2013年12月23日月曜日

きれいな男10話あらすじ&日本語訳vol.1

チャン・グンソク、IU、イ・ジャンウ、ハン・チェヨン出演「綺麗な男」10話です。

さっそくどうぞ。





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「無礼な真似を!」

ダビデはボトンの腕をつかまえ、マテに向かって声を荒らげた。

マテ「(ダビデを睨んだまま)一晩中ここにいる気か?キム・ボトン!」
ボトン「!」
マテ「どうする?」

睨み合ったまま視線を離さない二人を交互に見比べると、ボトンは先にダビデに声を掛けた。

ボトン「チーム長」
ダビデ「?」
ボトン「先に入っててください。私、オッパと話してから戻ります」

しっかりと腕を握りしめた彼の手を、ボトンはそっと外す。

ダビデ「…。」

ダビデを安心させるように、ボトンは彼をまっすぐ見つめると、マテに手を引かれるまま、ダビデから遠ざかって行った。

マテはボトンを助手席に乗せ、エンジンを掛けた。
俯いていたボトンが視線を上げる。

ボトン「…。」
ダビデ「!」

マテの車がダビデの横を通り過ぎていった。

ダビデ「…。」

#はい。完全にダビデが主役の構図です。

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マテの後ろに続き、ボトンが彼のマンションに入ってきた。
彼は振り返ると、無表情で告げる。

マテ「部屋はすぐ暖まるはずだ。明日片付けてやるから、とりあえず今日は…」
ボトン「どうしてこんなことを?」
マテ「何が?」
ボトン「約束守れなくてごめんなさい。でも、チェチーム長との約束が先だったんです。チェチーム長はオッパと食事に行けって言ったけど、私が心苦しくて行ったの」
マテ「説明しなくてもいい。もう遅い。休め」
ボトン「私、行きます」
マテ「どこ行くんだよ」
ボトン「…。」
マテ「チェチーム長の家がそんなにいいか?!」
ボトン「…。」
マテ「…。」

ボトンはカッとなったマテをじっと見つめると、ふっと笑った。

ボトン「こういうのが”困る”ってことなのね」
マテ「?」
ボトン「オッパは私を困らせて、私は…」

深い溜息をつくと、ボトンは顔を上げた。

ボトン「おやすみなさい。明日会社で会いましょう」
マテ「それならおばさんの店に行こう。送ってやる」
ボトン「私がチェチーム長の家にいようと、お母さんの店にいようと、オッパの家にいようと…そんなこと重要じゃないでしょう?」
マテ「…。」
ボトン「私がオッパの心のどこにいるのか、それが大事なんです」

ボトンは背を向けようとする。

マテ「どこ行くんだよ!!!」
ボトン「…。」



ボトンは笑顔を作り、振り返った。

ボトン「まだクリスマスなんです、オッパ」
マテ「…。」
ボトン「私たち笑顔で過ごしましょうよ」
マテ「…。」
ボトン「おやすみなさい」

ボトンは入ったばかりの部屋を、また出て行った。



マテ「…。」

+-+-+-+

ボトンは夜の街を一人で歩いていた。

ボトン「はぁ…。オッパがご飯食べようって…俺の家に行こうって…、気分最高のはずなのに、何でこんなに憂鬱なんだろ」

ぼんやりと立ち止まった彼女は、ふいにケーキ屋のショーケースに目を留める。
そこには、たった一つポツンとケーキが売れ残っていた。

ボトン「あんたも一人ぼっち?私も。仕方ないね、私が食べてあげる」

+-+-+-+

ボトンは母と弟と3人で、仲良くロウソクの火に息を吹きかけた。
一吹きで炎が消えると、皆で手を叩く。

弟「来るならもっと早く来いよな」
ボトン「今日は用事が多かったんだから。頭が割れそうよ」
母「あらま♪そんな綺麗な服着ちゃって、どんな用事が多いのかねぇ♥」
ボトン「綺麗?プレゼントしてもらったの」
母「いやぁ、チェチーム長は服の趣味がいいじゃないか。ホントにピッタリだよ、ピッタリ!」
ボトン「マテオッパが買ってくれたんだけど」
母「何だって?」
弟「やっぱりな。姉ちゃんのセンスじゃないと思った」
ボトン「!」

