チャン・グンソク主演「綺麗な男」1話スタートです♪
個性的な人物がた~くさん登場するこの作品、彼らのキャラクターをどう日本語で伝えるか、それを楽しみに進めていきますね。
あまり重要でないと思われるシーンはさらっと流す予定ですが、どうぞご了承ください。
久々のチャンペウ作品でかなり緊張してます(笑)
ではでは~
+-+-+-+
豪華なマンションの一室。
ソファに腰掛けた男に女がしなだれかかる。
女の手が男の腕をゆっくりと這うように上っていく。
ジェッキ「はぁ、すごくセクシーだわ♥」
女は待ちきれずに男のシャツのボタンを外し、声を上げて笑う。
ジェッキ「マテ、何か欲しいものはない?言ってみて」
マテ「車買ってあげようか?そうねぇ、マテにはどんな車が似合うかしら?」
次のボタンに手を掛けた女の手首を、マテは素早く掴んだ。
窓の外へぼんやりと向けていた視線を、女の顔へと戻す。
マテ「今、何とおっしゃったんです?」
ジェッキ「すごくセクシ~♥うふん」
マテ「その後ですよ」
ジェッキ「あぁ、車買ってあげるって言ったこと?そうよマテ、私が決めてあげる。マンションの前に外車のディーラーが出来たの、見たでしょ?マテにピッタリだと思うの。明日の朝、一緒に見に行きましょ」
女は再びボタンに夢中になる。
マテ「…。」
ジェッキ「そのためには今夜ぐ~~っすり寝なきゃね♪」
マテ「ボタン、留め直してください」
ジェッキ「どうしたのよ~。雰囲気最高なのにぃ」
マテ「僕の言うことが聞こえなかったんですか?」
ジェッキ「?」
マテ「…。」
ジェッキ「…留めるわ、と、留めるわよ。(オロオロ)留めなきゃね、留めなきゃいけないのに、あれ?ボタン穴が小さくて…」
マテは女の手を払いのけ、上着を手に取り立ち上がった。
ジェッキ「どうしたのよ、マテ?」
マテ「…。」
ジェッキ「じゃあポルシェにする?」
マテ「やっぱり…僕をそんなふうに見ていらっしゃったんですね」
ジェッキ「…え?」
マテ「欲しいものを手に入れるためには何だってする。そんな人間だと」
ジェッキ「あ…、私そんなつもりじゃなくて」
マテ「…。」
マテは彼女を振り返らず、マンションの入口へと向かった。
女は慌てて追いかける。
ジェッキ「プライドが傷ついたなら謝るわ!マテが女から金をむしり取る男だとか、そんなつもりで言ったんじゃ絶対ないの!」
マテ「…。」
ジェッキ「ごめんね!私が持ってるのはお金しかなくて…!つい思わず…」
機嫌を損ねたマテの背中に、どうしようもなくなった彼女は途方に暮れて目を潤ませた。
ジェッキ「家?」
マテ「?」
マテが歩みを止める。
ジェッキ「こ、こういう家、買ってあげようか?」
マテ「…。」
ゆっくりと振り返ったマテは怖い表情で女の方へと戻り、その勢いで彼女を壁に押し付ける。
ジェッキ「はっ!」
マテは何も言わず、静かに彼女の髪を撫でると、口づけた。
「…。」
女の口元から顔を離すと、マテは何も言わずに彼女を置いて立ち去った。
彼の背後で、女は魂を抜かれたように全身の力を失い、ヘナヘナとその場に座り込む。
マテはふたたび玄関へ向かいながら、密かに口角を上げた。
+-+-+-+
『この素晴らしい筋肉!!』
ボトン(※ボトン=普通の意)は小さなテレビの画面を眺め、頬杖をついていた。
画面一杯に映しだされたマッチョの筋肉に思わず溜め息が漏れる。
ボトン「はぁ、キモイ。好きなもの食べてちょっと運動すりゃそれでいいのに…。セクシー?(笑)愚行だわ」
嫌気が差し、ボトンはPCの画面に視線を戻した。画面には…いとしのマテオッパ♪
そこへ負けず劣らずマッチョ志向な弟が飛び込んでくる。
ボトン「綺麗な壁紙~♪」
弟「(画面のマテを見て)姉ちゃんのかよ?」
ボトン「そりゃ私のものにしたいよ~」
