チャン・グンソク、IU主演「綺麗な男」2話です。
金持ちの女と付き合い、外車とマンションを手に入れたマテ。
悲しい出来事をきっかけに、何年も前から彼のそばをうろついていた謎の女が彼に急接近してきます。
物語が動き出しました。
では、どうぞ…。
+-+-+-+
部屋に貯めてあったお金を取り出し、ニンマリしたボトンは、急に顔を曇らせた。
~~病院にて
Tシャツに短パン姿、病院で両手両足をラップでグルグル巻きにしたボトンの前に現れたのはマテだけではなかった。
彼が病室へ入った後、続いて現れたのは見知らぬ美しい女性だ。
ボトン「?」
ユラ「マテさんに電話したのはあなた?」
ボトン「…はい。どなたですか?」
ユラはボトンの姿にゆっくりと視線を動かした。
ユラ「マテさんの友人ってところかしら」
ボトン「(放心)」
何も言えないボトンを余裕で一瞥すると、ユラは病室へと向かった。
ボトン「あぁ、恥ずかしい!」
~~
ボトンは自分を納得させるように頷いた。
ボトン「そりゃそうよ。きれいなオッパの友だちなんだから、あれくらいじゃないとね。うん。…! オッパ、車がないからってあのお姉さんの車に乗せてもらってるんじゃ?(ぶるぶるっ)」
ボトンは手に持ったお金をもう一度見て溜め息をつく。
ボトン「日曜日もバイト入れようかな。そうよ、バイトやろう!きれいなオッパに早く車買ってあげなきゃね。3万ウォン稼いだから…」
ボトンは壁に入るつけたお手製の値段表を張り替える。
『目標 13,000,000
現在 3,280,000』
ボトン「328万ウォン!ふふふっ♪」
ボトンはPCの壁紙のマテに笑いかけた。
ボトン「オッパ♪もうすぐだよ、ちょっとだけ待っててね。私が車買ってあげるから。(ふいに悲しげに)おばさんも一緒に乗れたら良かったのにな」
+-+-+-+
母のいなくなった家。
どれくらいそこに座っていたのだろう。
目を真っ赤に腫らしたマテは、ふいに立ち上がり、壁に貼ってあった自分の写真を思い切り破り捨てた。
#バスのシーンっぽい写真と、ユラと初めて会ったカフェのシーンっぽい写真もありますね(笑
鏡台の上に敷かれたキルトマットの下に写真がひそませてあるのが見えた。
それを拾い上げてみると、若き日の母と男性が二人で映っている。
マテ「…。」
先ほどのユラの言葉が思い出される。
~~家の前で
ユラ「お母様の暗号、私が聞いたわ」
マテ「あんた一体何者なんだ?何言ってんだよ?」
ユラ「まずはお母様をちゃんと弔って、(折り畳んだメモを差し出す)落ち着いたら連絡を。全部説明するわ」
~~
ポケットに突っ込んであったメモを取り出す。
そこには電話番号が書かれていた。
+-+-+-+
マテがジェッキに与えられたマンションに戻ってくると、ソファに座っていたジェッキが顔を上げた。
マテ「…。」
ジェッキ「心配で…。来ないわけにいかないでしょう?」
マテは疲れた表情でジェッキを見つめた。
+-+-+-+
ジェッキ「葬儀を出すのは大変だったはずなのに、連絡もないし…。心配するじゃない」
膝まくらで甘えるマテの顔をジェッキは覗きこんだ。
マテ「正直におっしゃってください。心配は別のところにあるんでしょう」
ジェッキ「…。あぁ」
マテ「…。」
ジェッキ「ホン・ユラとは何もなかったんでしょ?」
マテ「どんな人なんです?ホン・ユラっていう女」
ジェッキ「ホン・ユラ?完全なる九尾狐よ。家柄だって良くないわ。留学したときにMGグループのパク・ムンスをたぶらかして、あそこの嫁の座を手に入れたの」
マテ「財閥の嫁?」
