第2の女エレキ仙女征服に苦心するマテ。
今回は無事クリアして階段を一つ上がれるのでしょうか。
ではさっそく~
※結構いい加減な上、時間がないので全く見直さずに公開します。すみません!
+-+-+-+
夜、マテのマンションを訪ねてきたユラは、ソファにぼんやりと座っていた。
マテはコーヒーを一口、ユラの様子をゆっくりと覗った。
マテ「天下のホン・ユラを泣かせたのは誰なんだろう」
ユラ「…。」
マテ「何かあったんですか?気になるな」
ユラはフッとわらうとマテを見つめ、口を開いた。
ユラ「どうだった?父親なしに、お母さんと二人で暮らした時間は…」
マテは口をつぐみ、俯いた。
ユラ「マテのように、私の娘も母親なしに暮らす時間をどう考えているかしら」
マテ「…。」
ユラ「それがとても辛いわ」
マテ「…。」
ユラ「遠くへ留学に出すおつもりよ」
マテ「留学?」
ユラ「まだ6歳の幼い子どもを留学に出すそうよ。ナ・ホンラン副会長は」
マテ「!…全く恐ろしい人だな」
ユラ「励まさなきゃいけないのに、心配を掛けるなんて…。悪かったわ」
マテ「…。」
ユラ「行く場所がなかったのよ」
マテ「早く取り戻さないとな。あんたの場所、それに俺の場所」
ユラ「…。」
マテ「コーヒーもう一杯いれましょうか」
マテが立ち上がる。
+-+-+-+
ユラはマテのマンションを出てくる。
彼女はバッグからコンパクトを取り出し、鏡を覗いた。
ユラ「マスカラが滲んでるわ」
#マスカラはともかく、泣いても一切滲んでいないそのアイライナーがどこのか教えてください。
エレベーターに乗り込むと、彼女はニヤリとほくそ笑んだ。
ユラ「奮起してよね、マテ」
+-+-+-+
ボトンのカルビ屋では、夜、うすぐらい店の中でボトンが一人、持ち帰ったカルビを焼いて食べていた。
さっき見てしまったマテオッパと美人の抱擁に、ひとり酒が進む。
ボトン「(笑)”私、マテさんの友人ってところかしら?”…友だち同士抱き合っちゃって何なのさーーー!」
そこへいつのまにかやってきた母親がボトンの頭を叩く。
ボトン「何よ!頭叩かないでって言ったでしょ!!!」
母「何呑んだくれてんだい。あんたやりたい放題だね。賞味期限過ぎたお肉はあんたのお腹にってわけかい?」
ボトン「お母さんには分からないよ。私、別に食べ物食べてるわけじゃないもん」
母親は心配そうに彼女の横に座った。
母「商売がうまくいかなくて大変なのに、あんたまでこんなじゃ堪らないよ!」
ボトン「…。」
母「金を儲ける才能がなけりゃ嫁にでも行きなさい!」
ボトン「安易に結婚したら災いを呼ぶよ」
母「全く!あんた自身が災いを呼んでるのがわからないのかい?本当にもう!イライラするよ」
ボトン「じゃあ独立すりゃいいんでしょ!!!」
母「(頭をボカン)独立するにも能力が必要だってんだよ!」
ボトン「私、寝食つきで就職したの。それでいいでしょ」
母「何だって?寝食つき?どんな会社なんだい?」
ボトン「(酒をごくり)分かんない。そういうところがあるんだよ」
そう言うと、ボトンは酔いつぶれ、母の胸元で眠ってしまった。
母「…。」
+-+-+-+
翌朝、ボトンは「出勤しなきゃダメでしょ!」と叫ぶ母にたたき起こされる。
ボトン「何言ってんのよぉ」
母「早く起きなさい!出勤しなきゃ!」
「はっ!」と起き上がったボトンに、母が興味津々で尋ねた。
母「ねぇ、就職した会社って何の会社?大きい会社なのかい?」
ボトン「へっ?あぁ、大きいって言うより、未来のある会社だよ」
母「へぇ。寝食つきってことは寮に入るのかい?」
ボトン「えぇ?…うん、そうだよ^^;ははっ」
母「(嬉)この子ったら!それなら早く荷物まとめて準備しなきゃ。のんびりしててどーすんだい。さっさと起きなさい」
大喜びで出て行く母。