弟「マテじゃなくてPC!」
ボトン「PCはあんたの、マテオッパは私の♥ふふふっ、素敵」
弟「こんな筋肉の欠片もない奴、どこがいいんだ?」
ボトン「♥」
弟「男はな、筋肉だろー!」
ボトン「…。あんたさ、ちょっと座ってみな」
弟「(座)」
ボトン「二つに一つの身体しか選べないとするよね。一つはキム・ジョングク、一つはカン・ドンウォン。あんたはどっちの身体にする?」
弟「男ならキム・ジョングクだろ!」
ボトン「何でーー?!カン・ドンウォンに決まってるでしょー!」
そこへ騒々しく登場した母は、ボトンをペン!と叩いた。
自分の家も焼肉屋なのに、他のサムギョプサル屋で娘がバイトしていると聞かされたのだ。
ボトン「お母さん、バイト代くれないでしょ!!!」
#この後しばらくお母さんの発狂が続くのは省略^^;
ボトンが特に腕に職をつけることもなく、安いバイトに精を出しているのが気に入らない様子。
母「あんた、将来の夢は何なんだい?」
ボトン「!」
自信たっぷりにボトンがスケッチブックに書き始める。
それは…?
ボトン「マテのお嫁さん!」
母「あんたって子は全く!もうすぐ26歳なのよ。さっさと嫁にでも行きなさい!明日すぐ結婚仲介所に登録するのよ!」
ボトン「…。」
弟「母ちゃん、登録できっこないよ。顔だってイマイチだし、金の無駄だよ」
ボトン「あんた人のこと言えんの?」
弟「姉ちゃんほどじゃないぞ」
ボトン「!」
ふたたび一喝されるボトン。
母に言われ、おつかいに鶏肉を買いに出かける。
『ボトンカルビ』
家が営む店からしぶしぶ出て来るボトン。
+-+-+-+
スーパーへやって来たボトンは、奥の魚売り場で働いている男性にハッと目を留めた。
吸い寄せられるように近づくと、彼が勢い良く魚をさばく手元に視線を落とした。
ダン!
彼が包丁を振り下ろすと、腕の筋が躍動する。
ボトン(心の声)「じっとしているときは表に出さないのに、魚をさばくときだけ浮き上がる筋!あれこそ真のセクシーだわ」
彼がボトンに気づき、顔を上げた。
店員「いらっしゃい」
ボトン「(我に返り)サ、サンマ…ください」
店員「サンマですか?分かりました。はぁ、それにしても今日は暖房が効きすぎだな。何でこんなに暑いんだ?」
男性店員はふいにシャツの一番上のボタンを外す。
店員「はぁ、暑い」
ボトン(心の声)「!…久々に見る男の鎖骨だわ。3年前プールでバイトして以来よ!」
店員「サンマ、何尾になさいます?」
ボトン「(首を横に振り、ちょっとグレードアップ)いえ、サバにします」
店員「サバですね。分かりました」
ボトン「^^」
店員「それにしても変だな。何でこんなに暑いんだ、全く」
彼が2つ目のボタンを外す。
…と、胸元の黒いモジャモジャしたものがチラリと顔を出した。
ボトン「!!!何するんですか?!」
店員「え?」
ボトン「人を何だと思って…気分悪いわ。買いませんから!」
彼女は呆れ返ったように首を振り、売り場を後にする。
ボトン「あんな露骨なのはウンザリ。はぁ…、やっぱり男の真髄はマテオッパだわ♥」
彼女の妄想の中に現れるマテ♪
ボトン「マテオッパの鎖骨で泳ぎたーい♥」
何気なく視線を動かすと、ワゴンの上に綺麗に並んでいる鶏・鶏・鶏。
ボトン「はっ、超ワイルド」
+-+-+-+
買い物を済ませ、バス停のベンチに座ると、ボトンはそこに残っている落書きを眺めた。
『トッコ・マテは私のもの♥』
「これだけは消えちゃだめ」ボトンはマジックを取り出し、濃くなぞって微笑んだ。
~~ボトンがマテに出会ったのはバスの中だった
中学生だったボトンはバスの後部座席でうとうとしていた。
そこへマテが乗り込んでくると、彼女はその眩しさに目を覚ます。
風が二人の間を吹き抜けた!
