じっくり読んでね~^^
+-+-+-+
「家まで送ってやるよ」
ボトンを助手席に乗せて車を走らせながら、マテがそう言った。
ボトン「ううん、オッパ疲れちゃう。私、タクシーに乗って帰りますから」
マテ「もう向かってる」
ボトン「私、引っ越したんですよ」
マテ「?」
ボトン「鳥山の家が売れてね、お店の近くにお母さんが家を借りたんです」
マテ「…。」
ボトン「私の部屋、超広いんですよ♪今度引っ越し記念のパーティーしますね」
「よかった」マテが小さく微笑む。
ボトン「オッパ、私ね…。オッパが早く全部払い落として、前みたいにツンツンして綺麗なオッパに戻ってくれたらいいな」
マテ「…。」
ボトン「辛いだろうけど…」
マテ「…。」
ボトン「オッパが今までやって来たことはホントに素敵なことだったって…それを分かってくれるといいな」
+-+-+-+
朝。
重苦しい心を引きずったまま、マテは出掛けるためにスーツに着替えた。
気持ちは到底晴れそうにない。
彼はソファに座り込み、苦しげに目を閉じた。
そこへ着信音が鳴る。
動画ファイルが届いていた。
再生ボタンを押すと、ボトンの姿が画面の中に映しだされた。
彼女はカメラに向かってスケッチブックを広げる。
ボトン(映像)「何にも起こらない静かな街に、ある日、テリュース(※キャンディ・キャンディのテリー)も真っ青な素敵な男、トッコ・マテが現れました。
ボトン(映像)「自分ではベジタリアンだって言いながら、百獣の王より肉食のマテは、毎日毎日カルビを食べて、どんどん綺麗になりました」
ボトン(映像)「ふぅ。美しさって罪ね。彼の人生、女の子が言い寄ってこない日はありません」
ボトン(映像)「それも仕方ないよ。そういう運命に生まれたんだもん」
ボトン(映像)「ラッキーなのは事業の手腕があったってこと。倉庫の靴下から始めた事業は、少しずつ成長しました。まぁ、ルックスのお陰もありますね」
いつしか、映像を見つめるマテは笑顔になっていた。
ボトン(映像)「ある日、すご~く悲しい出来事がマテを泣き虫にしちゃいました。いつだって気難しいふり、エラそうなふりしてたマテは、心の中では泣いてばかりのおチビちゃんだったんです」
ボトン(映像)「だけど!マテはきっと勝ちます!今までどれだけカルビ食べさせたと思います?勝てないわけないでしょ」
「私たちみんな、泣き虫のおチビちゃん、トッコ・マテがいつまでも大好き~♪」映像が終わった。
マテ「…。」
彼はそっとテーブルの上の懐中時計を手に取ってみる。
彼自身の大切なもの…選ぶべき道を、彼は懐中時計の向こうに見つめた。
+-+-+-+
ホンランは執務室のデスクで、恐る恐る小箱を開けた。
そこには自分の物と全く同じ懐中時計がおさまっている。
ホンラン「!」
その下に、小さな手紙が添えられていた。
몇날 몇일을 깊게 고민했습니다.
何日も何日も、深く悩みました。
부회장님 두 가지 제안은 모두 들어들일 수 없습니다.
副会長の二つの提案はどちらも受け入れることが出来ません。
지은 죄도 없이 낯선 땅으로 유배갈 이유 없어요.
罪もなく、見知らぬ土地に島流しに遭う理由はありません。
그리고 두번째 제안은 못들은 걸로 하겠습니다.
それから、二つ目の提案は聞かなかったことにします。
그 만큼 제 존게를 증오한다는 말씀을 이해하면서
それほど僕という存在を憎悪なさっての言葉だと理解し、
이 시계를 돌려드립니다.
この時計をお返しします。
저를 키워주신 어머니 유품이라 망설이었지만
僕を育ててくださった母の遺品なので迷ったけれど、
그 보다는 부회잠님과의 연을 깨끗하게 정리하는게
それよりも副会長との縁を綺麗に精算するほうが
중요한 일인 것 같아 보내드립니다.
大切なことだと思い、お送りします。
이것으로 갑작스러운 깊은 인연은 끝나기를 바랍니다.