困ったボトンは、また携帯のボタンを押した。
+-+-+-+
すっかり出勤の準備を整え、テント前のアウトドアセットで朝のコーヒーをいれていると、ダビデの電話が鳴った。
ダビデ(電話)「ボトンさん」
ボトン(電話)「おはようございますぅ、チェ代理♪あははっ」
ダビデ「朝からボトンさんの声が聴けて嬉しいな」
ボトン「あの…」
ダビデ「何かあったんですか?」
ボトン「いやその…この間言ってくださった間借りのことなんですけど、考えてみたら悪くないと思って」
思わずガッツポーズをとるダビデ。
ダビデ「そうでしょ?いつからいらっしゃいます?」
ボトン「えーと」
ダビデ「決心がついたらすぐ動いたほうがいいですよ。商売も急がなきゃ」
ボトン「そうですか?それなら、とりあえず荷物まとめて行きますね。ご連絡します」
ダビデ「あ、そうだ、ボトンさん。家の住所だけ教えてください。契約書作りますから」
ボトン「契約書?あ、そりゃ作らなきゃ!それなら住民登録番号も」
ダビデ「OK!メールしてくださいね」
ボトン「えぇ」
ボトンは電話を切り、溜め息をつく。
一方のダビデは嬉しくて笑いが止まらないでいた。
ダビデ「あぁ~、コーヒー美味いな」
+-+-+-+
まだ誰もいない神壇で、エレキ仙女は神の前にいた。
エレキ仙女「本当に私に神霊様がいらっしゃればいいのに…。私、私はどうすればいいのでしょうか?」
エレキ仙女は溜め息をついた。
エレキ仙女(心の声)「人間の心を読めるのは呪いでした。心が見えるせいで人間を警戒して来たのです。友だちづきあいも恋愛も出来ませんでした。けれど、マテは違ったんです。隠し事もなく、どこまでも純粋でした。マテを…心から手に入れたいのです。でも、マテだけは心を操って手に入れたくはありません。私は、本当に私は…マテが夢をかなえることを望んでいるのです」
エレキ仙女は電話を手に取る。
+-+-+-+
ナ・ホンラン副会長の電話が鳴った。
ホンラン(電話)「はい、ナ・ホンランです」
エレキ仙女(電話)「お電話した理由はご存知ですね?」
ホンラン「卑しい男を片付けようと言ったのに、揃って恋愛ごっこをなさっているとか」
エレキ仙女「…。」
ホンラン「どうしようと仙女様のご自由だけれど」
エレキ仙女「…。」
ホンラン「肝に銘じてください、お若い仙女様。次は屋台が荒らされる程度では済まないわ」
エレキ仙女「!」
ホンラン「…。」
エレキ仙女「(気を取り直し)副会長、指先の棘がかなり鋭いようですね。ここまで神経質になさるとは」
ホンラン「…。」
エレキ仙女「どうしたんです?指を切るんじゃないかと、恐れていらっしゃるんですか?」
ホンラン「(微笑)」
エレキ仙女「相手の馬を倒すだけが勝つ方法じゃないわ。自分の馬も守ってこそ熟達と言えるのでは?」
ホンラン「…。」
エレキ仙女「では」
電話が切れる。
脅しにもひるまず歯向かうエレキ仙女の態度に、ナ・ホンランは絶句した。
電話を切ると、エレキ仙女はユラに連絡先を変え、発信ボタンを押す。
エレキ仙女(電話)「私と香りのいい菊花茶でもいかが?」
+-+-+-+
やる気のなさそうにボトンが店の片付けをしていると、ダビデが入ってくる。
ボトン「チェ代理!うちがどうして分かったんです?」
ダビデ「賃貸契約書にボトンさんの住所があったから出動したんですよ。ところで、ご飯ありますか?昼ごはん食べられなかったから、あぁ、お腹ペコペコだな」
ボトン「ご飯?」
ダビデ「とりあえず座れって?じゃ、そうしましょう」
出された食事を美味しそうに食べるダビデは、どうにも気になって顔を上げた。
正面に、ボトンの母と弟が自分をじっと見つめているのだ。
母「ちゃんとしたものがなくて、口に合うかどうか心配だわ」
ダビデ「カルビ屋だからカルビかと思ったら、スンデククなんですね」