ボトン「!」
彼が座席に腰を下ろすと、思わず彼女は立ち上がり、彼の横の吊り革を握った。
女性客「ちょっとあなた、空席は一杯あるのに」
ボトン「いいんです。立ってるのが趣味だから」
マテ「?」
彼女に気付き、見上げたマテの顔を、ボトンはうっとりと見つめる。
マテは彼女を無視し、イヤホンを耳につけて目を閉じた。
ただならぬ空気を感じ、マテが目を開けると、目の前にボトンの顔。
マテ「何だよ?!」
ボトン「どこまで行くんですか?」
マテ「聞いてどーすんだよ?」
ボトン「私が起こしてあげますから」
マテ「…。」
ボトン「ゆっくり寝てください。ふふん♥」
マテ「…。」
家に帰ったボトンの頭の中は、彼のことで一杯だ。
ボトン「この町に住んでるのかな?だからバスに乗ったんだよね?友だちに会いに行ったのかな?はぁ、この辺じゃ見たことない顔だったけど」
チビのときからすっかりマッチョ志向の弟が部屋を覗く。
弟「なぁ、母ちゃんが肉焼けってさ。だから出てってよ」
ボトン「いつ言ったのよ?あんたが出て行きなさいってば」
弟「もうちょっとしたら、肉焼けって連れてかれるぞ」
ボトン「もうちょっとしたらあんた、足ひねって転ぶよ(※上の弟の台詞をもじってます)」
そばに置いてあるものに蹴躓き、倒れる弟を見て、ボトンは笑った。
そこへ母親がやってきて大声を上げる。
母「あんたずっとそうしてるつもり?!一生ぐうたらしてても、母ちゃんの友だちが来たらいい子にしなさいって言ったでしょ!」
ボトン「なんで私だけに言うのよ?デシク(弟)だっているのに」
母「デシクがどこにいるのさ!!!」
ボトン「?!」
弟は母が怒鳴っている隙にさっさと逃げ出した後だった。
ボトン「…オバケみたいな奴」
母「(娘を引っ張って)出てきなさい!」
部屋から引っぱり出されると、一人の女性が静かに席で肉を焼いていた。
母「こちらの方はお母さんの友だちだって言ってたでしょう?挨拶なさい」
女性は振り返ると、上品に微笑んだ。
ボトン「…こんにちは」
挨拶するなり、ボトンは驚いて声を上げる。
女性の向かい側に腕組みをして座っているのはマテだったのだ。
マテ「?」
ボトン(心の声)「これはまさしく…運命よ!」
マテ「…。」
母「あんたがおばさんとお兄さんのお肉を焼いてあげなさいね~」
他の客に呼ばれた母は、「美味しく食べてね」とマテに微笑みかけ、その場を離れた。
ボトン「うちのお母さんのお友だちの息子さんだったんですか?!」
マテ「…。」
マテ母「あなたたち、もう挨拶は済んでたの?」
ボトン「私さっきバスでね…!」
マテ「(母に)家で食べようって言ったろ。俺がベジタリアンだって知ってるくせに」
マテ母「お母さんの友だちに挨拶も兼ねてるんだからいいじゃない?」
ボトン「ベジタリアン?…私、もっとサンチュ持って来ましょうか?」
マテ「いらない。来たんなら食べるのが礼儀だろ」
箸を持つと、マテはテーブルにトントンと音を立ててそれを揃えた。
金網の上の小さな肉をつまみあげると、目の前でじっと見つめる。
小さく口を開け、それを放り込むと、ボトンがうっとりと顔を緩ませた。
マテ母「この子、無愛想でしょう?」
ボトン「(とろける)だけど綺麗ですぅ」
マテ「…。」
ボトン「(我に返り)あっ、つまり私が言いたいのは…」
マテ母「(ニコニコ)」
ボトン「私が綺麗に焼いて差し上げますって。あはははっ♪」
+-+-+-+
閉店後の暗いボトンカルビに怪しい人影。
その人影はこっそりと重たい箱の蓋を開け、ニンマリとほくそ笑んだ。
もちろんボトンだ。