これで思いがけなく深い因縁が終わることを願います。
원하시던 바라 반가우실 거라 생각합니다.
望むところだと、喜んでくださることと思います。
読み終わると、ホンランはそれを細かく細かく引き裂いた。
瞳に滲んだ涙が溢れそうになると、時計ごと思い切りデスクから払い落とす。
+-+-+-+
マテは社長室でダビデの報告を受けていた。
ダビデ「これらのブランドとはすでに契約書のやり取りが済んでいます。お互い準備を終えて、あとはサインすればOKです。まだ国内で展開したことがないので、放送が始まれば、かなり反応があると思いますよ」
「あぁ、それから」とダビデはマテに資料を手渡した。
ダビデ「社長が推薦なさったブランドは、まだ交渉中です」
「僕とは大違いですね」資料に視線を落とし、マテが呟いた。
ダビデ「え?」
マテ「僕がチェチーム長なら適当に済ませるだろうに、ここまで完璧に準備してくれるとは…」
「感謝します」マテが顔を上げた。
照れ笑いをし、ダビデが話を続ける。
ダビデ「アウトドアブランドの方も、新しいイメージで広告を作らないと。ミョミは単発契約だったから、違うモデルを選ぶ必要があります」
マテ「それ以上のモデルを使ってこそブランドイメージがアップするんじゃ?」
ダビデはマテを見つめ、小さく頷く。
ダビデ「社長自らなさってください。モデルを」
マテ「事業はおふざけじゃない。モデルのリストを…」
ダビデ「僕はふざけてませんよ」
マテ「?」
ダビデ「知ってます?トッコ社長はそこらの芸能人より認知度が高いって」
マテ「…。」
ダビデ「ミョミとスキャンダルになった途端に振られ、カン・キジはトッコ社長を自分の人形だってSNSに投稿した」
マテ「(淡々)要点を話してください」
ダビデ「青春!」
マテ「?」
ダビデ「SSホームショッピング最年少の代表理事って部分をクローズアップするんです。”尖った青春CEO”それをコンセプトに広告打ちましょう」
「冴えてるなぁ」ダビデは指を鳴らした。
マテ「高級品のイメージなら僕にピッタリだな」
ダビデ「^^;;;」
苦笑するダビデに、マテも微笑む。
ダビデ「とにかく、冗談なしにそれで進めますよ」
立ち上がったダビデをマテが呼び止めた。
マテ「チェチーム長」
ダビデ「?」
マテ「今までチェチーム長に訊いたことなかったな。チェチーム長はなぜうちに入社したんです?」
ダビデ「そうですねぇ、まぁ僕は才能でスカウトされたので」
マテ「…。」
ダビデ「敢えて言うなら、社長が気に入ったから」
マテ「特にどういう点が?」
ダビデ「(笑)麗しいビジュアル?」
マテ「…。」
ダビデ「…とは違って、意外とタフだってところ」
フッと微笑んだマテの表情を見て、ダビデは軽い足取りで出て行った。
マテ「チーム長の資格はあるな」
+-+-+-+
マテはSSホームショッピングの理事たちの前に再び立っていた。
マテ「御存知の通り、私は一年限りの代表です。一年の間にSSホームショッピングを業界トップにしろという注文も受けています」
興味を持って耳を傾けている理事は一人もいない。
マテ「達成できなければ綺麗さっぱりアウトです。顔がいいだけの男だと反感もお持ちでしょう。その顔のいい男の事業計画を一度お聞きください」
プロジェクターが映像を映し出す。
マテ「隣近所で売っている品物を我々が同じように売ったのでは差別化になりません。一歩上に上がれる何かが必要です。それがまさに”銘品ホームショッピング”です」
「銘品を通販で?」会場がにわかにざわめく。
マテ「すでに契約も済んでいます。このSSホームショッピングが大韓民国での初展開となるでしょう」
すでに理事の視線はマテに集中していた。
マテ「新年スペシャルと銘打って、この3ブランドが出撃します」
#真ん中のサングラスはミョミの?^^
マテ「テレビ通販で旅行用品を売ろうと思われたことは?すでにMGが始めています。テレビ通販で保険商品を販売できるのではとお考えになったことは?MGが先に始め、SSが後を追っています。これこそが業界一位になれない理由だと考えます」
「差別化、それが今、最も必要なのです」マテは強調する。
マテ「これから一年間、否が応でも僕の顔を見ることになるわけですが、信じていただくわけにいかないでしょうか?歯をぐっと食いしばって頑張らなければならない理由のある男です」
理事たちはその言葉に手応えを感じ、一様に頷いた。
+-+-+-+
「前もって連絡くれたらちゃんと掃除したのに!」2階の部屋に上がってくるボトンに、ダビデは慌てていた。
ボトン「どれどれ~?」
ボトンはダビデが使い始めた部屋を見渡した。
ベッドの布団の下から覗いている靴下を発見!