ジェッキ「だからって何?大して続きもせずに追い出されたのよ。きっと家ひとつ貰って放り出されたんだわ。財閥と離婚した女の中で一番惨めなケースよ」
マテ「…。それなのにどうして俺に…?」
ジェッキ「え?」
マテ「何でもないんです。ホン・ユラ…気になる女だ」
ジェッキ「マテ!ホン・ユラに惑わされちゃ駄目よ。気になる女じゃなくて、危険な女なんだってば!」
マテが目を閉じると、ジェッキは不安に眉間のシワを深くした。
+-+-+-+
ユラの自宅。
瞑想から静かに目を開けると、ユラは携帯の画面から録音ファイルを開いた。
「私が伝えます。おっしゃってください」自分の声が聞こえてくる。
それはマテの母親の死の直前、病室で録音したものだった。
~~病室にて
ユラ「マテさんは自分が何者なのかまだ知らずにいるようだけど、そろそろ知らせてあげるべきじゃありません?」
マテの母親が呼吸器の下で苦しそうに声を上げると、息も絶え絶えに何かを話し始めた。
ユラ「…暗号ですか?」
マテの母親の様子に、「どうしよう」と辺りを見回したユラは、とっさにバッグから携帯電話を取り出した。
マテ母「マ…テ、マテ!」
ユラ「私が伝えます。(録音画面になった携帯を向け)お話ください。暗号を」
マテ母「あ…」
ユラはマテの母親の声にじっと耳を傾けた。
~~
+-+-+-+
マテの白いポルシェが山村にポツンと立っている大きな家の門の前で停まった。
降りてきたマテは厳しい表情で歩き出す。
家の中へ入ってくると、マテは並んでいる調度品を黙って見渡した。
ユラ「待っていたわ」
マテが振り返る。
マテ「説明してください」
ユラ「…。」
マテ「財閥に破婚されたご婦人がなぜ俺に注目するのか」
ユラは微笑むと「ついて来て」と奥へ歩き出した。
家の奥の薄暗い部屋へ通され、勧められるままソファに座ると、正面の壁にゆっくりとスクリーンが降りてくる。
マテ「何をするんです?」
ユラ「説明に使う資料画面よ」
ユラは自分もソファに腰かけると話し始めた。
ユラ「流通から出発して、MGデパート、MGホムショッピング、マート、MGホテル。今ではあらゆる分野で韓国第1位を独占しているMGグループ」
マテ「…。」
画面が切り替わり、中央に一人の男が映しだされる。
ユラ「あの方をよく見ておいて。MGグループのパク・キソク会長。現在は病院にいるけれど、まだ会長の座を務めていて、少し前までは私の舅だったわ」
マテ「…。」
パク会長の写真の横に、線でつながった女性の写真が登場する。
ユラ「姑だったナ・ホンラン副社長。MGグループの元々の後継者で現在のMGのトップ。全ての職員が最も恐れる鉄の女よ」
「それから…」会長夫妻の下に若い男性の写真が現れた。
ユラ「私の前夫。パク・キソク会長の息子、パク・ムンス代表。MG代表理事だけど、ナ・ホンラン副社長の気勢に押されて何の影響力も発揮できないでいるわ」
マテ「なぜ俺があんたの家系図を知らなきゃいけないんだ?」
ユラ「なぜかって?」
マテ「…。」
ユラが立ち上がると、画面の左に小さな女性たちの写真群が顔を出す。
ユラ「MGグループのパク・キソク会長があなたの父親だからよ」
マテ「!!!MGグループのパク・キソク会長が…俺の父親だって?」
ユラが振り返り、まっすぐにマテを見た。
ユラ「えぇ。トッコ・マテ、あなたはMGグループのパク・キソク会長が隠しもつ息子その人。MGの庶子(※非嫡出子)よ」
マテ「!!!」
+-+-+-+
シルバーの外車がある邸宅の前に滑りこむと、民族的な衣装をまとったスタッフがさっと近づき、後部座席のドアを開けた。
降りてきたのはジェッキだ。
彼女は深刻な表情で門を見つめる。
『エレキ仙女』