箱の中には何やら凍らせた肉のような謎の物体。
ボトン「昔の言い伝えはちっとも間違ってないわ。”娘は泥棒だ”ってね」
+-+-+-+
家の前の縁台に座っているマテの隣に、母が腰を下ろした。
それは、斜面を段々に切り崩すように立っている集落のつつましい家だ。
母はマテの背中に腕を回すと、息子が眺めている遠い景色に視線を向けた。
マテ「母さん…」
母「…うん?」
マテ「俺たち、いつ行くの?」
母「…どこに?」
マテ「父さんのところ」
母「!…マテ」
マテ「俺、行ってみるつもりなんだ。俺だってもうすっかり成長したろ?」
母「マテ、お母さんはね、約束を守りたいの」
マテ「母さんと父さんしか知らない暗号、それを俺が持って行けば会えるっていう約束?」
母「…。」
マテ「母さん、もう教えてくれよ。このまま本当に会えなかったら…!」
母「今はダメよ」
マテ「!」
母「時が来たら…教えてあげるわ」
マテ「…。」
母「その時まではじっと我慢して待たなきゃダメよ。それまでは、絶対にあの方を煩わせちゃダメだって、約束したでしょう?」
マテ「その時っていつだよ?」
母「…。(笑顔)お腹空かない?マテの好きな卵焼き作ってあげようか?」
マテ「…。カロリー高いよ。太るから」
母「カロリーが低いのは何があるかしら。見てこなきゃ」
母が立ち上がると、彼はその後姿に深く溜め息をついた。
そのとき…
怪しい探査機がキョロキョロと首を動かし、マテを発見すると彼にロックオン!
マテが気配に気づくと、ボトンは慌ててそれを引っ込め、物陰に隠れる。
再び立ち上がり、捜索を始めると、そこにマテの姿はない。
ボトン「あれ?どこ行った?」
マテ「何やってんだ?」
ボトン「はっ!!!」
いつの間にかマテはボトンの目の前に。
ボトン「あはっ、ビックリするじゃないですかぁ」
マテ「いつからそこにいたんだ?」
ボトン「たったいま。(探索機を隠し)あ、だから…」
マテ「…。」
ボトン「ベジタリアンなんですよね?オッパ。カルビは好きになるかもしれないと思って(持って来た箱を持ち上げ)持って来たんですけど」
マテ「…。」
ボトン「もう寝ていらっしゃるかもしれないと思って、様子を覗ってたんです」
マテ「様子を覗ったならもう帰れよ」
ボトン「(素直に頷く)えぇ、ふふっ^^;」
箱を抱えて背を向けたボトンをマテが呼び止める。
マテ「…それは置いてけよ。重いだろうから」
ボトン「重くないですよ?」
マテ「重いって。重いだろ。そんな重いもの持って帰るのか?」(要するに食べたい
ボトン「あぁ、そうですよねぇ~。重いから置いて帰らなきゃ」
足元に置こうとウロウロするボトン。
マテ「そっちじゃなくて」
ボトン「?」
マテ「(指をひょいっ)こっち」
ボトンが差し出した箱を受け取ると、マテは素っ気なく姿を消した。
+-+-+-+
2年3組。
ボトンはそのプレートの教室の前へ来ると、こっそりと中を覗いた。
女子生徒たちがうっとりと一点を見つめているのが見える。
その視線の先にはいるのは、窓辺でのんびりと外を眺めているマテの横顔だ。
女教師がやってきて、マテの席に指し棒をつくと、彼女も目をキラキラさせてマテを覗きこんだ。
教師「あのねマテ、今のヘアスタイルすご~くいいわ♥私の好みにピッタリよ」
マテ「…。」
教師「だけど、うちの学校じゃ認められないでしょう?ホント残念だわ、そうでしょう?」
マテ「…。」
教師「髪をね、(彼の髪に指を伸ばし)ちょっとだけ切れない?ねぇ?」
マテ「(ジロリ)」