母が息子をひっぱたく。
親子3人はいつもの通り、ひとしきりふざけあった。

+-+-+-+

翌朝。
ダビデがぼんやりとテントから出てくると、目の前のテーブルにボトンがいるのが見えた。

ダビデ「ボトンさん!」

ボトンが振り返って笑う。

ボトン「幽霊みたい^^ ちょうど今起こそうと思ってたんです。ご飯の匂いで目が覚めたんですね」
ダビデ「いつ戻ってきたんですか?」
ボトン「いやね、お母さんのお店に泊まったんだけど、夜明けから起こされちゃって。途中で買ってきたんです」

ダビデは頷きながら、密かに喜びを噛み締めた。

ダビデ「お母さんのお店に泊まったのか」

「あぁ、美味そうだ」ボトンが買ってきた粥をテーブルに出すと、ダビデもさっそく席についた。

ボトン「トクセンオッパも起こさなきゃ。(大声で叫ぶ)チャン・トクセーーーン!」

叫んだボトンを、ダビデが手で制した。

ボトン「?」
ダビデ「トクセンさんは昨夜帰って来なかったんです。忙しいらしい」
ボトン「そう?じゃ、残っちゃうね。二人で食べちゃいましょ♪」

ボトンは粥のパックと箸を一つずつ、ダビデに差し出した。

ボトン「アワビ粥♪」
ダビデ「アワビ粥?おぉ~、高いのに」
ボトン「えへへ^^」

+-+-+-+

マテは鏡を眺め、ネクタイを整えた。
「はぁ」と溜め息をつくと、手をダラリと下に降ろす。

マテ「バツが悪い。何てザマなんだ、トッコ・マテ。どうやってキム・ボトンと顔合わせるんだよ?クリスマスだからって無駄なことを…」

そこへ電話が鳴った。
画面にはボトンの名前。

マテ(電話)「もし…」
ボトン(電話)「気まずいからって欠勤ですか?!どうして出勤しないんです?」

ボトンはデスクでプンプン怒っていた。

ボトン(電話)「社長のくせに。だから”名ばかりの社長”って言われるのよ!」
マテ(電話)「おい。まくし立てんなって。出て来い。飯でも食おう」

マテは目を細める。

マテ(電話)「一人で来いよ」

+-+-+-+

ユラのカフェの前までやって来ると、パク・ムンスはそこで躊躇するように足を止めた。
建物を見上げる表情は憂鬱だ。

~~同じ日 副会長室にて

ナ・ホンラン「あのときもあなた、最後までスルリの母親を信じたわ」
ムンス「…。」
ホンラン「愛する人を最後まで信じるのは美しいことね。今回も信じてあげるつもり?」
ムンス「馬鹿げたことをおっしゃらないでください!」
ホンラン「…。」
ムンス「スルリの母親が、父さんの息子、しかも庶子だという男とそういう関係だと?」
ホンラン「…。」
ムンス「スルリの母親を追い出したときは何とおっしゃいましたっけ?あぁ、留学費を稼ぐために看病人のバイトをしていた話を持ちだして、金持ちの年寄りの妾だって、そういう関係ってことになさったでしょう?実によく覚えてますよ」
ホンラン「…ムンス」
ムンス「…。」
ホンラン「手のひらで目を塞ぐのはあなたの自由だけど、天まで遮ることができないからと恨むのは愚かじゃないかしら?」
ムンス「…。」
ホンラン「私じゃない。周りで囁かれているの。義弟と度を越して親しい間柄なんじゃないかとね。ただの噂だとしても恥ずかしくて顔を上げられないわ」
ムンス「…。」

~~

ムンスはコーヒーを一口すすると、ストレートに切り出した。

ムンス「トッコ・マテって誰なんだ?」
ユラ「?!」
ムンス「本当に父さんの息子なのかい?」

ユラは大きな目を見開いたまま、黙ってムンスを見つめた。
ムンスは笑う。

ムンス「それなら僕の異母兄弟だな。そうだろう?」
ユラ「…。何が言いたいんです?」
ムンス「僕は…君が留学時代にしていたアルバイトが看病人だったと信じてる。母さんはスキャンダルにしたけど、僕は信じた。ずっと…信じていたいんだ」

ユラはうんざりしたように溜め息をついた。

ユラ「昔も今も問題は同じね」
ムンス「…。」
ユラ「自分の母親を一番憎んでいるのに、結局は母親の言うことを聞いたじゃない」
ムンス「…。」
ユラ「口では違うと言っても、あなたの目には私はスキャンダルの女主人公。義理の弟と遊び歩くバツイチ女よ」