フッと息を吐き出して気を引き締めると、ジェッキは中へ入った。
受付に立ったジェッキにスタッフが番号札を差し出す。
「あぁ、新入りなのね」とつぶやいたジェッキの前に、「お越しでしたか!」と慌てて他のスタッフがやってきた。
スタッフ「(新入りに)VIPのお客様に番号札を渡しちゃ失礼でしょ!(ジェッキに)ご案内します~!」
奥の部屋に通されると、ピカピカと点滅する派手なネオンや得体のしれない妙なオブジェがジェッキを迎えた。「あら~!」とジェッキは思わず歓声を上げる。
ジェッキ「インテリアが一新したのね!わぉ!いいわ」
彼女がヒールを脱ぐのも待たず、奥に座る仙女が言葉を発した。
エレキ仙女「男が出来たわね」
ジェッキ「!」
ジェッキは足を開いた体勢のまま、思わずヒールをカタンと落とした。
ジェッキ「!」
エレキ仙女「悩んでいるの?」
ジェッキ「まぁ!まだ座ってもいないのに!本当に凄いわ、仙女様」
#このジェッキのくねくねした感じがたまらなく好き
ジェッキが顔を輝かせて座ると、エレキ仙女がゆっくりと視線を上げ、微笑んだ。
エレキ仙女「押してごらんなさい」
ジェッキ「私のを?」
エレキ仙女「その男のものよ」
ジェッキ「あぁ」
ペロリと指をひと舐めすると、ジェッキは手元に置いてある端末のキーを押し始める。
エレキ仙女「最後に#を」
ジェッキ「あ、ウッカリしてたわ」
打ち終わると端末をエレキ仙女に差し出す。
その瞬間、ピロピロと電子音が流れ始めた。
エレキ仙女「(首を傾げ)その男の四柱(※生年月日)で間違いない?」
ジェッキ「えぇ、何か問題が?」
エレキ仙女「こんな四柱があるかしら…?」
ジェッキ「…。」
考えを巡らせていたエレキ仙女が顔を上げた。
エレキ仙女「こやつ、まさしく前世は楊貴妃ね」
ジェッキ「!」
エレキ仙女「現世では男として生まれたから、顔一つ元手に女を魅了して、生涯遊んで暮らす星廻りよ」
ジェッキは思わず溜め息をつく。
ジェッキ「ということは、やっぱり私、彼には愛されずに利用されるだけなんでしょうか」
エレキ仙女「ふーむ。女王に寄生し、血を吸って生きる…。それだけは間違いないわね」
ジェッキ「…。」
エレキ仙女「けれど、こやつはどこか違う」
ジェッキ「ち、違うって?」
エレキ仙女「チェク社長、こやつを決して他の女に奪われては駄目。取り柄のない女でも女王にしてくれる男よ。そうしてこそ自分が吸血して生きられるから」
ジェッキ「(喜)本当ですか?!」
エレキ仙女は小さく頷くと、何かまた気になったように目を閉じ、首を傾げた。
エレキ仙女「それにしてもこれは…何かしら?」
ジェッキ「どうしたんです?何か見えるんですか?」
「あぁ…」それが何かを掴もうとして集中し、エレキ仙女はパッと目を開いた。
エレキ仙女「女が見えるわね」
ジェッキ「女?!」
+-+-+-+
ユラの家。
家系図の前で考えているマテを、ユラは辛抱強く待った。
マテ「俺の母さんはこの大勢の女の中の一人だったってことですか?」
ユラ「これまで認知訴訟だけでも数件起きているし、赤ん坊を背負って会長室に押し掛けた女もいたとか」
マテ「他の女性たちはどうなったんです?」
ユラ「全て姑が管理なさっていたわ」
マテ「夫の浮気相手たちを…管理したって?」
#側室たちも含め、宮中の女性を全て管理する王妃ですね、まさしく^^
ユラ「そうよ。そっと金を渡して口止めしたり、やくざを雇って脅迫したり」
マテ「!」
ユラ「ふふっ、そういった類のことをね。女としては耐え難いことだったでしょうね」
マテ「…。」