ようやく自分が何か言われているのに気付き、耳からイヤホンを外すマテ。
マテ「?」
教師「えぇ、いいわ。分かった」
教卓に戻る教師。
朝礼終了の礼をさっと済ませると、女子たちはその瞬間またマテに視線を戻した。
マテがミネラルウォーターのペットボトルを口に運ぶと、
呑み込んだ水がゆっくりと彼の喉を伝っていく。
波打つ喉の動きに、覗き見しているボトンは夢中になった。
ボトン(心の声)「私の将来の夢は…あの水になることだ」
~~~~
ボトンの長い片想い人生が始まった。
+-+-+-+
マテはガランとした広いマンションの部屋の真ん中で壁いっぱいの窓の向こうに広がる夜景を眺めていた。
隣に立っているジェッキが口を開く。
ジェッキ「眺めはどう?」
マテ「いいですね」
ジェッキはホッとしたように彼を見上げた。
ジェッキ「家具はどんなのがいいかしら?」
マテはそれには答えず、ゆっくりと窓辺に近づく。
固い床の上を歩く彼の足音がコツンと冷たく響いた。
ジェッキ「マテに合わせるなら、ものすごく美しいのじゃないとね。そうでしょう?」
マテ「(振り返る)俺がそんなに…美しいですか?(オーラがキラリ)」
ジェッキ「(クラクラ)そんな質問ってある?地球は丸いのかって聞いてるようなものよ」
マテ「…。」
彼女がマテに歩み寄った。
ジェッキ「豆腐は四角ですか?三角おにぎりは三角形ですか?…ふふっ」
マテ「…。」
ジェッキ「私、マテみたいに美しい男に出会ったことが信じられないのよ」
マテ「…。」
ジェッキ「私はお金こそたくさん持っているけど、正直、女としてはイマイチでしょう?」
マテ「…。」
ジェッキ「遥かに年上だし、顔だって…整形してこの程度よ。マテの前じゃ縮こまっちゃうの」
マテ「…。」
ジェッキ「若くて綺麗な女とすれ違うとき、私がどれだけハラハラするか分かる?」
マテ「(微笑)若くて綺麗ことに何の意味があるんです?」
ジェッキ「?」
マテは手を伸ばし、優しく彼女の髪に指を伝わせた。
かすかな指の触感に、彼女はビクリと体を震わせる。
マテ「俺にとっては…金持ちが綺麗にみえるんです」
ジェッキ「本当?」
マテ「(微笑)」
ジェッキ「それじゃ私、マテには綺麗にみえるの?女として魅力があるの?」
マテは彼女の腰に手を回すと、片手で乱暴に抱き寄せる。
「はっ」彼女が小さく悲鳴をあげた。
マテはゆっくりと彼女に顔を寄せ、くちづける。
優しく見つめられ、彼女は放心状態でバックを開いた。
キーを取り出し、彼の手に握らせる。
ジェッキ「地下に…停めておいたわ。他の女を乗せないでね」
+-+-+-+
マテが地下駐車場へやってくると、その車は静かに彼を待っていた。
#これが噂のルイJrですね?^^
車の前に立つと、彼は腕を組んで微笑む。
マテ「お前、正直驚いたろ?お前の主人がこれほどだとは想像もしなかったろうな。(車のボンネットに手をつく)このトッコ・マテに会ったんだから」
ゆっくりと車の脇に回り込み、キーのボタンを押した瞬間、忠実な彼の車はライトを灯らせた。
マテ「(大満足)」
+-+-+-+
マテは意気揚々と夜の道を飛ばしていた。
電話の着信音が響く。
応答ボタンを押すと「もしもし」と女性の静かな声が聞こえてきた。
マテ「お話しください、女史。こんな夜更けにどうなさったんです?」
女性(声)「眠れないの。会いたくて…」
マテ「こう度々だと困るんです。夜なんだから眠らないと…。母さん」
そう言うと、冷たかった彼の顔がふっと笑顔に変わった。
母(電話)「ご飯は食べたの?」
マテ(電話)「母さんは?」