ボトン「おおっ!決定的な証拠~♪」
ボトンが掴んだ靴下を、ダビデが慌てて奪った。
ボトン「うん。外に出ないでここでちゃーんと…おっ?!」
ぐるりと見廻したボトンの目が、巨大ボトン像で止まった。
ダビデ「^^」
ボトン「真似しちゃって」
ダビデ「あはあはあはっ♪写真、よく撮れてるでしょ」
ボトンは笑い、ホッとしたようにダビデを見つめた。
+-+-+-+
ダビデとボトンは二人並んでソファでお茶を飲んでいた。
ボトンがあらたまった様子で口を開く。
ボトン「チーム長」
ダビデ「?」
ボトン「私ね、前だけ見て進もうと思うんです」
ダビデ「…。」
突然の言葉に、ダビデは困惑した。
ダビデ「あの写真変ですか?顔に落書きされた写真もあるんだけど、それに変えようかな」
「そういうことじゃなくて」ボトンの声はとても静かで落ち着いている。
ダビデ「…。」
ダビデは深く息をついた。
ダビデ「そういうことじゃないって、僕も分かってます」
俯くダビデに、ボトンは表情を和らげた。
ボトン「チーム長は本当にいい人です。私がそんなふうに愛されるなんて夢みたいなことなんですよ」
ダビデ「…。」
ボトン「だけど私、やっぱり…マテオッパを見つめるの、やめられそうにありません」
ダビデ「…。」
ボトン「…。」
ダビデ「ボトンさん、僕の母さんは昔、”テス”っていう小説が`大好きだったんです。何度も読むなんてどれだけ面白かったのか…僕も読んでみたけど、特に面白いとは…」
ボトン「…。」
ダビデ「けど、母さんがえらく気に入ってる部分があったんです。そのときはよく分からなかったけど、今になってみれば分かるような気もして」
ボトン「どういう部分なんですか?」
ダビデ:
사랑할 만한 시기에 사랑할 만한 사람을 만난다는 건 참 드문 일이다.
人を愛する年頃に、愛せる人に出会うということは、実に稀有なことだ。
ボトン「…。」
ダビデ「ボトンさん」
ボトン「?」
ダビデ「僕は…愛せる人ではありますよね?」
ボトンは戸惑って俯いた。
彼女の横顔を見つめながら、ダビデは心の中で呟く。
ダビデ(心の声)
불가능한 일이 아니라 드문 일이니까 나는 기다려 볼까 해요.