#ユラもクリスマスver^^


「下水に浸かって生きている気分だわ」ユラはムンスをまっすぐに見据え、淡々と話した。

ムンス「…。」

+-+-+-+

「何が食べたい?」

ボトンが店員からメニューを受け取ると、マテはにこやかに声を掛けた。

マテ「食べたいもの、全部食べろよ」

マテが両手を広げて見せると、ボトンが笑う。

ボトン「オッパ~。ホントに私とご飯食べたかったんだね♥」
マテ「^^」
ボトン「食べる前からお腹いっぱい♪あははっ」

「これと…これと、あ、これも!」ボトンが次々と注文するうちに、マテの顔が微かにこわばる。
いざ自分の番になると、マテはシーザーサラダだけを注文した。

店員が注文を全て端末に入力する。

チキンサラダ
スーパーミートボール
ボンゴレ
クリーム・ガンベローニ
等など

合計130,800ウォンと表示されている。

店員が下がると、マテはニコヤカに…怖いほどニコヤカにボトンを呼んだ。

マテ「キム・ボトン?」
ボトン「はーい♪」
マテ「俺は今年のクリスマスをしっかり覚えておくつもりだ^^」
ボトン「…。」
マテ「一人ぼっちで寂しくクリスマスディナーを食べたことは、俺の記憶にはない気がする^^」
ボトン「……・」
マテ「どんなに考えてみてもそんな記憶は決してないな^^この点についてどう思う?^^」



ボトンは困って俯いた。

マテ「もちろんお前に返す言葉はないだろう。誰も食べずに冷えていくステーキとクリスマスの乾杯をするとはな^^」

「あははは」マテは乾いた笑い声を上げる。

マテ「全く驚きだ^^」
ボトン「オッパ、私ホントに…」
マテ「それでもお前はあの綺麗な服を来て雪の妖精のようだったな^^」
ボトン「…。」
マテ「無駄に同情心を煽っておいて、それを着てチェチーム長の公演に行ったんだ^^」
ボトン「…。」
マテ「その点についてはどう思う?^^」
ボトン「(溜め息)」
マテ「それで思い悩んでいるところだ。どう戒めてやるべきかってな^^」

「オッパ~♥」ボトンは甘える作戦に出る。

ボトン「一回だけ許して下さいよぉん~♥」
マテ「ははっ^^猫撫で声はやめろ^^」
ボトン「…はい」

+-+-+-+

しばらくして…

出された食事を全て平らげ、「あ゛ー」と息をつくと、ボトンはグラスの水でグチュグチュと口をゆすいだ。

ボトン「(キョロキョロ)トイレ行ったっきり戻ってこないなぁ」

「あぁーお腹いっぱい!」ボトンがソファにもたれかかると、店員がやって来た。

店員「あの…」
ボトン「?」
店員「お連れ様が急用で先に帰るから、そう伝えるようにとおっしゃいまして」
ボトン「えっ?先に帰ったんですか?」
店員「はい」
ボトン「もぅ、一人で帰るなんて」

ボトンは上着を手に立ち上がろうとする。

店員「あ、あの!」
ボトン「?」
店員「お会計をお願いします」
ボトン「お会計…済んでないんですか?」
店員「はい^^;」
ボトン「あぁ^^;」
店員「お会計はお席で結構です」

ボトンは苦笑いして財布を出した。

ボトン「(カードを出し)いくらですか?」
店員「13万800ウォンです」
ボトン「えっ?!嘘っ」

ボトンのクレジットカードが機械を通されると、ボトンはガックリとうなだれた。

ボトン「ははっ。トッコ・マテめ」

+-+-+-+

「おー、寒い!」出版社の玄関から出てきた男性は、建物の前に立っていた女性に気づき、足を止めた。
女性は一冊の本を差し出す。

ユラだ。

ユラ「サインをお願いしてもよろしいですか?ナ・ファンギュ先生」

ナ・ファンギュはユラを不思議そうに見る。

ファンギュ「(本を指し)ここに”著者 カン・ミン”と書いてありませんか?」
ユラ「仮の名じゃないですか」
ファンギュ「…。」
ユラ「本名はナ・ファンギュ。もしかしたら今頃MGグループ代表の座についていらしたかもしれない…MGの嫡流」
ファンギュ「どなたです?」