母「美味しくいただいたわよ。マテ、今写真を何枚か送ったから、マテが一枚選んでちょうだい」
マテ「キム女史、また退屈なさってるんだな」
母「どの写真が一番きれいかしら?」
そこへメールの着信音がピロンと響く。
画面を見ると、微笑んでいる母の写真が映し出された。
マテ「3つ目の写真が一番いいな。あ、そうだ母さん、俺、家を手に入れたんだ」
母「…家?」
マテ「もう少しだけ待ってて。すぐ迎えに行くよ。キム女史の美貌にふさわしい江南スタイルにしたから。期待しててよ」
母「うちの子は大したものね。最近忙しいんでしょう?息子の顔…すごく見たいんだけど」
マテ「会いたくなったときに見る写真、何枚が貼ってあるじゃないか。写真を見て、もうちょっとだけ我慢してくれよ、母さん」
母は壁を見上げた。
薄暗い部屋の壁には、愛する息子の写真が無数に貼ってある。
母「息子の写真なのよ。毎日見てるわ」
マテ「(笑顔)」
そのとき、信号待ちで停まっているマテの車の隣に、一台の車が滑りこんで来て、止まった。
赤いその車の運転席に座っている女が、そこにマテがいるのを知っていたかのように振り返る。
母(電話)「実物はいつ見せてくれるの?」
なんとなく気になり、マテも隣の車に視線を移す。
車の窓をはさみ、二人の目が合った。
その瞬間、女は素知らぬ顔で視線をそらす。
マテ「!」
「マテ…」電話の母の声が車内に寂しく響いた。
母(電話)「母さん、言わなきゃならないことがあるの。あのね…」
マテの視線を感じながら、女は余裕の笑みを浮かべる。
彼女に釘付けになっているマテの前で、女は先に車を発進させた。
母(電話)「マテ?聞いてるの?」
マテも急いでアクセルを踏んだ。
母(電話)「マテ?もしもし?」
マテ(電話)「ごめん母さん、何の話してたんだっけ?」
母「…いいの、何でもないのよ」
マテ「母さん、俺が愛してるって解ってるよね?夜怖かったら電気つけて寝るんだ」
母「え、えぇ。運転気をつけるのよ」
マテ「あぁ、また電話するから」
挨拶もそこそこに彼はさらにアクセルを踏み込む。
絶対に女の車を見失うわけにはいかなかった。
+-+-+-+
マテへの電話を切った部屋はまた静寂に包まれた。
卓上の小さな明かりをつけると、マテの母は床に置いた小さな箱に手を伸ばす。
薬がたくさん詰まったその箱に手を掛け、彼女は嗚咽した。
「おばさーん、寝ていらっしゃいますかぁ?」
マテ母「!」
突然の声に彼女は驚いて家の外を振り返った。
毛布でとっさに薬の箱を隠すと、涙を拭いて彼女は立ち上がる。
マテ母「ボトンね」
彼女が外へ出ると、ボトンは『いつもの箱』を手に、「こんばんは」と声を掛けた。
ボトン「遅くなっちゃいました。おばさんが寝ていらっしゃったら、ここに置いて帰ろうかと思ったんです」
マテ母「この間持って来てくれたのも残ってるのよ」
ボトン「まだ?どうしてそんなに小食なんですか?確かに…お一人で召し上がっても美味しくないですよね」
マテの母は微笑んで箱に手をのばすと、そのままボトンと一緒に縁台に腰掛けた。
マテ母「もう持ってこなくていいのよ。食べたいときはおばさんがお店に行くわ」
ボトン「(にっこり)はい」
マテ母「返事だけじゃダメよ」
ボトン「(にっこり)はい!うふふっ♪」
ボトンの無垢な笑顔に、マテの母にも優しい笑顔が戻る。
マテ母「あのね、ボトン」
ボトン「?」
マテ母「頼み事…してもいいかしら」
ボトン「(コクリ)もちろんです!お布団の洗濯ですか?」
マテ母「そうじゃなくてね。私と行ってほしいところがあるんだけれど…」