不可能じゃなく、稀なことなら…僕は待ってみようと思うんです。
ダビデ「写真、サイズが大きすぎるかな。レギュラーサイズにします?」
ボトン「(笑)ピザじゃないんだから^^」
※「愛せる人」と訳した部分は、「愛するに値する」「愛し得る」というニュアンスを含んでいます。
+-+-+-+
マテは誰も居ない料理屋の中央のテーブルで、キソクと二人きりで向かい合っていた。
キソク「突然食事をしようと言うから、随分驚いた。家を訪ねてきたときは会ってやらなかったのに…寂しい思いをしたろう」
マテ「いいえ。正直、今でも何がどうなってるのかよく分かりません」
「マテ」キソクが彼の名を呼んだ。
それは、ほんの少し前まで、夢に見るほど待ち焦がれた瞬間だったに違いない。
キソク「暗号はなぜ持って来ないんだ?」
マテ「今更そんなものが何の役に立つんですか?僕の父さんではないのに…」
キソク「お前を育ててくれた人、キム・ミスクは本当に太陽のような女性だった」
マテ「…。」
キソク「私だけを見てくれる、善良で心の深い人だった。だからきっと、お前を彼女に預けたんだろう」
マテ「…。」
キソク「お前を預けて1年経った頃だろうか、未婚の彼女にこれ以上預けるわけにもいかず、お前をよそへ移そうとした。ところがそのとき、お前の母親…彼女が止めたんだ」
マテ「…。」
キソク「お前を手放せないと。お前が自分をお母さんと呼ぶんだと言って…少しでも離れれば泣いて呼ぶし、自分なしでは眠ることも出来ないと。もうマテは自分の息子だと、そう言った」
キソク「お前を守るため、彼女は家族とも縁を切った」
マテ「…。」
キソク「マテ、お前は彼女にとって大切な息子だった」
マテ「…。」
キソク「なぜ暗号が必要なのかと、彼女に訊いたことがある。マテ、お前の幸せのために絶対に必要なんだと言ったんだ」
マテ「僕の幸せ…?貧しかったけど、母さんと暮らした時間が一番幸せでした。不幸だと思ったことは今まで一度だってありません」
キソク「母親のいない今のお前が幸せであってほしいと、それを願っていたんだろう」
マテ「!」
キソク「なぜその暗号を私に教えて、それを持ってくれば息子と認めてくれと言ったのか…。。暗号がお前にとってどんな意味があるのか…。こうやって振り返ってみれば、お前一人を見つめて生きてきた彼女の人生がどれほど厳しかったかと…そう思うよ」
マテ「一つ気になっていることがあります」
キソク「?」
マテ「ナ・ホンラン副会長が捨てた僕を、なぜひっそり引き取ってくださったんですか?」
キソクが切なく目を細めた。
キソク「愛していたからだ」
マテ「?」
キソク「お前の母親、ナ・ホンランをとても愛していたから、守ってやりたかったんだ」
マテ「それなら母さんは?育ててくれた僕の母さんは?」
俯いたキソクが吐息を漏らす。
キソク「私を愛した女性だ」
マテ「…。」
キソク「マテ、私はお前が必ずや暗号を突き止めると、そう願っている。待っているよ」
#めぇめぇ泣きながら訳しました。・゚・(ノД`)・゚・。ミスクサン
+-+-+-+
ムンスの執務室にホンランがやって来た。
ホンラン「アウトドア用品売場撤去の件、なぜ止めさせたの?!」
ムンス「理由が見つからなかったんです。売上やサービス、どの点をとっても優秀な売り場です」
ホンラン「私がサインした事案よ。恐れ多くも覆すとは」
ムンス「MGの代表理事として商道から逸脱した事案を通すわけには行きません」
#が、がんばれーーーーっ
ホンラン「…。」
ムンス「企業は母さんの憂さ晴らしじゃないでしょう」
ホンラン「(微笑)会長のお陰で座を取り戻したからと、怖いもの知らずね」
ムンス「これからは変わるつもりです。僕のふがいなさのせいで傷ついた人がたくさんいるので」
ホンラン「…。」