ユラ「でも、それは全てMGグループのため。お義母様が揺らいでいたなら、MGグループは決して今のように成長してはいなかったはずよ」
+-+-+-+
「女ですって?!」
ジェッキの不安が俄に鮮やかになった。
エレキ仙女「女よ」
ジェッキ「…。」
エレキ仙女「神霊様にお聞きしていなければ」
仙女は咳払いを一つすると、両脇にあった端子を握る。
二つの端子を慎重に近づけると、深く呼吸を整え、先端同士を軽く触れ合わせる。
青い稲光が音を立てて光った。
端子の反対側をそっとドッグに差し込むと、後ろの電子水晶から無数の稲光が乱舞した。
両脇に勢揃いしているお猿の人形たちが一斉に騒ぎ出す。
エレキ仙女「○&%#?*▼〒※エレキエレキエレキーーーー!!!」
雄叫びを上げると、エレキ仙女は端子を戻した。
エレキ仙女「邪悪な女にすっかり奪い取られたわね」
ジャッキ「え?!思い当たる女がいるんですっ!」
入力端末を鷲掴みにすると、ジャッキはキーを押し始めた。
ジャッキ「その女の生年月日は…」
あっという間に入力すると端末を差し出すジャッキ。
エレキ仙女「…!その女の生年月日に間違いないの?!」
ジャッキ「はい!どう出たんです?」
エレキ仙女「…。」
ジャッキ「(緊張)」
エレキ仙女「はぁ!(震える)これはどうしたことか!神の啓示を受けてかれこれ10年、指先がチリチリして身体が縮み上がる感じ…!あっ、こんなに良い相性はこれまで見たことがないわ。いや!これほど完璧な相性は聞いたことがない!」
ジャッキ「ダメよ!そんなことおっしゃらないで!」
エレキ仙女「あんたの男が政治家ならその女のおかげで大統領にもなるし、事業家ならその女のおかげで財閥になる。芸能人なら韓流スターよ。あんたの男が望むものなら全て…」
ジャッキ「やめて!!!」
ジャッキが叫び声を上げて両耳を塞ぐと、エレキ仙女は口をつぐんだ。
ジャッキ「あんまりです!仙女様のように神通力のある方がどうしてそんなことを!私が彼をどれほど愛しているかご存知のくせに」
エレキ仙女「案ずることはない。そのために御札というものがあるのよ」
エレキ仙女はその辺に転がっていた何かを掴むと、乱暴に投げ渡した。
ジャッキ「?」
おもちゃのようなピンクの時計だ。
エレキ仙女「それをつけるのよ」
ジャッキ「デジタル時計?子どものおもちゃみたいね」
エレキ仙女「お黙り!たたりを受けるわよ。表面的にはデジタル時計に見えても、実は神物なの。それをつけている限り、恋人の心はチェク社長から離れはしないから、肝に銘じなさい」
ジェッキ「ありがとうございます。ありがとうございます、仙女様!」
ジェッキは時計を握りしめた。
+-+-+-+
仙女との面会を終えたジェッキが受付へ戻ってくると、スタッフが今日の明細内容について説明を始めた。
スタッフ「今日は御札をお持ち帰りですので、占い料はお引きしますね」
ジェッキ「Good♪」
カードを差し出すジェッキ。
スタッフ「2000万ウォンに付加税を加えて2200万ウォンになります」
ジェッキ「これが…(ピンクの時計をつまみ上げる)2000万ウォン?」
スタッフ「2200万ウォンです(笑顔)」
ジェッキ「…そう」
決済を終えたカードをスタッフが差し出す。
スタッフ「ポイントを2200ウォンお付けしました」
ジェッキ「1億使えば1万ポイント…。ふぅ!」
呆れたように溜め息をつき、ジェッキはエレキ仙女のもとを後にした。
ジェッキ(心の声)「どうだっていうの?2000万ごときでマテの心を引き止められるなら、それで構わないわ」
ジェッキはゴージャスなファッションには似ても似つかない、そのピンクの腕時計を見つめると、自分を安心させるように微笑んだ。