ボトン「^^」
ダビデ「味はめちゃくちゃイイですよ、あはは~」
弟「うちのボトンと!…どういうご関係で?」
ボトンが思い切り弟の頭を叩いた。
ダビデ「おっ!」
母「はははっ、気にしないで召し上がって。いつもこんな感じなんですよ」
ダビデ「えぇ」
母「(ニコニコ)うちのボトンと一緒に仕事をなさっているんですって?」
ダビデ「えぇ^^ あははははっ!」
場にホッとした空気が流れる。
弟「寮に入るっていうのは本当なんですか?」
ダビデ「寮?」
ボトン「(困ってモジモジ)」
ダビデ「寮?」
ボトン「あははっ!(手でテントの形)寮ですよ^^;」
ダビデ「あぁ、はい!寮ね。仕事が遅くなる日が多くなりそうなんですけど、ボトンさんは家が遠いでしょう?心配なさらないでください」
母「(ニコニコ)」
弟「寮生活だと見せかけて、住まわせる家を準備したわけじゃなくて?」
ダビデ「…。」
ボトンが弟の襟を掴むと、無言で床に組み伏せる。
ダビデ「ええっ?!あの!あのっ!」
母「(ニコニコ)いいんですよ。大丈夫。楽になさってください、楽に。あはははっ」
ダビデ「…えぇ」
母「恋人はいらっしゃるの?」
ボトン「お母さん!」
怒ったボトンの反応が嬉しくて、にやけるダビデ。
ダビデ「あの、お母さん、あと3口だけ食べてから次の質問してもらってもいいですか?めちゃくちゃ美味しくて」
母「あらあらあら!うっかりしてたわ、そうね、お食べなさい」
もう一匙すくうダビデ。
母「ご両親はご健在なの?」
ボトン「もー!(立ち上がり)出掛けましょう。スンデククご馳走しますから」
ダビデ「(苦笑)」
母「あははははっ」
+-+-+-+
すっかり暗くなった頃、ボトンを乗せたダビデの車が、ダビデ邸の前に到着した。
「僕がやりますよ!」後部座席から荷物を降ろそうとするボトンに、ダビデが駆け寄る。
ボトン「私一人で少しずつ荷物を運べばいいのに…ありがとうございます」
ダビデ「僕の人生初の借り主なのに、ピックアップするのが基本でしょ?(家に)入ってください」
ボトン「はい」
ボトンの荷物をダビデがさっと持ち上げた。
ボトン「ホント大丈夫なのに^^;」
「わぁ!」家の中へ入ったボトンは目を輝かせた。
そんなボトンを見つめる視線が思わず鋭く(笑)なっていたダビデは、彼女がふいに振り返って慌てる。
ボトン「ここ、使ったほうがいいんじゃないですか?私、テントでいいんですけど」
ダビデ「いえ、僕は外がいいんです。僕はキャンプ生活を楽しむスタイルなんですよ。あははっ」
ボトン「…。」
自分をじっと見つめるボトンに、ダビデの笑いが止む。
ダビデ「…。」
ボトン「超羨ましい!あははっ」
ダビデ「…。あはははっ!!!」
#夜中にダビデの「あはははっ」連発は癖になるね( ´,_ゝ`)プッ
ダビデ「それじゃ!僕たちパートナー合宿の始まりだ!この前うまく行かなかったお掃除靴下の売上予想資料、ファイトで作りましょうか?」
ダビデが差し出した手に、ボトンは「ファイト!」とハイタッチで返した。
再び愉しげな笑い声が響く。
+-+-+-+
ダビデはMGホームショッピング社で上司に交渉を試みていた。
ダビデ「ホットタイム(※視聴率が高い時間)をお願いしてるわけじゃないでしょう?」
上司「ホットタイムにはホットな商品を出すもんだ」
ダビデ「…。」
上司「靴下?靴下がホットか?」
ダビデ「資料はご覧になりましたか?ただの靴下じゃなくて、お掃除靴下なんですよ」
上司「それをどうしろってんだ?」
ダビデ「…。」
上司「うちは街のスーパーマーケットか?」
ダビデ「部長!」
上司「(ダビデの声にビックリしてツメの処理を失敗)血が出ちゃったじゃないかぁ。どうするんだよ!」
ダビデはイライラして立ち上がった。
ダビデ「お掃除靴下を完売できなかったら辞表を出しますから!」