ムンス「アウトドア用品売場と共に、MGホームショッピングでお掃除靴下の放送も続けます。欠格事由が発生したら、そのとき規則に従って処理します。まだ他にお話が?」
ホンラン「この会社が…私の家系の会社だと忘れたようね」
ムンス「…。」
ホンラン「我が物顔でエラそうに!」
ムンス「確かに母さんの家系の会社です。ですが、父さんに出会ってからここまでMGグループが成長したことは認めるべきでしょう」
ホンラン「…。」
ムンス「その成長には父さんの功が大きかったこと、お忘れですか?」
ホンラン「突然意気揚々となった理由は何かしら。あぁ、弟が現れたから、千軍万馬を得た気分なの?」
「いいえ」ムンスは笑った。
ムンス「僕は母さんの本当の息子でないから冷遇されるんだと思っていました」
ホンラン「…。」
ムンス「だけど今になって、必ずしもそういうわけじゃないと気が楽になったんです」
ホンラン「?」
ムンス「母さんは実の息子も突き放す方なんだと、失っていた自尊心を取り戻しました」
ホンラン「!」
ムンス「あぁ、僕はスルリの母親と再婚するつもりです」
ホンラン「やってみるといいわ。あの賤しい女…取りつく島もないはず」
微笑んでみせたムンスは、ホンランが出て行くと扉を睨んだ。
+-+-+-+
マテは社長室で資料の検討にあたっていた。
資料からふと手を離すと、疲れで痛む首をさする。
仕事の手を止めると、どうしてもホンランの言葉が思い浮かんだ。
ホンラン(回想)「地獄で死ぬほど苦しんで生きるくらいなら、永遠に消えてしまうのはどう?」
彼はペンを置くと、両肘をつき、じっと考え込む。
同じくデスクに向かっていたボトンは(←右手だけでパラパラタイピングしてるのがすごく変)、ふと顔を上げ、思いつめた様子のマテを見つめた。
溜息をつくボトンの横顔を、さらにダビデが見つめる…。
と、そこへダビデの携帯にメールが入った。
ユラ(メール)「最後にぜひ会いたいんです。都合がつかなければ私が会社まで行きます」
+-+-+-+
ボトンがつかつかと社長室に入ってくると、マテが開いていた資料を無理やり閉じた。
マテ「何だよ?」
ボトン「行くところがあるんです」
マテ「急にどうしたんだ?向こうで仕事してろ」
マテが資料に視線を戻す。
ボトン「チッ。ミョミやキジが遊んでくれって言ったら、ササッと立って出掛けるくせに!」
マテ「(溜息)お前、そんなこと言ってるときじゃないだろ。わかってるくせに」
ボトン「わかってるからだってば^^」
「ほらっ、立って♪」ボトンは強引にマテの腕を引っ張り、歩き出した。
+-+-+-+
ボトンがマテを連れて来たのはスケート場だった。
気の進まないマテの手をボトンが引っ張る。
ボトン「早く」
マテ「寒いのに何でこんなところに…」
ボトン「スケートしましょ」
マテ「(自分のスーツ姿をチラリ)こんな格好でスケートしようって?」
ボトン「選手がユニフォームのせいにする?思い切って滑ろうよ♪ストレス吹っ飛ぶようにね」
「寒い」マテは苛立ちもせず、静かな調子で言った。
マテ「どこかで温かいものでも飲もう」
ボトン「もぉ~!オッパ、高校の頃、私とテシクと一緒によく滑ったでしょ?あのときめちゃくちゃ楽しかったのに^^」
マテ「…。」
ボトン「きっかり30分だけ滑って帰りましょ♪ね?」
マテ「…。」
「行こう~」マテの背中をボトンが押した。
+-+-+-+
リンクの真ん中でヨチヨチと滑るボトンの前にマテがやってくる。
マテ「お前、何で中学校の頃から進歩がないんだよ」
ボトン「私、あれ以来初めて来たんです。練習すればいいでしょ」
前へ進もうとしてよろけたボトンを、マテが咄嗟に支えた。
ボトン「へへっ^^;」
マテ「…。」
ボトン「オッパ、私は練習してるから、オッパは(腕をぐるり)思う存分滑ってきて」
マテが黙って左手を差し出した。
マテ「掴めよ」
ボトン「えっ?」