ボトン「ソウルの…マテオッパの家ですか?」
マテ母「違うの」
ボトン「あぁ…。(にっこり)私がお供します^^」
マテの母は微笑むとボトンの手を両手で握った。
+-+-+-+
女は後ろを追ってくるマテの車をチラリと確かめると、満足気に微笑んだ。
再び赤信号に出くわし、停車した女の車の隣にマテの車がつける。
マテを横目で見ると、女はハンドルを左に切った。
後を追おうとしたマテは、そこへ通りかかった車に遮られ、女の車に遠く離されてしまう。
マテ(心の声)「ようやく忘れる頃にまた現れ、消えて行く女。あの女が初めて現れたのは…あの時だった」
~~数年前
カフェに入って来たマテは窓辺の席に一人で座っている女性の姿に目を留めた。
マテ(心の声)「初めてソウルへ来たとき、ある人が言った。美男子は江南清潭洞へ向かわせろと」
その言葉通り江南清潭洞へやって来たマテ。
彼は、離れているものの彼女がよく見える席に腰を下ろす。
マテ(心の声)「これが清潭洞の女なのか…衝撃を受けた。その女の美しさに」
彼女から目を離せないマテは、ふいにこちらを見た彼女に我に返り、慌てて視線を逸らした。
しばらく「余裕の男」を演じ、もう一度彼女の方へ視線を戻すと、彼女の姿がない。
マテ「?!」
そこへグラスをトレイに乗せた店員が声を掛けた。
店員「あの…。そちらにいらっしゃった女の方がこれを」
マテ「え?」
店員はテーブルにトレイを置き、立ち去った。
トレイに添えられたメモに気づき、彼はにやりとしてそれを広げる。
『この冷水でもグイッとあおって頭をお冷やしになって』
マテ「!」
~~~
数年前のマテの屈辱が今また蘇っていた。
マテはカーステレオのボリュームを上げ、夜の道をひとしきり走らせる。
+-+-+-+
ここで一旦区切ります。
あ゛ー
さらっと流すって言ったくせにーアタヽ(´Д`ヽ ミ ノ´Д`)ノフタ
どのキャラもいいんですが、特にジェッキがかなりマイルドになってはいるものの、コミックから飛び出してきたようでとても楽しかったです。
少しシチュエーションの違いがあるものの、ストーリーも原作通りなスタートで嬉しいです。
そして、ハン尚宮様ことヤン・ミギョン様が出ていらっしゃるだけで、あの雰囲気にもう泣けてしまう私…。
後半、タオル準備して臨みます。
※画像を小さめに表示させないとレイアウト崩れちゃうので、またゆっくり調整しますね~
ユジナ~さん、待ってました(*^^*)
返信削除またお世話になります。
楽しみにしてますね。
でも、あまり無理なさらないでくださいね♪
ユジナ~さん、今回も素敵な翻訳
返信削除ありがとうございます。
毎回言葉もわからず、リアタイ視聴する身w
本当にユジナ~さんの翻訳で、
作品の世界をより深く知ることが出来て、
感謝してます。
くれぐれも無理のないペースで(^^)
ユジナ~さんの紡ぎ出す"きれいな男"の世界
楽しみにしてます♡
おはようございます。ご無沙汰しておりました。
返信削除また、こうしてここにお邪魔できて嬉しいです。
俳優チャン・グンソクを楽しみたいと思っています。
よろしくお願いいたします。
ルイJr.との競演シーン、ぐんちゃん楽しそうでした。
ユジナ~さん、ありがとうございます(*´∀`)ノ
返信削除ラブレインの時からのファンです!
やっぱりユジナ~さんの文章は素敵です!
おはようございます。
返信削除早々にありがとうございます。
ユジナ~さんの訳が好きでラブレインからお世話になっています。
これから毎日がワクワクです。
寝ていらっしゃらない?
