪めると、ボトンを後ろから抱え、彼女を立たせた。

ボトン「チーム長!」
ダビデ「会社へ行きましょう」
ボトン「ちょ、ちょっと待って!ホン・ユラさんと話があって」

渋るボトンを、ダビデは無理やり抱きかかえ、階段を降りていった。

ユラ「マテ、どうすればいい?ふふふっ」

+-+-+-+

電話の画面にはトッコ・マテと発信者の名前が表示されている。
指を伸ばすと、ユラは静かに拒否ボタンをスライドさせた。

ユラの向かいに座っていたのは…

ダビデだ。
彼はユラの自宅を訪ねていた。

ダビデ「…。」
ユラ「頭痛の種が多くて早く帰ってきたから、ご足労をお掛けしたでしょうね」
ダビデ「…。」
ユラ「ボトン会社のチーム長ですか?」
ダビデ「そうです」
ユラ「どうしてここまで?」
ダビデ「丸一日考えました。僕の人生が掛かってることですから」
ユラ「?」
ダビデ「トッコ・マテ社長の暗号、渡してください」

ユラは少し呆れたように笑った。

ユラ「トッコ・マテは人に恵まれているわね。みんな自分のことみたいに…」
ダビデ「彼には関係のないことです」
ユラ「キム・ボトンさんとは関係が?」
ダビデ「あなたの前夫パク・ムンス代表は解任されるでしょう」
ユラ「…。」
ダビデ「理事会の日に解任されるはずです」

ユラの声が低くなる。

ユラ「私と同じくらいMGに関心がおありなのね」
ダビデ「…。」

ユラは悠然とお茶に手を伸ばした。

ダビデ「父の会社だからです」
ユラ「!」

ユラの手が止まり、器が小さな音をたてる。

ユラ「何ですって?」
ダビデ「…。」
ユラ「あなたがお義父様の息子だと?」
ダビデ「あなたが連れている庶子よりも、また別の庶子である僕のほうが役に立つはずです」
ユラ「!」
ダビデ「僕がパク・ムンス代表をお守りします。だから、暗号を渡してください」
ユラ「…。」
ダビデ「…。」
ユラ「それなのに何故そうやってひっそりと…」
ダビデ「僕は…いや、僕の人生で一番消したいのがMGとの血縁です」
ユラ「…。」
ダビデ「血縁に人生が掛かっている人もいるでしょうが、僕は違います。出来ることなら一生MGと関わることなく生きたいと思っている人間です」
ユラ「それなのに何故?」
ダビデ「…。」
ユラ「ナ・ホンラン副会長はあなたが庶子だと知っているんですか?」
ダビデ「どういう方なのか、あなたもよく知っているじゃないですか。もし知っていたら僕が今まで無事でいると思いますか?」
ユラ「私を助ける理由は何です?」
ダビデ「あなたを助けるわけじゃありません」
ユラ「…。」
ダビデ「もちろんパク・ムンス代表やトッコ社長を助けるわけでもない」
ユラ「…。」
ダビデ「何も悪くないのにあなたの前で跪いたあの人を…彼女を守りたい。それだけです」
ユラ「チーム長のしていることは、もしかしたらボトンさんをもっと苦しめることになるかもしれないわ」
ダビデ「どうでしょうか…。少なくともまたホン・ユラさんに会いに来てすがりつくことはないでしょう」

ユラはじっとダビデを見つめた。

ユラ「あなたは大丈夫ですか?こうして明かすこと」
ダビデ「人生が一気に騒がしくなるでしょう。望みもしない辛い人生になるだろうけど、今となっては構いません」
ユラ「…。」
ダビデ「ボトンさんは僕が守るんです」



ダビデの心からの言葉に目を伏せたユラは、表情を和らげた。

ユラ「…。」

+-+-+-+

トクセンと新入社員たちが対処について頭を悩ませている。

#イケメン男性社員が喋った!