上司「お前、そんなに自信あるのか?」
ダビデ「…。はぁ、だからお願いですよ」
上司はようやく資料を手に取る。
「新しい業者だな」と言われ、ダビデはニヤリと笑った。
上司「信用評価は?」
ダビデ「あぁ、それは…えっと、なんていうか、まだ」
上司(ジロリ)」
ダビデ「…。」
上司「それなら、協賛会社をつけたのか?」
ダビデ「探してます!めちゃくちゃ一生懸命!あははははっ」
上司「(辺りをゴソゴソ)」
ダビデ「どうなさったんです?」
上司「私も探してるんだ。お前をぶん殴る棒をな」
ダビデ「!」
上司「(とりあえず受話器を取る)殴らなきゃ出て行かないのかぁ?!イライラする!」
+-+-+-+
MGホームショッピングで待っているボトンの元へ、マテがやって来た。
ボトン「オッパ!」
マテ「何で電話に出ないんだ?」
ボトン「携帯持たずに出ちゃって」
マテ「…。」
そこへ「ボトンさん!」とダビデが入ってくる。
彼はボトンが忘れてきた携帯を差し出した。
ボトン「!」
ダビデ「やっぱり僕の部屋にありましたよ。ベッドの上に」
「!!!」ダビデの部屋、ベッドなるワードにマテは目を見開いた。
ボトン「すみません、このために家にまで戻ってくださるなんて」
ダビデ「(マテに気づき)オッパさんもいらっしゃったんですね」
#オッパさんwww
マテ「チェ代理、(ボトンを指し)こいつ、まだ男と付き合ったこともないのに、そんな曖昧な言い方されたら誤解しますよ」
ダビデ「曖昧?」
マテ「今の二人の会話からじゃ、昨夜二人は一緒に過ごして、今朝一緒に来た、そういうことになるでしょ?」
ダビデ「…。」
ボトン「そのとおりだけど?」
マテ「!」
ボトン「同じ家で夜を過ごして、朝一緒に出てきたでしょ?私たち」
ダビデ「(慌てる)」
マテ「お前、昨夜ホントにこの男と一緒だったのか?」
ボトン「うん」
マテ「!!!」
ダビデ「(マテに)ボトンさん、今まで男と付き合ったこともないのに、そんな風におっしゃったら誤解されますよ!」
マテ「?」
ダビデ「それにね、そんなに昔から知ってるのに、この女性がどんな人なのか情報も持ってないんですか?」
マテ「…。」
ダビデ「…。」
睨み合う男性二人の間でキョロキョロするボトン。
ダビデはマテを牽制しつつ、ボトンに微笑みかけた。
ダビデ「会議にしましょう」
3人が席につき、向き合った。
マテ「それで…。協賛会社がなければ道はないんですか?」
ダビデ「僕もどうにかしたくて編成部長に掛けあってみたんですが、微動だにしなくて」
マテ「とりあえず編成部長との席を設けてください」
ダビデ「接待みたいなことするつもりなら辞めたほうがいいですよ。そういうの大嫌いな方だから」
マテ「(ジロリ)何であろうと俺がちゃんとやりますから、情報だけくれればいいんです」
ダビデ「…。」
+-+-+-+
談話室で待っているマテに、おそるおそるボトンが話しかけた。
ボトン「あのね、オッパ。私、家が遠いから。毎日終電逃して、サウナで泥棒にあったりしたんですよ。それで哀れに思って、自宅の倉庫に空きが一杯あるからって、保証金なしで月3万ウォンでいいって言うから、私、空き部屋にGo~って」
マテ「編成部長か…。男の心を掴むにはどうすればいいんだ?」
ボトン「へっ?」
マテ「編成部長の方は俺がプランを作ってみるから、お前はとりあえず鳥山の家に帰ってろ」
ボトン「?」
マテ「こいつ、世間の怖さも知らないで。あいつがどんな奴だと思って間借りなんか!」
ボトン「…。」
そのとき、マテの電話が鳴る。
画面には「エレキ仙女」の文字。
マテ(電話)「えぇ、僕です」
マテは話しながら素っ気なくボトンに背を向けた。
ボトン「何よ…。安く借りたから褒められると思ったのに。まさか…嫉妬?これがベジタリアンが関心を示す表現法?うふっ♪」