ご無理のないようになさってください。
さっそく発見、さっそく読ませていただきました。
返信削除ラブレインから読ませていただいてますが、文書が美しくさらさらと読み進められ、情景も浮かんできます。
文章ならではの良さがにじみでていますね・・・朝から感激です。
昨夜の今朝・・・このスピードにも驚きです。
体調崩すことの内容に・・・でも、続けてくださるとすごくうれしいです。
私たち読者は、ルールを守りねこれからの楽しみといたします。
まずは、お礼まで・・
ユジナーさん♪ 綺麗な男訳ありがとうございます ☆☆ラブレインの時も読ませて頂いていました 本当にありがとうございます
返信削除ユジナ~さん
返信削除おはようございます。
またユジナ~さんの訳で、親分のドラマを楽しめるなんて~╰(*´︶`*)╯♡
嬉しいです~♪
忙しい中 ありがとうございます。
ユジナ~さんのペースで よろしくお願いしますm(__)m
yujinaさん
返信削除こんなに早くUPしていただけるとは…。ありがとうございます♪
メリのときからお世話になっています。
あまり無理なさらないように・・・。
でも、期待してます(笑)
yujinaさん 「ラブレイン」からお世話になってます。
返信削除今回はリアルタイム視聴ができないので
こちらを読ませていただくのが更に楽しみです♪
すごい!ユジーナさん、仕事が早い!
返信削除お疲れ様です。昨夜のがもうこんなに理解できるなんて。
またよろしくお願いしますm(_ _)m
私もラブレインを読ませて頂いていたものです。もっと早く知りたかった!
返信削除そして今回はもう早速昨夜のが!!とてもありがたいです。
今回も素敵な訳をありがとうございました。無理なさらないでくださいね。
안녕하세요~
返信削除ラブレインの時にユジナ~さんに刺激されて
韓国語を学ぼうと決意したものの...(^^;
またお世話になります♡
ユジナ〜さん♡
削除こんなに早く素敵な訳をありがとうございます!
ラブレインからのファンです。今回もお世話になります。よろしくお願いします。
余計なおせわですが、どうかお身体を壊さぬようお願いします。
ユジナさん
返信削除またお世話になります!
やっぱりユジナさんの訳がしっくりきます
楽しみにしています(*´∀`*)
ラブレインに引き続き、またお世話になります。
返信削除やっぱりオンマはハンサングン様だったのですね!!
すごく気になってたんです( ´艸`)
ユジーナさん今日は~
返信削除ラブレインの訳大好きでした。 綺麗な男も訳してくださるのなんて嬉しいです。
お忙しいでしょうから、無理なさらないでくださいね。
またお世話になります(*´∀`*)
ユジナーさん
返信削除ラブレインに引き続き、またまた綺麗な男でもお世話になっちゃいます。
今回も本当に綺麗で丁寧な訳をしていただいて
ユジナーさんの訳でドラマが一層輝きます。
ユジナーさんの体調を気にしつつも早く続きを読みたくなったしまうのは私だけではないはず・・・
これから長丁場ですがお体無理しませんように・・・
こんばんは♪
返信削除私もラブレインの時にお世話になりました☆
昨日の映像を思い出しながら、こんなこと言ってたんだー!と読み進めてます。
本当にステキな文章ですよね(*´ω`*)
無理のない程度に更新お待ちしております☆
ユジナさん、ラブレインの時にはお世話になりました。
返信削除今回も楽しみにしています。
ご無理のないように。。どうぞ、宜しくお願いいたします❤
ユジナさん、初めまして。
返信削除初めてこちらを拝見させて
いただきました。ほんと小説のようにするするとのめりこんで行きました。ドラマの内容も早々分かりすっきりです。このドラマ、とても面白いです!これからの展開が楽しみです!
翻訳作業は大変なので無理のないようにして下さいね。
yujinaさん
返信削除ラブレインから読ませていただいてます。
yujinaさんのきれいな文章、また読めてうれしいです。
お身体ムリのないように、でも楽しみに待ってます。
yujinaさん♪
返信削除ラブレインのときにお世話になりまくったyujinaさんを思い出してやってきました♡
今回はリアル視聴できませんが、こちらで見た気になります!(^^)!