そこへ入ってきたのはユラだ。

ボトン「?!」

ボトンが驚いて顔を上げると、ユラは小さく頭を下げ、社長室へ向かった。

+-+-+-+

マテとユラの前にボトンがお茶を持ってくる。
テーブルにお茶を出し、下がろうとするボトンをユラが呼び止めた。

ユラ「ボトンさんもちょっと…」
ボトン「?」

マテがユラの真意を図るように彼女を黙って見つめた。
ユラはバッグから携帯電話を取り出すと、テーブルの上に差し出す。

ユラ「私個人のデータは全て消したわ。ここに唯一残ったのはマテさんのお母さんがくださった暗号よ」
マテ「!!!」
ボトン「…。」
ユラ「ここにあるわ」

「見たでしょう?」ユラは驚くボトンを優しく見上げた。

ユラ「もう私をいじめないでね、ボトンさん」
ボトン「…。」
マテ「(ボトンに)何のことだ?」
ボトン「…。ごめんなさい、オッパ。私、暗号をくださいってカフェに…」
ユラ「跪いたのよ」
マテ「!」
ユラ「ビックリ仰天よ」
マテ「(ボトンに)本当なのか?」
ボトン「…。」
マテ「お前が何で?何で俺のために?!」

ボトンは何も言えず、ただ唇を噛み締めた。

ユラ「完全にメロドラマね。一度跪いて済むならマシよ。この暗号のために誰かさんは自分の人生を投げ打ったのに」
ボトン「?」
マテ「?」
ユラ「あぁ、違ったわ。ボトンさんとその誰かさんは、愛のためだったわね」
マテ「?!」
ボトン「誰か…さん?」

ハッとして目を丸くするボトンを、ユラは愉しげに見上げた。

+-+-+-+

ボトンは街の中を無我夢中で走っていた。

ボトン(声)「どこ?どこなんですか?チーム長!」
ダビデ(声)「サボって家に帰ったんです」

ユラの言葉がボトンの頭を巡る。

ユラ(声)「チェチーム長って言ったかしら?彼、あなたをすごく大事にしてるみたい。それだけは知っておいて。あなたのために彼、全てを差し出したのよ」

+-+-+-+

ボトンがダビデ邸の庭に駆け込むと、ツリーの前にダビデは立っていた。

ボトン「チーム長!」
ダビデ「ボトンさん…」
ボトン「どうして私のために?!」
ダビデ「…。」
ボトン「ごめんなさい」
ダビデ「…。」

ツリーを見上げたダビデの目に涙が滲んでいた。

ダビデ「ボトンさん、これ、壊れちゃったみたいだ。何で灯りが点かないんだろう」
ボトン「チーム長の気持ちに知らんぷりして…」
ダビデ「!」
ボトン「…本当にごめんなさい」



ボトンの目から大粒の涙が零れ落ちる。
自分のために泣く彼女を前に、ダビデはゆっくりと近づくと、しっかりと手を握り…

ボトン「…。」
ダビデ「…。」

抱きしめた。



ダビデ「ごめんなさい。愛してしまって…」

+-+-+-+

門の前までやって来たマテは、ボトンとダビデの姿を見て、静かに踵を返した。

マテ「…。」

それでも気になり、彼はやはりもう一度振り返る。



+-+-+-+

ここでエンディングです。

いやー。

いいシーンでしたねぇ、ラスト。
ダビデはどこまでも一途で、ボトンはどこまでも可愛い。
イ・ジャンウさんもIUちゃんも、ホントいい役者さんです。
思わずキューーーンとなっちゃったじゃないですかぁ。
特に、自分の前で泣いてるボトンを見て「どうしよう、どうしよう」って感じのダビデの表情が抜群にいいです。

さてさて、この後半でもキジ関連の流れは原作通り。
マテがキジの心をうまく操ってボトンを釈放させるやり取りや、檻の中のボトンに会いに来たやり取りもほとんどそのままです。良かったですよね~。ただし、面会前のダビデvsマテや、”ボトンは俺が守る”はドラマのみ^^
ダビデは「僕から頼まれたとは言わないで」とマテに頼まれ、釈放されたボトンを迎えに行く役回りでした。