+-+-+-+
マテはエレキ仙女の神壇で彼女と向き合っていた。
エレキ仙女「随分忙しかったようね。もっと早く連絡があってもいいのに…」
マテ「靴下を売るのに、いろいろと忙しくしていたんです」
エレキ仙女「靴下?」
マテ「辿り着きたくて、何が何でも辿り着くしかない目標があるんです」
エレキ仙女「…。」
マテ「とても遠くて難しいところです。果たして僕はやり遂げられるのか、たどり着けるのか…正直とても不安です」
エレキ仙女「…。」
マテ「最初の一歩から簡単には行かなくて。山のような靴下が僕の最初の一歩なんです」
エレキ仙女「?」
マテ「10万足はある大量の靴下なんだけど、到底売り方が見つかりません。それでMGホームショッピングで売ろうと思ったんですが、絶望的な状況で」
黙って聞いていたエレキ仙女が口を開いた。
エレキ仙女「靴下を売るには、心を操る技術がなぜ必要なの?営業力があればいいじゃない」
マテ「だから必要なんです。相手の心を動かして、僕の品物を相手に託す。相手の財布に入った金が僕の手に入るようにすること。それは営業でしょう?」
エレキ仙女は微笑んだ。
エレキ仙女「もう終わる時間だから、少し待っていて」
マテ「いくらでも待ちますよ」
エレキ仙女「…。」
マテ「今、僕にデートの申し込みなさったんでしょう?^^」
エレキ仙女が思わず笑うと、マテは無邪気に笑い声を上げた。
+-+-+-+
占い館を出た二人は、落ち葉の舞う舗道を並んで歩いていた。
エレキ仙女「うちの両親を見て驚いたでしょう?」
マテ「んー。ほんの2秒ほどね」
エレキ仙女「(笑)生まれてみたら、自分の両親はよそと違ってたわ。聞こえもせず喋れもしない。守られようとする本能より、守らなきゃいけないっていう本能が発達したの。他とは違う両親をどうすれば守れるか…いつも観察するようになったわ。何を望んでいらっしゃるのか、何を考えていらっしゃるのか、そうやって観察しているうちに、見えるようになったのよ」
マテ「何が…です?」
エレキ仙女は立ち止まると、マテを振り返った。
エレキ仙女「ボタン」
マテ「…ボタン?」
エレキ仙女「そうよ。ボタン」
マテ「…。」
エレキ仙女「人の心を操れる術を知りたいって、そう言ったわよね」
マテの瞳に緊張が走った。
エレキ仙女「ボタンを探すの。その人を操ることができる、その人だけのボタンを」
マテ「…。」
エレキ仙女「そのボタンを見つけて押せば、心を操ることが出来るわ」
考えこむマテの表情に、エレキ仙女は微笑んだ。
+-+-+-+
マンションに戻ったマテは、じっと目を閉じていた。
#静かに考え事をする男の眉間の皺はイイねぇ
目を開けると、人差し指で手元のテーブルライトのスイッチを押す。
ピッと音を立て、灯りがともった。
何度もボタンを押し、彼は溜め息をつく。
マテ「一体どんなボタンを押せってんだよ…。あぁ」
頭を抱えると、マテはハッと思い出したように時計を見た。
マテ「それにしてもキム・ボトンの奴、今あいつの家にいるのか、鳥山の家にいるのか、どっちなんだ?」
思わず携帯を掴み、「いやいや」と首を振る。
マテ「気になんかならないぞ。気になんか」
+-+-+-+
ボトンはダビデ邸の庭で楽しくキャンピング中だ。
ダビデの作った夕食を口に入れると、「う~ん」と唸る。
ボトン「痩せなきゃいけないのに、すんごく美味しい!」
ダビデ「あのね、贅肉なんかどこにあるんです?見せてご覧なさいよ。ちっとも太ってないのに」
ボトン「(嬉)まぁ、でも気をつけないと」
ダビデ「ちょっとくらい太ったって大丈夫ですって。美味しいでしょ?」
ボトン「めちゃくちゃ美味しいです!だけど(ご飯をゴソゴソ)レバーはないのかな?」
ダビデ「あー、あのおばさん、レバー入れてくれてないなぁ」