マテ「掴まないのか?」
ボトンは思わず両手でマテの手を掴んだ。
マテはニヤリと笑い、彼女の手を引いて滑りだす。
ボトン「あはっ♥」
彼女の手を引きながら、マテの表情も和らいだ。
+-+-+-+
ユラがコーヒーを一口ゆっくりすすると、口を開いた。
ユラ「ボトン会社を出てはどうかしら?」
ダビデは呆れたようにそっぽを向く。
ユラ「チーム長、あの二人の間にいても答えは出ないわ。希望を持たせるだけの拷問よ」
ダビデ「あのねぇ」
ユラ「…。」
ダビデ「兄嫁だった方だから礼儀をわきまえたんです。あなたがこんなことをするのは出すぎた行為だと思わないんですか?本当に欲望が尽きないんですね」
ユラ「そうね。欲望もあるし、3人のすれ違った愛の矢が切なくもあって」
そう言ってユラは微笑んだ。
ダビデ「もう連絡しないでください。今度こんなとりとめもないことで連絡して来たら、もう礼儀など気にしませんよ」
ダビデが立ち上がると、彼の背中にユラの声が飛んだ。
ユラ「愛というのは…本当に恐ろしいわ」
ダビデ「!」
ユラ「まともな人間さえ愚かにするし、絶望しか残っていない人を…」
ユラがダビデを見上げる。
ユラ「…道化にする」
ダビデ「!」
ユラ「チェ・ジュナさん」
ダビデ「…。」
ユラ「今は恋愛をしているときじゃない。MGグループ経営の主役になるときでは?」
我慢できずにダビデが振り返った。
ダビデ「今の僕は…人を愛するときなんです」
+-+-+-+
ぎこちなく滑り続け、ボトンは「イタタ」と腰を押さえた。
ゲート付近で壁に持たれていたマテは、ボトンに声を掛ける。
マテ「ここまで来てみろよ。練習しなきゃ上達しないぞ」
ボトン「ふくらはぎがガチガチだよぉ。明日起きられないかも」
#そんなに腰ばかり押さえて、ふくらはぎって…。不安で辞書引いたよ
マテ「面白くもないのに、何で来たんだよ」
訝しがるマテに、ボトンはニッコリ笑った。
ボトン「オッパは楽しいでしょ♪ふふっ」
ボトンの笑顔に、マテは何でもないように目を逸らす。
ボトン「オッパ、今はね、足を捻って冷たくなっていたとしても、ただぼんやり突っ立っているわけにはいかないでしょ?早く通り過ぎなきゃ」
マテ「…。」
ボトン「靴じゃ滑りやすくて転んじゃうから、スケート靴履いてびゅ~っと通り過ぎちゃおうよ」
マテ「…。」
ボトン「私、オッパのスケート靴になってあげられると思うんだ^^」
「さてと」ボトンは再びそろそろと滑り始める。
少しずつ少しずつ、よろけながら不器用に近づいてくる彼女を、マテはじっと見つめた。
マテ「…。」
知り合ったあの日から、ひたすら自分についてきたボトン。
マテ(回想)「俺のために働け。一生掛かるかもしれないから…」
重いカルビを運んできて笑ったボトン。
一緒に靴下を売るために必死で頑張ったボトン。
ボトン(回想)「オッパはその素敵な顔くらい一生懸命やれば、めちゃくちゃ稼げるはずです」
ボトン(回想)「靴下売れないかも…。それじゃオッパ、すごく辛いのに」
自分が辛いときには家まで飛んできたボトン。
プレゼントに飛び上がって喜んだボトン。
マテ(回想)「愛するってどういう気持ちなのか、それが分かるまで…どこにも行くな」
今、ようやくマテは一番大切なものを掴もうとしていた。
マテ(心の声)「愛っていうのは… 愛っていうのは…」
+-+-+-+
ユラはそれでもまだダビデを鋭く刺した。
ユラ「あなたの愛は絶対に叶わないわ」
ダビデ「ホン・ユラさん!何を根拠にそんな心が砕けるようなことを…平然と口にするんです?!」
ユラ「トッコ・マテだけを一途に見ているキム・ボトンが…」
ダビデ「…。」
ユラ「トッコ・マテの暗号だから」
ダビデ「!!!」
+-+-+-+
愛っていうのは…ただ人を笑顔にするのかな。
お前を見て笑っているこの気持ちが…愛なのか?