三角関係の部分はドラマオリジナルでダビデが絡む部分がぐっと増え、かなり色濃く演出されていますが、それでも先日のように突拍子なく感じることもなく、うまく原作ストーリーに加味されていると思います。

あ、もう一つ!
キジのパーティーに忍び込もうとしたボトンは原作ではすんなり入口を通されました。
ドレスコードはキャラクターに仮装すること。
彼女は一目で”ぼのぼの”だと判断されたんですよね~(笑
衣装がきっちり再現されていて感激でした。

そしてそして!気づいちゃったことを最後にもう一言だけ。
ユラとホンランの「ふふっ」と「(何か思い出した時の)あぁ!」、全く同じです(笑)

ではでは、いつも長文に最後までお付き合いいただきありがとうございます。
コメントやTwitterでのメンションなど、本当に嬉しいです。
また次回~♪






9 件のコメント:

  1. こんばんわ。
    いつもこちらで訳をみさせてもらってから、ドラマを観てます♪
    マテとダビデの間で揺れるボトンちゃんがウラヤマシイ…でも、ボトンちゃんは同性の私から見てもキュートで、ひとつひとつの仕草が愛らしくて大好きです♪

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  2. 毎週楽しみに待たせて頂いて居ます。 先にドラマを観てしまうのですが、ユジナさんのストーリーを追って読みまたドラマを観る、そんな感じで二度三度楽しませて頂いて感謝の一言につきます。さらっと書いてくださる感想も頷ける事が多くて、本当にありがとうございます。御礼が言いたくてコメントしました。

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  3. ありがとうございます。
    一生懸命なポトンちゃんがホントに可愛い( ´艸`)
    あんなに純粋に思われたら気がつかないことはないとおもうけどマテはそこは鈍いのねσ(^_^;
    ユジナさんの表現がぴったりですごくわかりやすいです。
    次も楽しみにしています。

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  4. 初めまして!
    毎回とても感謝して読ませて頂いてます。わたしは韓国語が全くわからないのでユジナさんのこのブログが頼りです。ユジナさんは会話を訳すだけでなく、情景も描いてくださっているのでとてもわかりやすいです♪
    原作との違いもコメント ありがたいです。
    どうか、年末年始はお忙しいと思いますが、無理せずよろしくお願いします。

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  5. 読みました♪
    ほんとに…感動なシーンでしたね♪
    ダビデの一途な心が大好きです♪
    ボトンもこれから辛くなりそうですね~((T_T))
    マテもあんななじられかたは辛すぎました~
    自然に涙が溢れてきました~(;_;)
    懐中時計も気になります!!
    マテは誰の子なんでしょう~?
    来週も楽しみです!!

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  6. ユジナさん、ありがとうございます!
    ボトンが釈放されるところ、ダビドではなくマテの力だったのですね
    ほんとに面白くなってなってきました!!
    12話待ってます~
    感謝です♡

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  7. ありがとうございます(*´∇`*)

    ダビデが ついに自分の人生をなげうってまで
    ボトンへの愛を貫いて行く、、、
    『ごめんなさい 愛してしまって』、、、
    胸にジーンときました。。

    二人を見つめる マテの 眼差しが
    悲しく見えて、、、
    みんなが幸せになれれば。。。
    無理なことを願いました

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  8. いつも、ありがとうございます…

    細かい表現が判らず、スルーしてしまったところなど
    丁寧に描いていただいて…
    より「きれいな男」を堪能できます^^
    本当にありがとうございます

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  9. こんにちは(*^^*)
    マテ、ボトン、ダビデの三角関係の結末が、どうなるのかな~(?_?;
    みんないい人だから、みんな幸せになってほしいな(#^_^#)
    12話はドラマが削除されて見れなかったので、ユジナさんの翻訳頼りにしてますo(^-^)oワクワク

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