ユラは名刺を取り出した。
名前と電話番号、メールアドレスが書かれているシンプルな名刺だ。

ユラ「かつてはナ・ホンラン副会長宅の嫁であり、今はMGに敵愾心を持って生きている女」
ファンギュ「…。」
ユラ「いかがです?簡潔だけど、自己紹介としては十分な情報でしょう?」
ファンギュ「(笑)味方同士だっていう自己紹介ですか?」

ファンギュは受け取った名刺を地面に捨てた。

ファンギュ「美しきご婦人、よく聞きなさい。俺はね、MGという名前を聞くだけでも虫酸が走る。ウンザリなんだ」
ユラ「…。」
ファンギュ「出しゃばって酷い目に遭う前に帰れ。今度現れたらそのときは!…20余年封じ込められた憎悪がどんなものか…そっくり見せてやる」

ファンギュは足早にユラの前を立ち去った。
その背中を、ユラはじっと見つめる。

ユラ「怖いわね」

携帯を取り出すと、誰かに連絡を取る。

ユラ「ナ・ファンギュを煽っておいたから、すぐ父親に会いに行くはずです。しっかり後をつけてください」



+-+-+-+

「わがボトン会社にいらっしゃったことを大いに歓迎します」

新しくやってきた職員2名を前に歓迎の言葉を述べるトクセンを、ボトンとダビデが呆れた顔で眺めた。

トクセン「難関を乗り越えてここまでいらっしゃるとは、これこそドラマ!!!」
新入社員「^^;;;」

「マテオッパがいたら、こんな演説したかな?」ボトンがダビデ相手に笑うと、その瞬間トクセンの後頭部を何かが直撃した。

トクセン「!!!」
ボトン「?」

いつのまにかそこにいたマテの攻撃だ。
マテはトクセンに代わり、新入社員たちの前に立った。

マテ「皆さんはこれから超スペシャルなビジネスライフを経験することになるでしょう。なぜかって?それはまさに…」

若い女性スタッフが進み出る。

女性「トッコ・マテ社長に出会ったから♥」
マテ「入社動機は?」
女性「CEOが気に入ったからです♥」
マテ「具体的に」
女性「ビジュアル♥」

マテがニヤリと笑う。

マテ「今期のリーダーをお願いします」

彼が手を差し出すと、女性は嬉しそうに握り返した。
マテがダビデたちを振り返る。

マテ「新入社員、しっかり選んだな。っはっはっはっ!!!」

女性社員とすっかり盛り上がっているマテを尻目に、ボトンはダビデに囁いた。

ボトン「チーム長が選んだんですか?どうして?!」
ダビデ「(ポカーン)」
ボトン「どうするの、あれ?!」
ダビデ「心から謝ります。すみません。本当にごめんなさい…」
ボトン「…。」

+-+-+-+

ユラは首元に香水を噴きかけた。

ユラ「結婚式の時も会えなかった婚家の重鎮を訪ねるんだから…綺麗にしていかなきゃね」

+-+-+-+

うっすら雪の降り積もった庭を掃き清めていた男性は、人の気配に門を振り返った。
女性が立っているのが見える。

ユラだ。

男性「…。」

ユラが頭を下げると、男性は彼女が来るのを知っていたように、黙って彼女を見つめた。

+-+-+-+

男性、ナ・ホンランの兄ナ・ジンソクは、居間でユラに茶を差し出す。

#「あれ?」と思って、過去の回を確認。
ユラは8話で探偵に「唯一生き残っている兄、ナ・ジンソクを探せ」と指示し、ここへたどり着いていますが、6話でユラが見ている古いニュース映像の中で「MGグループの長男ナ・ジンソク氏が交通事故で死亡した。検死では麻薬が検出」と出ていますね。あれれ?
この男性が会話の中で「私と兄が…」と言っているので、この人の名前は次男ナ・ジノじゃないかと思うんですが。名前が入れ替わってませんか?あースッキリしない。何か私が間違っていたら、分かり次第修正しますね。

ジンソク「負けた者同士、何を話すことがあるんです?」
ユラ「…。」
ジンソク「私の作った茶です。体にいいから、温かいうちに飲んで…お帰りなさい」
ユラ「ナ・ホンラン副会長に息子がいるそうですね」
ジンソク「!」