楽しそうに笑いながらボトンが近づいてくる。
マテ「そこにいろ」
ボトン「ううん、そこまですぐ行けるから、オッパ!」
マテ「待ってくれ」
ボトン「?」
マテ「そこに立ってるんだ」
マテの言葉に、ボトンはキョトンとそこに立ち尽くした。
マテは彼女に向かってまっすぐ滑りだす。
ボトン「…。」
マテが目の前へやってくると、ボトンは丸い目を大きく見開いて彼を見上げる。
背中に手を回すと、彼はそっと彼女を抱き寄せた。
ボトン「!」
マテ「これからは俺が行くから」
彼女を大切に包み込むと、彼は目を閉じて微笑んだ。
+-+-+-+
ここでエンディングです。
辛い辛い苦しみの後に、幸せでいっぱいに満たされた、本当にいい回だったと思います。
↓ここから原作ネタバレ入りまーす。(今更?^^;
こうやってマテがボトンへの愛に気づくエピソードは、完全にドラマオリジナルです。
原作マテはユラを愛してしまう展開になっており(←あまり実感ないけど)、彼女もまた「愛する女」として征服すべき試練の一つになっていました。
さらにボトンは「彼をひたすら愛する女」として、却って征服が難しい試練として描かれていたんです。
原作ボトンもいつだって彼を支え、大切な存在になっていたのは間違いありません。
まぁこのへんは原作の結末にも関わってくるので濁しておこう^^;
ドラマではマテにとってのボトンの存在がすごく丁寧に描かれていて、とても素敵な脚色だと思います。
苦しみあり、緊迫あり、告白あり、癒しあり、萌えあり。14話は内容の深い会話が多く、とても訳しがいのある回でした。
苦しんで弱ってるマテが個人的にツボ♥でございましたわ^^
おはよーこざいます。
返信削除13話はつらくて、今回は
私の能力では、なかなか意味わからなくて
ユジナーさんの早い翻訳のお陰で
ちょっと救われました☆
ありがとうございます!
スマホからの投稿、再度チャレンジ
お!今回は投稿できました!
返信削除緑の文字に、笑わせていただきました☆
特にふくらはぎに(笑)
残り2話ですね!
原作、後半知らないので
一体どうなるのか?!
とにかく楽しみです。
でも、無理しすぎないでくださいね。
ありがとうございます(*´∇`*)
返信削除マテとキソクの会話、、、
(ノ_<。)
マテがどんなに愛されて育てられたか
マテは 父親が愛した女性の息子であり
父親だけを愛したミスクの息子
、、、
ミスクを愛してなかった、、、
(ノ_<。)
それでも マテを愛し マテを育てた
゜゜(´O`)°゜
ボトンの愛に 向かうマテ
(*´ω`*)
素敵な エンディングでした。
物語を ありがとうございます(^-^)
返信削除最初 ユラ好きになりそうと 思っていました。
原作は そういう方向だったのですね
ミスクを 思うと 号泣ですヽ(;▽;)ノヽ(;▽;)ノヽ(;▽;)ノ
有難うございます(*^。^*)
返信削除まず 初めに じっくり読んでねと書いてくださった
意味がわかりました^^
前回から マテが苦しむ様子が辛くて
ホンランがマテの手紙を破るシーンでは体が
震えるくらい酷い人だ!と憎らしかったし
そして、キソクが話してくれた ミスクと赤ん坊の
マテのところでは思わず涙が溢れて
ミスクさんで気持ちが救われましたが
ミスク自身は可哀想で
いろんな感情がこみあげてくる回だったんですね~
最後のスケート場で 愛に気付くマテに
ホッとしました。 でもまだ何かありそうで、
これで本当にあと2話で終わるんでしょうか?
嬉しかったのが 時折ハングルでも入れて下さる
‘名言‘ の所で勉強途中の私には
有り難いコーナーです。今回はダビデの言葉でした^^
Yujinaさんのお心使いに感激ですヽ(^。^)ノ
14話はそれぞれの愛が交錯してるんですね‥
返信削除ユジナーさんの訳で複雑な関係がクリアになりました(*^^*)
お忙しいのにいつも迅速なお仕事に感謝してます。
ラスト2話がどうなるか気になります‥
ラブレインからひそかに読ませていただいておりました。そしてきれいな男。。。
返信削除韓国語のわからない私なので、とてもありがたくて感謝いたしております。
最終週まで、目が離せない。。。。本当にありがとうございます。。。
キソク会長との会話、ボトンとの会話、、、、納得、、ありがとうございました。
13話14話は今まで歩んできたマテの人生が覆される展開で、画面の美しいマテを思い出せない程、ストーリー展開に引き込まれてしまいました。 今回も数多くのドラマの中から、チャン俳優の主演作品を女性らしくきめ細やかな表現の情景描写と訳、そして、萌画像♪を楽しんでいます。ユジナ~さんに感謝です。
返信削除ラブレインからyujinaさんの大ファンだったのですが、なんせPCの扱いが良くわからず、次々に出てくる言葉の意味が分からず、いつも途中で諦めていました。すみません。今度こそと思いコメントしています。毎回毎回本当にありがとうございます。お陰様でドラマの内容はもちろん、韓国の慣習や諺まで勉強させていただき感謝感謝です。特にyujinaさんのコメントが最高で、好きです。寒い日が続きます。毎回楽しみにはいていますが、どうぞ体に気を付けてくださいませ。ありがとうございました。 by:bunyuchan
返信削除いつも、ありがとうございます(*´ω`*)
返信削除今回は涙、涙で、読ませて貰いました。
ボトンちゃん、マテ一途でほんとカワイイなぁー。
あと2話で、どうなるのかとっても楽しみです。
ユジナさんも、無理なさらず自分のペースで翻訳お願いします。
こんばんわ( ^-^)ノ∠※。.:*:・'°☆
返信削除14話は.ほんとにギッシリの♡ですね。
愛を捨てて、愛に気づいて。
暗号がボトンちゃんだなんて、たまりません。
ダビデが少しかわいそうだけど…
途中、コメディに傾き過ぎ?と思ったけど、ちゃーんと本筋に戻ってきましたね。
こんな偉そうなコメできるのも、ユジナさんのおかげです、ほんとにありがとうございます。
あと二話、楽しみにしていますね。
ユジナさん、爆走の翻訳
返信削除ありがとうございます!