#今日のグリーンのドレスにはよくお似合いですよ、社長
+-+-+-+
マテは母親の眠る慰霊堂を訪れていた。
マテ(心の声)「母さん…。なんてザマなんだ?こんな狭いところにいるなんて。俺、本当にパク・キソク会長って人の息子なのか?それなのにどうして…?どうしてこんなふうに暮らしてきたんだよ、俺たち。なんで母さんは生涯寂しく生きて、こんなにみすぼらしく逝っちまったんだ?暗号ってのは本当にあったのか?母さん」
+-+-+-+
そびえたつMGグループ本社ビルの一室にナ・ホンラン副会長はいた。
テーブルの上のチェスの駒を進めては、頭の中で何か考えを巡らせる。
そこへノックの音がして、秘書の一人が入って来た。
秘書「株主総会の準備が整いました」
ナ副会長「欠席している理事はいませんか?」
秘書「はい。みなさんご出席です」
ナ副会長「パク・ムンス代表は?」
秘書「連絡がつきません」
ナ副会長「わかりました。下がって結構よ」
ナ副会長はルーク(戦車)の駒をつまみ上げると、ナイト(騎士)と入れ替える。
+-+-+-+
「先約がなければ無理だと申し上げているんです」
MG本社ロビーの受付で、マテは門前払いを食らっていた。
マテ「それならパク・キソク会長にお伝えください。キム・ミスクさんから重要なメッセージがあると」
受付嬢は仕方なく受話器を取り上げる。
数分後、マテはナ副会長の部屋に通されていた。
「おすわりになって」入口で部屋を見渡しているマテに、ナ副会長が穏やかに声を掛けた。
マテ「パク・キソク会長は?僕は会長に要件があるんですが」
ナ副会長「パク・キソク会長は闘病中で会社にはいらっしゃいません。どちら様かしら」
マテはエンドテーブルの上にあるガラス壺の口を、指先でツツーッとなぞる。
マテ「ここにいらっしゃらないなら、病院に?それなら僕がそちらに出向きましょう」
ナ副会長「メッセージがあるんですって?代わりにお伝えしましょう」
ふっとマテは鼻で笑う。
マテ「あまり愉快な話じゃないでしょうが…いいんですか?」
マテが振り返ると、ナ副会長は微笑む。
ナ副会長「先約もなくこうやって訪ねて来られること自体、あまり愉快なことではありませんわ。どちら様ですの?」
マテ「僕は…パク・キソク会長の息子です」
ナ副会長「…。」
マテ「…。」
反応を探るようにマテが睨むと、ナ副会長は再び余裕のある笑みを浮かべた。
クイーンの隣に鎮座していたキングをコロンと転がすと、彼女は部屋の奥から進み出た。
ナ副会長「庶子ね。そう言って訪ねてくる人は何人もいたから、驚きはしませんわ。で、何のご用?」
マテ「それは当事者同士で話すことだと思いますが」
ナ副会長「当事者?証拠はありますの?」
マテ「…。」
ナ副会長「あなたがMGグループ パク・キソク会長の息子だという証拠。少なくともDNA鑑定書くらいは手にして暴れるべきでしょう。恐れ多くも会長の名前を出すのなら」
マテ「会長に会えば綺麗さっぱり解決することなのに、なぜそう興奮されるんです?」
ナ副会長「これまで庶子だと言って訪ねてきた青年たちの中で、あなたが一番杜撰だわ。少なくとも偽造証書や合成写真の一枚は用意してくるべきだったのに」
マテ「…。」
言い返せないマテの前で、ナ副会長は初めて厳しい表情を見せる。
ナ副会長「配慮するのはこれっきりよ。あなたのような卑しい人間と話すのは耐え難いわ。収穫の見込みはないだろうから、もうこれくらいで消えなさい」
踵を返すと、ナ副会長はさっきマテが触れた壺をテーブルから払い落とす。
壺は乾いた音を立て、粉々に砕けた。
ナ副会長「(ドアの外の秘書に)ゴミを片付けて頂戴」