ジンソクは目を丸くし、咳払いをする。

ジンソク「私の知らぬことです」
ユラ「どうか…お話しください。お願いです」
ジンソク「なぜナ・ホンランに執着するんです?」
ユラ「子どもを守るためです」
ジンソク「…。」
ユラ「娘を…守らなければならないんです」

ユラの瞳が滲んだ。

ユラ「ただ事実だけを言ってくださればいいんです。(頭を下げる)お願いいたします」
ジンソク「若い人の方が(頷く)…私よりマシだな」
ユラ「…。」
ジンソク「私は自分の子どもたちを守れなかった。全ては私と兄が引き起こしたこと。罰を受けているんだと…そう思って生きているんです」
ユラ「…。」
ジンソク「だから、先代が起こした愚行の数々は…暴かないでおきましょう」
ユラ「叔父様の代はそれでいいとしても、その悪縁のせいで子どもたちが隠れて暮らしているのは、叔父様の罪では?」
ジンソク「…。」
ユラ「MGは叔父様のお父様が起こされた事業。叔父様のお子さんたちが当然持つべき権利を放棄なさってはいけないわ」

ユラの厳しい言葉に、ジンソクは緊張を高めた。

ユラ「有名な著作をいくつか持っていても公の場には出られず、仮の名で偽物の人生を送っているご子息ナ・ファンギュさん。誰が責任を取るんです?」
ジンソク「…。」
ユラ「不憫だとお思いにならないんですか?」
ジンソク「…君に私の息子、私の娘、私の妻が守れるのか?」
ユラ「…。」
ジンソク「命を掛けて守れるのか?ホンランから?」
ユラ「…。」
ジンソク「ナ・ホンランを下手に刺激すれば、私の家族がもっと辛い目に遭うんです。すでに…もう十分地獄だった」
ユラ「…。」
ジンソク「…。」
ユラ「お約束します」
ジンソク「何が知りたい?」
ユラ「ナ・ホンラン副会長のNY時代のこと」
ジンソク「!」
ユラ「そして、息子のことを」



+-+-+-+

ボトンたちは新入社員たちとトクセンも含め、みなで新商品のテントについて熱くディスカッション中だ。

そこへマテが軽快に入ってくる。

マテ「さて、今日の夕食は新入社員の歓迎会だ」

ボトンとダビデ以外のメンバーから拍手が起きる。
女性新社員のトヒがさっと立ち上がった。

トヒ「どこを予約します?年末だからどこも混んでるってご存知でしょ?^^」

ボトンが面白くない表情で呟く。

ボトン「トヒさんって食事のことだけは反応が超高速ですよね」
トヒ「フェ(刺身)はいかがです?」
マテ「スンデ…」
ダビデ「ボトンさんのお母さんの店に行きましょうよ!」
マテ「(ジロリ)」
ボトン「(ダビデに)おぉ~~♪」
ダビデ「^^」

ダビデが誇らしげにマテを振り返る。

マテ「…。」

#この女性はもういいから、もう一人の控えめなイケメン新入社員に喋らせなさい。

+-+-+-+

さっそく彼らはボトンの母親のスンデクク屋へやって来た。
マテがグラスを持って立ち上がる。

ボトン「?」

マテに目で促され、ようやく皆が立ち上がった。

ボトン「今年は大変ご苦労さまでした。来年はボトン会社がさらに成長することを祈り、私もまた、大韓民国最高のビジュアル派CEOとして、さらにファイティンすることを約束しましょう」

「乾杯!」マテの合図に続き、皆が乾杯の声を上げた。

+-+-+-+

店を出て他の仲間と別れたボトンとダビデは、二人で街の中を歩いていた。

ボトン「チーム長、私やっぱり家に戻ろうかと思って」
ダビデ「どうして?!うちが過ごしにくいですか?」
ボトン「いえいえ。そんなんじゃなくって。チーム長が中で暮らしてください」
ダビデ「…。」
ボトン「若い女性のオバケでした。セクシーですよ^^」
ダビデ「…。もう一杯だけ飲んで帰ります?」
ボトン「いいですよ^^」