はい、じっくりゆっくり読ませていただきました
手紙の内容、よくわかりました
今回は「大切な事、言ってるぞ」という場面ばかりだったのに、チンプンカンプンでした
いつもながら素晴らしい翻訳を
ありがとうございました
ひょっとして、台本持ってるの?と思わせるような文章力!
残り2話です
心に残るエンディングになればいいなあ
韓ドラは結構、なんじゃこりゃの肩透かしの終わり方するので
そうならなければいいなと願うばかりです
早く次が見たい!
ありがとうございました
感謝��
重要な回でしたね。会長だけをみつめてたミンスク、
返信削除マテだけをみつめてたボトン!暗号にたくした思いは
自分によく似たボトンに,幸せがくるようにの思いも
あるのかな と思いました。
本当にマテは成長してるなあと実感します。
エンディング!
とてもたのしみです。
ユジナーさん ありがとうございます。
年末・年始とお忙しい中のあらすじ&日本語訳、とってもありがたかったです。本当にありがとうございます。
返信削除ここで お詫びさせていただきたいことがあります。
すみません。。。文章の転載がだめなことはラブレインのときに知っていたのですが
画像もだということを 私の不注意でホームを見ていなくて 知りませんでした
そのため、素敵な画像だったので友達にあて4回ツイッターで画像を添付してしまいました
31日にホームをみて転載禁止に気づき そのツイートは削除しました
31日から数回 スマホからこちらにお詫びのコメントを送ったのですが 反映されなかったため
本日PCから 送っております。ツイッターだと文字数が限られてしまうため、こちらでコメントさせていただくことにいたしました。
いつもyujinaさんの ブログ楽しみにして読ませていただいておりますのに
yujinaさんの お気持ちに反することをしてしまい、本当にすみませんでした。
二度とこのようなこといたしません。
お詫びもおそくなってしまい、新年からこのようなコメントになってしまい 重ねて失礼をお詫びいたします。
いつも読んでくださってありがとうございます!
削除画像の件、ご丁寧にありがとうございます。
どうぞお気になさらないでくださいね^^
スマホからのコメント投稿に不具合があるようで、余計なお手数をお掛けしました。
yujinaさん、あたたかいお言葉 ありがとうございます
返信削除心が 楽になりました^^
あと 2話ですね マテの成長と ボトンとの愛 楽しみです
yujinaさんのおかげで 綺麗な男 とっても楽しめております♪
ありがとうございます
こんにちは(*^^*)
返信削除じっくり何度も読ませていただきました!(^^)!
内容の濃い回でしたね(*^_^*)
ミスクさんはすごいです、私にはできません(>_<)マテが母さんと暮らした時間が、一番幸せと言ってたから、ミスクさん良かったねって思いました(*^^*)
最後マテが「これからは、俺が行くから」とボトンに言っているシーン最高です(#^_^#)
残り2話どうなるのかなo(^-^)oワクワク
よろしくお願いします(^.^/)))~~~bye!!