マテ「…ゴミ?!」
秘書が何人も入ってくる。
そのうちの一人が「連れて行け」と声を掛けると、他の男二人が頷き、マテの両脇を抱える。
床に散らばっている”ゴミ”には見向きもせず…。
マテ「離せ。…自分の足で出て行くから」
もう一度、奥のナ副会長を睨みつけると、マテは部屋を後にした。
+-+-+-+
一人になったナ副会長はソファに茫然と腰を下ろした。
ナ副会長「消えたキム・ミスクに…子どもがいたなんて?!」
+-+-+-+
「どう?ナ・ホンラン副会長にゴミ扱いされた気分は」
マテが戻ってくると、ユラは階上から声を掛けた。
マテ「ナ・ホンランに会いに行ったんじゃないんです」
ユラ「あなたはパク・キソク会長には会えないわ。ナ・ホンラン副会長を排除するまでは」
マテ「…。」
ユラ「あの女の前はあなたも私も…ただのゴミなの」
マテ「…。」
ユラ「私は… 娘の100日祝いもできずに追い出されたわ。いつから歩き始めたのか、1歳の誕生日に何を掴んだのか、どんな色が好きなのか、どんな人形が好きなのか…そんなこと知りようもない」
マテ「…。」
ユラ「私たち、取り戻しましょう。あなたの地位、そして、私の地位」
話しながらゆっくりと階段を降りてくると、ユラは彼に向き合った。
じっと口を閉ざしていたマテが顔をあげる。
マテ「いいでしょう。俺があなたの地位を取り戻すのを手助けできるように、そろそろ教えてください。暗号を」
ユラ「…。」
マテ「暗号が必要なんです。俺がパク・キソク会長の息子だと証明できてこそ、あなたのことも助けられる」
ユラは低い声を上げて笑った。
ユラ「お断りよ」
マテ「?」
ユラ「あなたは私の傭兵。訓練もしていない傭兵に、むやみに武器を持たせるわけにはいかないでしょう?」
マテ「傭兵?」
ユラ「有力な戦術も情報もないのに、どうやって勝てるのかしら?ナ・ホンランという怪物に」
マテ「…。」
ユラ「あなたのような無防備な状態で敵地に飛び込んで、私は自分を晒したりはしないわ」
マテは身を乗り出す。
マテ「それなら俺は…どうすればナ・ホンランに立ち向かえるんです?」
ユラ「ナ・ホンランのように大きくならなければね。女王を倒せる強硬な皇帝になるのよ」
マテ「!」
ユラは向き合ったソファから立ち上がると、ユラは何かのキーを差し出した。
ユラ「ここから始めてみて」
キーが彼女の手からマテに渡る。
マテ「なんです?これは」
ユラ「…。」
+-+-+-+
ボトンの家では今日もデシクがぬいぐるみ相手に空手の訓練の真っ最中。
要するに平和だ。
ボトン「デシク、あんた、何のために生きてるの?」
デシク「復讐のため!」
ボトン「誰に復讐するのよ」
デシク「さぁね。じゃ、姉ちゃんは何のために生きてんだよ?」
ボトン「(溜め息)…さぁ」
ボトンは床の新聞に何気なく目をやると、隅に小さく載っている新聞広告に気づいた。
『千里眼仙人
あなたの運命をお教えします』
ボトン「この人に聞いてみようかな?何のために生きてるのか。…料金めちゃくちゃ高いだろうな」
諦めかけたボトンの目に、テーブルの上の携帯電話が飛び込んだ。
「よっしゃ!お母さんの電話!」ボトンはさっと携帯をつかむ。
さっそく広告にある電話番号に掛けてみるボトン。
声(電話)「はい、千里眼仙人です」
ボトン(電話)「もしもし?」
声「母上の電話で掛けましたな?」
ボトン「はっ!(キョロキョロ)私のこと、ホントに見えるんですか?」
声「恋に悩んでいる姿が見えておる」
ボトン「仙人様!私の運勢にも恋愛運みたいなもの、あるんですか?実はね、私、教会で洗礼を受けた友だちよりずっと純潔なんです。体だけですけど。魂はすっかり汚れてるんです、超男好きで」