+-+-+-+

二人は場所を移し、グラスを合わせた。

#この店のBGM、この間「主君の太陽」で使われてた曲だ♪よく知られてる曲なんですね。

ダビデ「僕って変わってるでしょ」
ボトン「?」
ダビデ「立派な家があるのにテントで暮らしてるなんて」

ボトンは微笑んだ。

ダビデ「家の中に入ると辛い記憶ばかり思い出して…それで」
ボトン「?」
ダビデ「あの家、母さんと一緒に暮らしていた家なんです」
ボトン「…。」

ダビデは悲しげに溜息をついた。

ダビデ「父さんは僕と母さんがいながら他の人と結婚したんです。母さんはそんな事実を受け入れられなかったみたいで。毎日、酒なしではいられなかった」

~~数年前

ダビデが家に帰ってくると、落ち着かない様子で庭をうろうろしている母親の姿。



それはダビデにとって見慣れた光景だ。
彼は母を見つめて苦しそうに溜め息をつくと、「母さん」と声を掛けた。

ダビデ「寒いのに何で外に?」
母「(笑顔)おかえり」
ダビデ「お酒飲んだんだろ」
母「ごめん。もう飲まないから」

ダビデは手に持った小さな紙袋を差し出した。

ダビデ「ハーブティー買ってきたんだ、お酒の代わりにこれ飲んでよ」

「そうね」母は何度も頷くと、息子を抱きしめる。

~~

ダビデ「鬱病の薬はそれ以上効きもしなかった。薬は強くなり、酒の量は増えて…」

~~数年前 病院

母は急に容態が悪くなり、病院へ緊急搬送される。
「母さん、しっかりして!」ダビデは夢中で泣き叫びながら付き添った。

しかし、それも虚しく心臓は停止する。

~~

話しているうち、ダビデの前は涙で潤んでいた。

ダビデ「母さん、酒に酔って薬を飲み過ぎたみたいだ」
ボトン「…。」
ダビデ「体も心もボロボロになって…そうしてそのまま亡くなってしまったんです」
ボトン「何てこと…。チーム長、すごく泣いただろうな」

ボトンの目から涙が零れ落ちる。



ダビデ「家の中に入ると、母さんが苦しんでいる姿しか思い出せないんです」
ボトン「…。」
ダビデ「僕は母さんさえいてくれれば良かったのに、母さんは父さんのことがすごく恋しかったみたいだ」
ボトン「…。」
ダビデ「そんな愛が何だっていうんだ…。鬱病の薬なしに生きていけない母さんが理解できなかったけど…可笑しなことに、僕がその薬を飲んでるんです」
ボトン「!」
ダビデ「薬なしでは眠れなくて…。それで、ついには庭でテントを張って暮らすようになったんです」

「バカみたいでしょう?」ダビデは顔を上げた。

ボトン「チーム長、今も薬飲んでるんですか?」

ダビデは静かに首を横に振る。

ダビデ「いいえ。もう飲みません」
ボトン「はぁ…良かった」

自分のために涙を流すボトンを、ダビデはじっと見つめた。
ダビデ(心の声)「ボトンさんのお陰で、笑えるようになったんです」

ダビデ「だから、ボトンさん」
ボトン「?」
ダビデ「まだ…出て行かないでください」

+-+-+-+

一人で会社に戻ってきたマテは、ボトンたちのデスクの前で足を止めた。
ダビデとボトンのデスクの上に、お揃いの人形が同じように置いてある。

彼はダビデのデスクから”ボトンうさぎ”をつまみ上げると、憎々しげに耳を捻り上げた。

マテ「男のくせにぬいぐるみかよ」

続いてボトンのデスクまで進むと、。”オッパうさぎ”を手にとり、じっと睨みつける。
同じように耳を捻ろうとして、ふと手を止めた。



マテ「…。」

マテは”オッパうさぎ”を連れ去ると、時分のデスクの上に座らせた。

#何なの、このシーン。しかもダビデの切ないシーンの直後に。
この後のシーンもシリアスだから、クッション挟んだのか…。


+-+-+-+

ユラは緊張して電話の発信ボタンを押した。

ユラ(電話)「私です、お義母様。ぜひお会いしたいんです。必ず」

+-+-+-+

カフェでユラと向かい合うと、ホンランは余裕ありげに微笑んでみせた。

ホンラン「どうしたのかしら?」
ユラ「私、調べたんです。お義母様のNYの話」

ホンランの顔から静かに笑みが消えた。

ホンラン「…。たいした能力ね」
ユラ「辛くて恥ずかしかったその時代がお義母様を変えた。なんとなくそういう気がしました」
ホンラン「…。」
ユラ「下手をすれば理解してしまうところでした。お義母様の悪行の全てを」