ボトンはもう一口つまむ。
ダビデ「ところで、綺麗なオッパが部長の情報をくれって言うんだけど、どんな情報をあげればいいものか」
ボトン「うーん。偶然会えそうな行きつけの場所なんかないですか?」
ダビデ「行きつけの場所?そうだなぁ、あ、そうだ!部長は週に一度必ず行く場所があるんですよ。だからその日はミーティングの予定も入れないんです」
ボトン「それじゃあ、そこで一度バッタリ出会う機会を作らなきゃ」
+-+-+-+
エレキ仙女もまた神壇で一人考え込んでいた。
携帯電話をチラリと見ては目をそらす。
手持ち無沙汰にスイッチを押しては後ろのひな壇で猿が騒ぎ、引いては静まり…。
#↑新手のガヤ芸人
そこへマテからメールが入り、彼女の顔がパッと輝く。
マテ(メール)「現場演習をするタイミングです」
「うふっ♪」彼女は嬉しそうにメールを見つめた。
+-+-+-+
朝。
マテがリビングへ出てくると携帯が鳴った。
マテ(電話)「お前どこなんだ?鳥山の家に帰ったのか?」
ボトン(電話)「質問は1つずつしなきゃ♪ 今、チェ代理の家です。鳥山には帰ってませんけど?私、荷物まとめて出てきたんですから。寮に入るって」
マテ「寮とか何とか言ってる場合かよ!おばさんに全部言うぞ。コソドロの家に住んでるってな」
「そんなことばっかり言って!」思わず声を荒げるボトン。
「俺に怒鳴るのか?」とマテに避難されると、慌てて声を和らげる。
ボトン「ふふっ まさか~♥ 今どこですか?行く所があるんですけど」
マテ「忙しいんだ。清潭洞に急ぎの用がある。後で話そう」
電話が切れた。
「清潭洞に何の用があるっていうのよ!」と苛立ったボトンは、携帯で検索を始めた。
『顔一つで浮かれ歩くイケメンが通う清潭洞のカフェ』検索!
ボトン「はっ!凄っ!そんなにたくさんあるの?ふははっ」
+-+-+-+
カフェのテーブル席でじっと目を閉じるマテの顔を、向かいに座ったエレキ仙女は思う存分堪能していた。
マテ「ボタンを見つけろって言っても、どんなボタンなのかピンと来ないんです。さくっと教えて下さいよ。じらさないで」
エレキ仙女「じれったいなんて、いい気分ね」
マテ「…。」
エレキ仙女は他の客席を見渡した。
エレキ仙女「人間には皆、隠し持ったボタンがあるわ」
マテ「?」
エレキ仙女「ある人には寂しさ。ある人には幼い頃の傷。恐怖、劣等感」
彼女はそこから見える人々をじっと見つめ、それぞれが心に持つボタンを挙げた。
マテには見えるはずもなく、彼は首を傾げる。
エレキ仙女「愛情を持って熱心に観察するのよ。心の奥深くにあるボタンは一体何か」
マテ「…。」
エレキ仙女「…どのようなものか、観察するの」
マテはもう一度客席に視線を移した。
難しいマテの表情に、エレキ仙女は微笑む。
エレキ仙女「ボタンを見つけるのは決して容易くはないわ。人間には他人に操られたくないという本能がある。だから、ボタンを表に出すまいとしているの」
マテ「…。」
エレキ仙女「まずは、人間の体を観察する術を身につけなさい」
マテ「?」
エレキ仙女「なぜなら、人の体は心を隠すことが出来ないからよ」
マテ「…。」
エレキ仙女「体を観察していれば、心のボタンを偶然見つけることもあるわ」
彼女はある席に座っているカップルをそっと指さした。
女性が身を乗り出して話し、男性は背もたれにもたれて頷いている。
マテはじっとその二人に見入る。
マテ(心の声)「あの男、女の話に笑いながら頷いてはいるが、体は後ろに逸らしている。足を組んで…。(ニヤリ)女に関心はないな」
そこへ「オッパ!」と叫ぶ声が聞こえ、マテは驚いて振り返った。
仁王立ちで睨んでいたのはボトンだ。
エレキ仙女がボトンをじっと見つめると、ボトンの体中にボタンが見える。
わかりやすいボタンだらけの女、キム・ボトン!