声「運命の相手はすぐそばにおるな」
ボトン「(嬉)近くってどれくらい近くですか?」
ボトンのすぐそばに見えているのは、ぬいぐるみ相手に猛烈に発奮している弟の姿だけだ。
声「すぐ近くにその男の顔が見える!顔は怒りに満ち溢れておるわーー!」
ボトン「え?」
声「息を荒らげ、頭の中は復讐心で溢れておる!」
ボトン「(呆)おじさん、気は確か?あれは弟だけど?」
ぬいぐるみへの攻撃の手を止めたデシクは、ゆっくりと姉に近づいてくる。
声「だんだん近づいておるわ」
ボトン「インチキだわ。やめなさいよ!!!」
声「助けを求めてお嬢さんを呼んでおる!!!」
「姉ちゃん!」目の前にやってきた弟がボトンを呼んだ。
ボトン「?!」
デシク「ジャージャー麺頼もうぜ」
カッとなったボトンは立ち上がり、弟に当たり散らす。「あり得ない!私がおんぶして育てたのにさ!」
まだつながったままの携帯電話から仙人の叫び声が聞こえてきた。
声「聴こえる!男の声が!Right now!」
そのとき!
「ボトン!」
大きな声と共に扉が開き、入って来たのはマテだ。
マテは中を見渡すと、ボトンの姿を見つけて立ち止まった。
ボトン「マテオッパ?」
マテ「…。」「
ボトン「…!」
携帯からはまだ声が続く。
声「その男がまさにお嬢さんの運命の相手なのだ!」
ふいに飛び込んできたマテと仙人の声。
とろけるボトンの下敷きになったデシクが悶える。
デシク「兄貴、ジャージャー麺ってそんなに背徳かな?」
マテは茫然としているボトンに声を掛けた。
マテ「キム・ボトン、早く出て来い。車で待ってるから。時間がない」
それだけ言って、ボトンの反応も待たずに出て行くマテ。
ボトン「…へっ?」
+-+-+-+
ここで一旦区切ります。
ここまでの私的見どころは何と言っても可愛いくて奇想天外なエレキ仙女、そしてユラの家。
どこもかしこもこれほど原作のイメージ通りだと興奮しますねー。
ユラの家なんて、まるでそのためにわざわざ建てたみたい。
大好きなキム・ボヨン女史まで登場して重厚感も加わり、今後もこんな個性的な女性がつぎつぎ出てくると思うと、ワクワクが止まりません。
その他大勢のキャストたちの「顔の薄い」感じも絶妙。キャスティング天才じゃないでしょうか(笑)
お疲れ様です。毎回、これほどの訳がどれ程大変かな〜と思いつつ楽しませて頂いてます。感謝です(*^^*)
返信削除原作のイメージ通りのキャスティングなんですね!
返信削除キム・ボヨンさんが演じられると「今度はどんな役?何をたくらんでるの?」って思いながら見てしまいます(*^^*)
ありがとうございます(*´∇`*)
返信削除顔の薄い感じ、、、( ̄▽ ̄;)
私は原作を読んでないんですけど
忠実なんですね!
これからがとても楽しみです!
翻訳ありがとうございます!!IU ちゃんのひどいキャラっぷりに笑わずにいられませんねww
返信削除またまたありがとうございます!本当に助かります。なんとなく 想像していても 「そういうことだったのか!」ってわかってありがたいです。
返信削除本当に 凄い労力だと思います。楽しみにしていますが 無理なさらずに♪ それにしても 展開 楽しみですね!
ありがとうございます!!
返信削除朝起きて…いっそいで読みました!!
面白くなってきましたね~(^з^)-☆
水曜日が楽しみです♪
ボトンちゃん…サイコーです!!
大好きなマテのきゅんきゅん出来る姿がたくさん見れるあのキャラ…
可愛すぎる~(*^)(*^-^*)ゞ
また 今週も待っています!!