「まだ聴いていなきゃいけない?」ホンランはコーヒーを口に運んだ。

ユラ「悪かったと…謝ってください」
ホンラン「…。何を?」
ユラ「私に酷く当たったこと、元夫のムンスさんに向けた刀をまだ収めていらっしゃらないこと…」
ホンラン「…。」
ユラ「私の娘スルリが父母の愛に満たされて成長する権利を奪ったこと」
ホンラン「…。」
ユラ「悪かったと、一言だけ謝ってください。一言だけ…」

ホンランは困ったように笑う。

ホンラン「あなたたちが自分で作った人生を、どうして私に謝罪しろと言うのか理解できないわね」
ユラ「お義母様。これで最後です。お義母様に差し上げられる機会は」
ホンラン「ユラ、私の人生、なぜあなたに済まないと思わなきゃいけないのかしら」
ユラ「…。」
ホンラン「考えてみるわ」
ユラ「そうですか。私は確かに…機会を差し上げました、お義母様」
ホンラン「…。」

+-+-+-+

夜。

考えに耽っていたホンランは、ノックの音に自室の入口を振り返った。
夫パク・キソクが顔を覗かせている。
彼女は微笑んで立ち上がった。

キソクは彼女のデスクまでやってくると、持って来たリボン付きの箱を開ける。
キソクは箱から取り出した置き時計を差し出す。

キソク「免税店で一つ買って来たんだ」

ホンランは嬉しそうにそれを受け取った。
妻の喜ぶ顔を確かめると、キソクはデスクの上に置いてある懐中時計に目を留める。

キソク「時計を反対に回しても、時間は戻せないよ」
ホンラン「…。」
キソク「そろそろ私たちも明日を心待ちに生きよう」
ホンラン「…。」
キソク「患ってみると、あれこれ思い浮かぶことも多いし、人も恋しくなってね」

キソクが出て行くと、ホンランは右手でデスクの懐中時計を拾い上げた。
過去を刻み続ける時計と、これからの未来を刻むであろう時計。



ホンランは二つの時計をしばらく見つめると、贈られたばかりの時計をデスクの上に伏せる。
懐中時計を開くと、つまみを回し、時計を逆に回転させた。

+-+-+-+

ここで一旦区切ります。

一体どこへ向かうんだか…。





3 件のコメント:

  1. ゆじなさんこんにちは(*^^*)
    今回は複雑すぎて、マテとダビデの関係性がいまいちわからなくなりました(?_?;
    私だけかな~(+。+)アチャー。
    今後の展開に期待します!(^^)!

    返信削除
  2. yujinaさん今日は。
    あリがとうございます。毎回あらすじが出るのを凄く楽しみにし
    ています。
    「綺麗な男」は展開が面白く、水曜日の放送が終わると木曜日
    からパソコンチェックが大忙し!
    yujinaさんのあらすじが出ているかどうか、度々確かめる日々
    です。
    グンちゃんの演技も最高、可愛かったりカッコ良かったり、お蔭
    で本当に楽しみな1週間を送っています。
    yujinaさんにとってはかなりハードな日々と思いますが体に気を
    付けて、頑張って下さい。
    毎週感謝しつつ、首を長くして待っています。

    返信削除
  3. ユジナさん、いつもきれいな翻訳ありがとうございます!

    今回の9,10話は、裏番組の
    「相続者たち」が終わって、次の強力な新番組の対抗として
    先に謎部分とか、三角関係部分を出して来たんだろうなぁ
    という展開でしたね。

    なかなか上達しない韓国語ですが
    それでも、メリの翻訳でお邪魔していた頃よりは
    少しは、聞き取れるようになってるかな!?と
    翻訳を読ませていただいて
    あ、あってるあってる!と
    喜んでいるワタクシです☆

    後半の女性たちの配役も決まったようで
    (でも、まだ決まってなかった?んですかね!?)
    ますます、楽しみです。
    どうぞ、体調に気をつけて
    無理をなさらないでくださいね!

    返信削除

記事を読んでくださってありがとうごございます。
コメントの際はお名前を入れてくださると嬉しいです。