ボトン「私、今靴下売るために走り回ってるのに、オッパは…」
ボトンは勢いでエレキ仙女を振り返り、口をつぐんだ。
エレキ仙女「…。」
ボトン「…こんな占い師みたいな人とお喋りしてる場合ですか?」
マテ「(焦る)」
ボトン「酷いよ、ホント!!!」
マテ「おい、ちょっと静かにしろって。恥ずかしいだろ」
エレキ仙女はボトンをゆっくり観察し、微笑んだ。
ボトンもまたエレキ仙女が気になり、思わず視線が向かう。
エレキ仙女「現場演習はこれくらいでいいわね。私はこれで」
エレキ仙女が立ち上がる。
マテ「お送りします」
エレキ仙女「いいの。タクシーで帰るわ。残りの時間はこのお嬢さんに譲ってあげなきゃいけないみたいね」
澄まして頷くボトンにふっと笑い、エレキ仙女はカフェを後にする。
「仙女様!」追いかけようとしたマテをボトンは無理やり座らせた。
ボトン「(マテの肩を押さえて)どこ行くんですか!」
マテ「!」
ボトンは彼の向かいに座り、腕を組んだ。
マテ「しっかりわきまえとけ。今お前がどれだけ高いレッスンをぶち壊したか」
ボトン「一目見てデートなのに、言い訳に窮してるんですね」
マテ「お前にボタンが何かなんて分かるもんか」
ボトン「ボタン?どこ?どんなボタン?」
マテ「俺がここにいるってどうして分かった?」
ボトン「検索したんですよ。今がどんな世だと思ってるんです?」
マテ「全く…。(そっぽを向く)何の用だ?」
ボトン「例の編成部長、週に一度必ず行く場所があるんだけど、それが今日なんですって」
マテ「おっ?♪」
+-+-+-+
ここで一旦区切ります。
マテの鼻の下が伸びるのは良いことの兆し?
作戦がうまく行きますように!
わぁ♪ありがとうございます(*≧∀≦*)
返信削除一気に読みました!
軽快にぱっぱっと進むストーリ
あの赤いのは、心のボタンなんですね!
ボタンだらけのボトン(笑)
ほんとにクリスマスツリーでしたね♪
後半のマテの、、、
あの、、、
あのシーンが 楽しみです!
おはようございます!さすがユジナさん、ドラマを実際見ているようで、楽しく読ませて頂きました (≧∇≦)
返信削除早い翻訳、ありがとうございます。 ほぼリアル視聴
返信削除に近くまざまざと頭のなかに広がる映像! こんなに
恵まれてていいのかと思います!
後半本当に楽しみです。
おはようございます!!
返信削除今日も楽しかったです♪
大笑いしてみました~(o^・^o)
カフェを探す検索ワードに笑えました!!
良く見つかりましたよね~ヾ(@゜▽゜@)ノ
がんばれー!!マテ♪ボトン♪
何時も翻訳、ありがとございます。本当に嬉しいです。読んでいると昨日の映像が自然と思い浮かび、翻訳の文字と重なりドラマの中に引き込まれます(*^-^*)
返信削除後半、楽しみにしてます。
伸びるマテの鼻の下...
返信削除可愛くておもしろいですね ^ ^
私まで鼻の下ビロォ~ン♡ってなってしまいます(*^.^*)
ユジナ~さん、こんにちは。
返信削除ちょうどこのボタンのあたりがよくわからなくて、眠くなってしまった5話、
やっとつながってきました。
続きもこれから読ませていただきます。
いつもありがとうございます。
それからキャプチャーの前話のクリスマスツリーとボタンボトン、いいっすね。
飾りたくなっちゃうw